４話：👽は言った。「中でオシッコしてもいい？」

　そんな風に号泣したり、カップラーメンを食べたりしながら、その不倫とは別れてしまった。そしてすぐに私は次のラブｗを見つけた。それどうなの？と、私も思ったのは確かだ。私は所謂恋愛依存というやつなんだろうか？　依存。その言葉に、私の胸中は、しっくりこない。私は生活保護であり、その生活を彩る？物は、洗濯であったり、掃除、料理、お風呂、歯磨き、お顔のお手入れ、爪を切ってみようか、ああ、今日はごみの日だ。起きててよかった、今何時そうねだいたいね、お昼ごろらしいから、昨日作ったカレーを食べよう、らのほかには、読書、音楽鑑賞、たまに映画鑑賞、そのくらいしかやってないことから、恋愛に依存する？　私は独りぼっちオオオン、であるから、現実に首を左右に振ったわけではないけれども、しかし否定はする。ヒマだから依存をするってこと？　依存という言葉の意味に異存を唱えたいｗ。歳をとると、駄洒落が増えるのは、是ナチュラルなりｗ。それはなんだかおかしいだろう。けれど私は間髪入れずに、次の恋愛へと移行したのだ。今思う。私は当時、恋愛の中毒であったのだろうと。恋愛中毒という言葉が、ポピュラーであるのかどうかは、寡聞にして知らない。けれどだ、恋愛をしてる時の脳の状態、つまり分泌される？　様々なセロトニンだのエンドルフィンだの、そういったものの数値が通常時高くなっていて、少し下がれば大騒ぎ、そして、タバコの火を消し、瞬く経てば、また、その時の脳の状態を欲し、タバコに火をつけるがごとく、恋愛に火をつけるｗ、我ながら、少し掛けてみたわけだが、少しうまいとか自分で思っているわけだがｗ、そう思うのである。そうなのだ、恋愛の中毒にその時私はなっていたわけだから、いとも簡単に、男性に惚れるということができたんだと思う。ほれぼれする男なら、たくさんこの世にいる。逆に、唾棄すべき男もこの世にはたくさんいる。その、ほれぼれする男性に恋するか恋しないかは、その時の（ジェンダー論に敏感な世の中であるから、こういう風に言うが）、恋ができる、惚れることができる………それは、惚れる女や、男の、心持ち、脳の状態によるのだろう。
　私は、先ほど申したように、恋愛の中毒者であったから、瞬時に次の男性に惚れるということができたのだ。しかしだ！　ここにも大きんなプロブレムｗｗは、立ちはだかる。それは「モテ」の問題である。言っておきたいが、もちろん、人に惚れるとき、相手のみを対象としているわけだし、モテはあまり関係ないのやもしれないけれど、可能性は広がるんじゃあないのかなあ、と少し。ただ、「モテる」という状態は、結局男女ともに、もしくはジェンダー問わず、獣の状態で、そのモテる存在を意識しているのみであって、一般的に主観的に選んでいる（ここでは男性的意識を男、とする）のは、男のほうで、その男は、モテる女から、距離があるわけだから、単なる幻想を抱いているだけだ。つまり、どういうことかというと、距離が縮まり、そして、イチャイチャしたりしてから、男女が別れるとき、結局は女が振られてんのよｗ。男が、幻想とその女のすっぴんに、はるかなる距離を見つけて、ギャップというか齟齬を感じて、お互いが、お互いに寄り添えなくなり、別れる。だからもう一回言うけど、別れるってさ、結局は女が、振られてるわけよ。ああ、女って。その存在の不幸は、根源的だし、反対に男だって不幸なんだ。男もつらいけど女もつらいのよ（矢野顕子氏無許可）。まあ、いい。そんなことを考えてみてもしょうがないじゃあないかあ。さあがんばろうぜ（宮本浩次氏無許可）。
