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出ないっ! 便秘騒動から学んだこと

パーキンソン病の母と 虐待されていた私が 一緒に暮らすということ

#5 母に注意

#5 母に注意

 母の便秘騒動。

 便秘もまた、腸の動きが鈍化することで引き起こされるパーキンソン病の症状の一つです。
 加えて「歳だから便を押し出す力がない(※母曰く)」という要因もあってか、度々”便秘騒動”を引き起こします。

 母自身も、病気のせいで便秘になりやすいということは理解しています。便秘薬もしっかり処方されています。
 しかし、私が何を言ったところで母は便秘薬を飲みたがらず、そもそも私が助言するということ自体を嫌がる母ですから、「便が出なくなって苦しむのは母本人なのだから、勝手にさせておこう」というスタンスで見守っていました。
 しかし、これがいけなかったー。

 「気持ち悪い… 。早く、早く摘便して!」
 当直の医師を待つことすら辛いようで、診察室のドアを睨みながら唸る母。
 近所の内科医は営業時間外だったため、以前の便秘騒動で駆け込んだことがある総合病院の救急外来を頼ることにしたのです。

 「摘便」とは字のごとく、”便を摘み出す・掻き出す”医療処置です。下剤を飲んでも座薬を入れても便が詰まって出てこない場合などに行われます。

 「救急外来で便秘で摘便?」病院スタッフも戸惑ったことと思います。何しろ便秘は突然発生するものではありません。
 そもそも救急外来は、急変した体調や1分1秒を争う怪我といった、”突発的な緊急事態”に対応する場所です。
 便秘2日目、3日目…と、その気配を感じた時点で便秘薬を飲むなり近所の内科医に診てもらうなりをしていれば、救急外来で摘便するような事態には陥らなかったはずなのです。

 「”救急外来で摘便すればいい”という考え方ではダメですよ」というスタッフの苦言はその通りで、ただただ反省するしかありません。

 「こうなることは、分かってはいたんだけどね…」
 一方で、反省と共にため息も止まらない私。

 というのも、母は人に指示されることを極端に嫌う性格をしています。
 その中でも私が物申すことに関しては敏感で、「”注意”という言葉は私に使わないで!!」と言ってくる始末です。それだけならまだしも、”善意で言った忠告”ですら「バカにされた」と憤ります。ちなみにこの性根は母の固有スキルであり、老化に伴う性格の変化ではありません。 


 実は今回の病院での一件、マンガではマイルドに描き終えましたが、実はこの後もうひと騒動ありました。

 スタッフから”注意”されたと知った母は病院にとって返し、件のスタッフを捕まえて、「私はおしっこも出なくなるくらい気持ち悪くなってたの! 病院来るなってどういうこと!」と食ってかかったのです。

 ”注意=バカにされた”という独特な公式を持つ母の怒りは中々に治らず、母VS私&スタッフという構図で、「”救急外来に来るな”ではなく、”来なくていいような対策を事前に取っておきましょう”と言っている」となだめる羽目になったのです。

 「アンタも病院も私をバカにしすぎ!」
 捨て台詞を残して去る母を追いかけながら、私は巻き込んでしまったスタッフに深く深く深く頭を下げました。


 母に”注意”するどころか、”意見”すること自体得意ではない私。
 今回は便秘が原因の出来事でしたが、パーキンソン病の進行とともに母に物申さないといけないことは確実に増えてくるのでしょう。中には命に関わることもあるかもしれません。

 母にどんなに拒まれようが心を強く持ち、言わないといけないことはきちんと言う…。
 「分かってる、分かってるんだけどなぁ」
 助手席の母の顔をチラリと盗み見て、バレないようにため息を吐きました。


 今回で「パーキンソン病の母と 虐待されていた私が 一緒に暮らすということ」5話目の投稿が完了しました!
 5日連続投稿という一つ目の目標も達成です。
 がんばりました、私!!

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いつか母と仲良くなれたら、母と私と猫さんで旅行に行きたいと思っています。 野っ原をのんびりと散歩。 母との生活は始まったばかり。 夢は大きく、まだまだ諦めません^^