アフリカの民族の「秘密結社」の世界
秘密結社という言葉は何かこう、ワクワクしませんか?
すごく遠い存在なようで、肌感覚的には理解できるというか。
小・中学校のときの「仲良しグループ」と近い気がします。
メンバー同士だけで通じる「合い言葉」があったり、いつも集う場所があったり。
裏切ったら追放されて、口を聞いてもらえなくなるし。
何となく分かるけど、じゃあアフリカの秘密結社とはどういったものか。
何か急に異世界ですね。遠すぎてよく分かりません。
実際に、どういった秘密結社があるのでしょう。
1. ポロ(シエラレオネ)
Photo by Sjoerd Hofstra
ポロは西アフリカのリベリアからギニアにかけて住むクペル族に見られる秘密結社。
これは族の成人男性のみが入社を許される組織で、この組織に入ることでコミュニティの慣習や信仰を学ぶと同時に神性を手に入れるとされました。
クペル族の若者にとってはこのポロに入社することが一種の「成人式」のようなものであります。
年に一度、薮の中に長老たちが作るブッシュ・スクールが設けられ、そこで少年たちは数週間に渡って仮面をつけた男たちによって割礼などの様々な儀式を受けます。
少年たちは儀式が終わると、自分の親戚を忘れたふりをしなくてはならず、子どもであった自分は儀式によって死に、新しい大人としての自分が再生されたとみなされます。
2. サンデ(シエラレオネ)
サンデはポロと同じくクペル族に見られる秘密結社で、言わば女性版ポロです。
同じく年に一回ブッシュ・スクールが開かれ、全身を白く塗りマスクを被ったメンバーが少女たちを拉致して連れ去ってしまう。
そうしてブッシュ・スクールでクペル族の家事や工芸、文化、習慣、神話などをみっちり学ぶのです。
3. ニージー(リベリア)
ニージー(Neegee)とはバッサ族の言葉で「クロコダイル」を意味します。
彼らは特殊なカーニバル儀式を保有しており、メンバー外のバッサ族からは「豹人間」と恐れられました。
彼らはクロコダイルや豹、狼を神として崇拝しており、死後に「神に生まれ変わる」を目指します。
彼らはクロコダイルが人間を襲って食うことは神聖なことであると考えており、自分たちも神に近づき神秘的な力を得るために、儀式で人間を食っていました。
4. アフリカーナー・ブラザーフッド(南アフリカ)
アフリカーナー・ブラザーフッドは1948年〜1994年まで南アフリカで力を持った秘密結社。
目的はアフリカ生まれの白人であるアフリカーナーの社会を守ることで、モットーの"Wees Sterk(Be Strong)" からも分かる通り、一種の武装組織でありました。
彼らは南アフリカの土地を「神が我々に与えもうた」と考えており、「運命」の義務を果たす必要があるとしました。戦後アパルトヘイトが撤廃するまで南アフリカで政治的に大きな力を持っていたそうです。
入会は25歳からでないとダメで、しかもメンバーであることは秘密にしなくてなりませんでした。
5. ドゥームズディ・カルト(ウガンダ、南アフリカ)
ドゥームズディ・カルトは世界中で見られますが、アフリカでは特にウガンダや南アフリカに信者が見られます。
彼らの教えは「ヨハネの黙示録」を曲解したもの。
神の裁きにより文明は破壊され、人間は滅びて地獄に落ちる。しかし我々の教えを信じる者は救われて天国に行ける。
というのが概要です。
極端な自傷行為や自殺をメンバーを強要する傾向があり、取り締まりのために訪れた警察や軍を「悪魔の手先」や「黙示録の怪獣」とみなし、狂信的に戦うのです。
ドゥームズディ・カルトの一派で有名なところで言うと、集団自殺して果てた「人民寺院」や「ブランチ・ダビディアン」があります。
6. アクペ(ナイジェリア)
画像転載元:ugoagadauyah.wordpress.com
アクペはナイジェリアで見られる秘密結社で、このメンバーになると社会的に非常に尊敬をされるのだそうです。
というのも、たくさんの土地や家畜を持っている、いわゆる金持ちしかアクペに加入することはできず、これに入ることは社会的に「上流階級」に属したことが認められることになるからです。
アクペには特権的な地位が与えられ、優先的に土地やパーム木を所有する権利を有します。
その代わり、アクペのメンバーはコミュニティに「富のおすそわけ」をしなくてはいけず、たびたび宴会を開いては地域の人を招待し盛大におもてなしします。
ジェントルマンズ・クラブのようなものですね。
7. ワールド・エジプシャン・ライト・メイソン(エジプト)
この組織は1717年に設立された秘密結社で、古代エジプトで信仰された「オシリス教」を受け継いでいると主張しています。
入社して一人前として認められるには97段階もの儀礼があり、最後までパスするととうとう「究極の真実」を教えてもらえます。それに触れた瞬間から、内に神が宿り「パーフェクト」な人間となれる、と。
本当かどうか定かではありませんが、メイソンのメンバーは「エジプトの国の指導者になったり、上流階級を独占している」らしい。ただ富を自分たちで独占するのではなく、「常に人類の発展のため社会へ金銭的に還元を行っている」と主張もしているそうです。
まとめ
アフリカの秘密結社と聞くと、なんかおどろおどろしいイメージがありますが、
だいたいはちゃんと社会的な役割がある正常なものですね。
ポロやベイテ、アクペみたいな異形の格好は異様に感じますが、まあ日本のなまはげだって異様ですしね。あれも角度を変えてみれば一種の秘密結社のようなものかもしれません。
参考文献
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?