　次につき合ったのは、建築と不動産の会社を経営しながら、弁護士の資格を持っているという男性だった。はじめ、その肩書を知った時、私は「どうなの？」と思ったことは思ったのだ。やけに生産的っていうか、なんていうんだろう、前向きなご様子。そこに私の資質が合わないような予感はあったのだ。しかしだ！　私はその予感を持った時、その男性、ひろくんに、もう惚れていたのであるｗ。ひろくんは、独特のファッションのセンスを持ち合わせていたが、けれど決してけったいに見えないし、どこか、おしゃれにも見える。言葉で説明すると、だっせ、で終わるのかもしれないけれど、おぼろげな記憶だが、デニムを履き、赤いスタジアムジャンパーを羽織り、かなり、淡いピンクの、スエードの生地でできたキャップをかぶっていた。私はすぐに、ひろくんに興味を持ったし、また、ひろくんもそうみたいだったあ❤。そしてラインの交換をし、本番の場は我が家、私のアパートだった。ひろ君は、ライン上では喋りも達者で、面白くて、たまにのことだが、明け方まで及び、私は、汗をかいて笑い、ベッドで何回も寝返りを打ったし、「メンヘラー、近所に聞こえる　笑い声」、という句を一句思わず心中で詠んでしまったほど、そのラインや、通話は楽しいものだった。
　
　そしてその日、ひろ君は口を開かず
　
　お邪魔します。そう言って、私の部屋に入ってきたひろくんは、玄関に現れた。ひろくんは背が高い人で、表情がとても陰鬱に見える人だ。中身は、とてもかよわく、私の局部の中の中、その奥、そんなものがどういったものかは知らないが、それらすべてをいつでも把握していたという不安症であって、病院に通っていることも知っていた。その病名は、「不安神経症」であるということだった。そのせいであるかはわからない。常に表情が暗いというより陰鬱という表現のほうがしっくりくる。そして性格が悪いという風な印象は受けないのだが、とても悪い人間、というような印象は与える。矛盾ある説明にも聞こえるかもしれない。けれど、そうとしか言えないのだ。部屋に入ると、三人掛けのソファに座るよう、私はひろくんを促した。するとツイードのジャケット（ひろくんは仕事の帰りにやってきた）を裏返しにして丸め、部屋の片隅に置いた。私はひろくんが、親の建築会社を継いだのち、不動産の経営をひろくんが起こしたという話をふと思い出した。そして、素直にといった風に、ひろくんはソファへと座った。そして何も言わない。私は、ひろくんがアイコスを吸うことを知っていたから、ひろくんにアイコス吸えば？　と言ってみた。すると、ううん、いい、とだけ言って、黙って座っている。私も何となく黙って、料理を始めた。ささみを片栗粉でコーティングして、下味をつけ、ピーマンとソテーしたもの。カマスの塩焼き。ニンニクのサイコロステーキ。そして、つまみにもなるかと、チーズも用意した。ミニトマトも焼いた。れらを黙って、一皿ずつテーブルに運ぶ。つまり、ソファの目の前にある、センターテーブルに、並べていったわけだ。その目の前のテーブルに置かれる、一皿一皿を、ひろ君は、眺めていて、そして黙っている。すべての料理を並べ、バーボンを濃いめだが、炭酸で薄めて、レモンを浮かべて、ひろくんの前に置き、そして困った。私は困ってしまった。どこに座っていいのかわからなかったのだ。一応我々はその時、「我々は恋人同士、カップルである」という認識を共有していたと思うのだ。けれども、どうしてもソファのひろくんの隣に座ることができなかった。そして食欲もなかった。困ったなとしか、その時思えなかった。地球は相変わらず、自転をやめていない。それは理解できる。それは確かなことだ。そして、それと矛盾せず、私は困っていたのだ。結局、それもどうだろう？　という思いを抱きながらも、私はソファと直角に並ぶセミダブルベッドに腰かけた。
「食べてみてね」
