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パリジャンは冒険好きなスーパードライ人


「古代ケルト文明」

私はこんなに美しいピン留めを見たことがない。紀元前500〜200年、ケルト人たちが作り、身に付けていたピン留めです。

先月、パリから郊外へ向かう高速鉄道に乗り、サンジェルマン・アン・レーに行った時のこと。

「Château de Saint-Germain-en-Laye」

サンジェルマン・アン・レイ城は、ルイ14世が生まれた城で、後にヴェルサイユ宮殿を造り宮廷はそちらへ移ります。

それ以後の長い歴史はここでは省きますが、現在は国立考古学美術館になっています。

朝イチで訪れたこともあり、薄暗い広い館内は人の気配がなく背筋がぞくぞくする感じ。。

この人骨は紀元前5000年頃の女性ですと。骨で作ったビーズの首飾り、手首と足首にはブレスレット。なんというおシャレさん。。

時代の流れに合わせたこれらの展示は興味深いを通り越して、ガツンと頭を殴られた衝撃で美術館を出る頃には完全にパンチドランカーでありました。

壮大な生命の歴史ロマンにボッコボコにされ、私の小さな人間史など吹き飛んでしまった。
それは今まで築き上げた概念が、ガラガラと崩れ落ちた瞬間でした。

「サンジェルマンアンレイ城の中庭』

クラクラしながら城を出て、ル・ノートル設計の庭園をぶらぶら。
そもそも世界史とは西洋の歴史ではなく、東洋も混ぜて学ばねば意味がないのだと思ったりした。日本史、世界史という分断が誤解を与えている。

「冒険魂の店」

サンジェルマンアンレイという街は、高級住宅街でクロード・ドビュッシーが生まれた街でもあります。治安も良くパリよりきれいな街。

ここで発見したブティックが上の画像です。「冒険魂」!

「極度乾燥しなさい」トレーナー。着ているパリジャンをちょいちょい目にしていたので、このブランドは何だ?とずっと気になっていたのです。
モンサンミッシェルでもこのトレーナーを着たフランス人を見かけたし、広範囲に渡る人気ぶりはどうしたことか?

私の推察では、「極度乾燥=スーパードライ」は、ビールのアサヒスーパードライから来ているのではないだろうか。

パリのカフェでよく飲まれているのは、スーパードライの小瓶なのだ。あの切れ味がフランスでも好まれているように思う。

「近所の和食レストラン」

私が住んでいたアパートの近所に、「冒険マンガレストラン」というのがあって、夜な夜なちびっこ炭治郎やちびっこ禰󠄀豆子が出入りしていた。

ここでも「冒険」。
フランス人はどうやら冒険好きのスーパードライ人なのだ。

冒頭の、ケルト人の美意識の高さにノックアウトされた私は、これが一つのメッセージなのだと思い至った。

人生とは冒険の旅。ウェットではだめだ。
極度に乾いていようと。

潤い分野は花に任せ。私はからりと乾いて軽やかに遊ぶ。
智慧を持って遊び通した古代人に負けぬよう。


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