将来解体する?義務化された「アスベスト調査」に備える書類#28
建物はいつか老朽化する
長崎には、1916年(大正5年)に建設された日本初の鉄筋コンクリート造の高層マンションがあります。
そう、軍艦島で旧炭鉱の鉱員社宅として利用されていた30号棟です。
以前軍艦島クルーズで島に上陸し、崩壊が進む建物を目の当たりにしました。炭鉱の街として栄えていた当時は、人々が生活し、賑わっていた島だったのでしょうが、立派な建物でも放置されると最後はこのように朽ちてしまうのか・・・と何とも言えない気持ちになったことを覚えています。
その建物は誰が看取りますか?
建物はいつか朽ちます。
軍艦島のように物理的に老朽化が進んでいくこともありますし、朽ち果てる前に資産活用の一環で建て替えをすることもあります。
ただその建物を解体する未来で、誰が所有者になっていて、誰の責任で取り壊すことになるかは決まっていないケースが大半だろうと思います。
今日は建物の取り壊しに関する法律改正と、備えておきたい書類のご紹介です。
2022年4月1日から一定規模の工事を行う際のアスベスト事前調査が義務化になりました
「大気汚染防止法」という法律が改正になり、アスベスト飛散を防止するための建築工事に関する新たな制度が始まりました。
その中で2022年4月から施行された「事前調査結果報告の義務付け」ですが、一定規模以上の工事を行う場合には、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査結果を元請業者等が都道府県等に報告することとなりました。
つまり今後80㎡以上の建物を解体等する場合には、事前調査を行いアスベストの利用有無を報告した上で、適切な工事処理を行うことになったのです。
事前調査って何するの?
環境省が事前調査の手順方針を示しているので、資料からご紹介します。
まず「書類」を見て
現地で「現物」を見て
それでも不明瞭な部分があれば「試料採取」のうえ分析をするようです。
建物を建てた時に建築基準法に基づいて施工されたものでも、リフォーム・修理などで想定できないような場所に石綿が使用されている場合があるそうです。
書類と現物と両方確認が必要なのですね。
この資料には施工者が発注者(工事を依頼した人)へどのような保管書類を依頼すべきかも記載されています。
また石綿含有の情報として、建材メーカーや団体がホームページで情報公開していたり、個別の問い合わせに回答していることもあります。
リフォームをした際の材料で「メーカー」「商品名」「品番」などが分かる「請求明細書」など工事明細に関連する資料があれば、それらも保存しておきましょう。
書かないエンディングノートへの収納
建物の図面はA1、A2サイズなど非常に大きいものがあります。ご家庭によっては押し入れの奥など、すぐに見つからない場所に収納せざるを得ないこともあります。
書かないエンディングノートへ収納していただく書類は、このようなもので在りかを知らせる情報を残すことをお勧めします。
またリフォームした時の見積書、請求書など工事の明細が分かる資料があればそれらを書かないエンディングノートへ収納することをお勧めします。
するとそのノートそのものが「建物の修繕履歴」にもなります。
建物は長い期間、私たちの生活を支えてくれるものです。
しかし世の中の環境変化で、建設した時と状況が変わることがあります。
今は良いと思って使っているものでも、未来の社会では良くなかったというものも出てくるかもしれません。
不動産の状況や構造を示す書類は、手放す時まで保管することが良いです。
手続きや届出などがスムーズになることがあります。
相続などで所有者が変わる時には、次の所有者へこれらの情報と一緒に引き継ぐことをお勧めします。
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