そう言うと、ひろくんは、相変わらず陰鬱に「いただきます」と言ってから、割りばしを割って、その料理を、おいしそうに食べた出した。陰鬱な表情をしながら、おいしそうに料理を、平らげていくその様に、私は、ああ、会社を経営しながら、弁護士の資格を取るときはとても努力が必要だっただろうなあということを思った。そして、その様子を見て、私も、それらの料理を食べ始めたのだが、どうにもこうにも、たいして味がしないように思える。けれど、確かに味はする、という奇妙な感じだ。文学的であるｗ。そして、そんなふうであったから、私は必死で、料理を食べざるを得なかった。そう、必死だった。また、食事中であらせられるらしいひろくんのほうを見ることができない。そうして食事は終わった。ひろくんは、すべてを余さず食べてくれて、「おいしかったです」と言った。私はシンクに食器を下げると、ベッドへ戻った。何となく、食器を洗ってしまいたいような衝動もあったのだが、けれど、そうすべきではないような気持にもなり、シンクに食器を下げてしまうと、コーヒーをいれ、ベッドに戻った。センターテーブルにはインスタントではあるが、2客のブラックのコーヒーが並んでいる。
　突然、大きな影が私を覆った。突き飛ばされて、シャツのボタンはちぎられた。何もかも「脱がされる」というより、「むしりとられる」と言ったほうが正解で、私は、そのあと長時間に及ぶとても執拗で、気持ちのいい、前戯を受けたのだが、それは愛情とは言えないし、サービスや真心や、優しさとも言えない、ただの加虐性でしかなかった。私は何度も失神したし、失神している間も、ひろくんは、執拗な執拗な前戯をやめない。「お前、黄体期だな」、私の意識があった時、ひろくんと目が合った。するとひろくんがそんなことを私に言い放つ。お前、とひろくんに呼ばれるのは初めてだったし、また、黄体期という言葉は知識としてはあるが、口なれない、あまり通常の会話で出てくる単語でもない。だからとても印象に残っているし、その時の残虐なひろくんの顔つきを、いまだに鮮明に忘れていないほどだ。そして、何回も何回も口の中で射精され、私は吐き出すことを許されず、何回も飲んだし、また、挿入後も射精を繰り返す。挿入後、私は宇宙へいた。地球、そして日本だ。その都会だと思う。ビルが多い。ところどころに広い公園があり、緑の鮮やかな木々もある。それらを私は俯瞰しているのだ。そうかと思えば急降下した。すすきの穂の先に、バッタが止まっている。私はバッタを捕まえたくて仕方ない。それを誰かに見せたいなと思う。とてもバッタを近くで見ている。バッタに詳しくないくせに、私はそれを「トノサマバッタだろう」と思い込む。

　身体ってそうだろう？

気が付くと私はきちんと毛布も布団もかけられ、眠っていた。起きる瞬間とてつもない眠気を感じるが、すぐに頭がすっきりとした。部屋が寒いというわけじゃない。そして見たのは、ソファに座りながら、パンツにＴシャツといった格好で、アイコスを吸っているひろくんで、さっきとは打って変わって「くつろいでいる」といったふうに、冷めた空っぽのコーヒーカップを目の前に、悪人のような顔で笑いながら、
「くみちゃん、ごめんね。起きた？　俺くみちゃんをもはや掌握❤ｗｗｗｗ」
と言って笑っている。今まで交換してきたメッセージ、ライン。その雰囲気を一気に部屋に取り戻す、そんな力がその言葉や、ひろくんの様子にはあり、私もいつもの、「ひろくん、お願い。調教してして❤縛られたいのおおおお❤ｗ」といった私になっちゃったｗ。私たちはそれでも言葉が少なかったけれど、とても近づいた、優しく平和な雰囲気の中で笑いあったし、そして、ひろくんは、軽い、そして、重い、そんな矛盾した表現しか私にはできないのだが、そんな風に言ったのだ。以下。
「なあ、くみちゃん。俺たちもう40代だろう？　いい大人だろう？　俺はくみちゃんの容姿であるとか、雰囲気であるとか、得意なことや、ある種不得意に見えるからこそかわいらしいみたいなそんな部分だけを好きなわけではないぜ」
「ただ、わかるだろ？　
もう、経験を踏んできた。
本当に好きでもありゃしない女を抱く。
すると
そのあと、いい歳だよ俺、めんどくさいよ、
そんな女。
若ければ違うんだろう。
身体って、そうだろう？」
私は、「うん、なんかわかった」と答えた。

５話：👽は言った。「中でオシッコしてもいい？」に続く！