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「癒しの哲学」12月”ココロとカラダをむすぶ、知的冒険” ④プラセボの奇跡

今回は④プラセボの奇跡です。
プラセボって聞いたことありますか?ワタシはプラセボと聞くと、「人間の体って本当にわからないものだなあ~。」と思ってしまう効果が思い浮かんできます。
ではでは、さっそくそのプラセボの探求の旅に出かけましょう~!


偽薬(ぎやく)

「偽薬」とは、本来治療効果を持たない(有効成分を含んでいない)薬。プラセボともいう。主に治験(臨床試験)において、開発中の薬の有効性を調べる際に用いられる。
本物の薬と「外見」「重さ」「味覚」の3点を酷似させたもので、中身はでんぷんなど一切の薬効成分を含まないもの(インアクティブ・プラセボ、不活性プラセボ)か、被験薬以外の薬効成分を含んでいるもの(アクティブ・プラセボ、活性プラセボ)がある。

(参考)水口直樹 プラセボ製薬株式会社代表取締役。
プラセボ製薬株式会社は偽薬を販売する会社です。偽薬とは、有効成分を含んでいないくすりのにせものです。

(参考)吉本興業
「オモシロクナ~ル」「ヨクスベ~ル」「ホレヤスクナ~ル」(中身はラムネ)


プラセボとは

プラセボという言葉はラテン語で喜ばせる(I shall please)の意味。古代医学、また民間療法では、ミイラ薬、蜂の巣、クモの巣、蟻、その他骨や歯の粉末などが使われたといわれる。
外見上では本物の薬と区別のつかない、いわゆる偽薬で、現在ではシュガーピルなどが用いられている。

活性成分を含まない偽薬によるプラセボ効果を最初に報告したのはハーバード大学のH・K・Beecher博士。
例えば、
●喘息患者の半数近くが、偽の吸入器や偽の鍼治療で症状が軽減する。
●頭痛では約40パーセントの人々にプラセボが効く。
●下痢では半数の人々にプラセボが効く。
●潰瘍の痛みに対してプラセボを与えられた研究対象患者の半数以上で痛みが治まった。
●痛みに対する効果を比較すると、プラセボはモルヒネにほぼ等しい。
●複数の研究において、抗うつ剤の投与で患者が体験する反応のほとんどが、プラセボ効果によると考えられるとしている。

(参考)バーニー・シーゲル 著書『奇跡的治療とはなにか―外科医が学んだ生還者たちの難病克服の秘訣』(石井清子訳、日本教文社、1988年)


ノーシーボ(ノセボ効果)

2012年5月、アフガニスタンの高校で約100名の少女と教員が次々と吐き気とめまいに襲われ、気を失い、数時間のうちに病院に運ばれた。その騒動の原因は、「集団心因性疾患」だったのだ。
つまり、プラセボ効果には影の側面がある。心は体によい影響を与えることもあるが、不快な症状を起こすこともあるのだ。この現象の名前は「ノセボ
効果」(ラテン語の英語読みで「私は害を及ぼす」という意味。プラセボは「私は喜ばせる」)であり、倫理的な問題からあまり研究されてこなかった。ノーシーボは人を病気にすることができるし、最悪の場合には死をもた
らすことさえあるのだ。


多重人格障害者の症例

(参考)『多重人格障害の治療』(TheTreatment of Personslity Disorder)


ラバーハンドの実験
いったん幻想がつくられると、脳の活動と行動に影響が及ぶ。偽の手やその近くで起こることに(自分の手と同じように)素早く反応し、誰かが針やナイフを近づければ本能的にひるんだり、手を引っ込めようとしたりする。
アデレードにある南オーストラリア大学の神経科学者ロリマー・モーズリーは、ラバーハンド・イリュージョンが起こっているとき、見えていない本物の手の血管が収縮し、血流が減り、温度が下がっていることを発見している。これは、暗示と幻想を利用すれば、血流と免疫反応に影響を及ぼすことができるという催眠術研究者たちの主張を裏づけている。

(参考)リサ・ランキン「病は心で治す」より
プラセボ反応とノーシーボ反応について探究した結果、体は自己修復するようにつくられており、肯定的な信念と心をこめたケア、そしてそれらがもたらすリラクセーション反応が自己修復のための足場をつくるのだと主張できるようになった。
多くの患者を診た経験から病気になるか健康を保つか、自分で自分を癒すか病気のままでいるかは、どれほど「健康にいい」ことをするかよりも、患者の人生で起こっているありとあらゆることに影響される部分が大きいのだろうと、私は考えるようになった。


プラセボ効果の環境づくり 薬の飲み方

薬の服用方法も、見た目と同じくらい重要かもしれない。この領域での研究はあまりないものの、彼と専門家たちは、治療にさらに重要性を持たせることにより、実薬でも、プラセボでも、人が感じ取る効力を高める可能性があると言う。要するに、薬を飲む〝儀式〟をつくることだ。
特に子どもたちは、この類のプラセボ効果から影響を受けやすい。
親なら誰でも知っているように、キスしたり、擦りむいた膝にハートを描い
たり、発疹にクリームを塗ったり、咳にひと匙の蜂蜜を与えたりすると、痛みや不快な症状に目を見張るほどの効果がある。たとえ、そこに含まれる医療用成分がごくわずかでも、まったく含まれていなくても、効果は同じだ。これは大人にも効果があるらしい。


プラセボ効果の環境づくり 医者と患者の関係

医療の専門家たちが心をこめたケアの空間を設けられれば、患者が自分自身を癒すために理想的な環境をつくりだせる。だが、医者たちは自分が消耗しきった状態でありながら、癒しを必要とする人々に奉仕するという誤ちに陥りがちだ。

(参考)『笑いと治癒力』(岩波現代文庫、2001年)著者ノーマン・カズンズ
「この病気を手なずけ、さらには完治させるうえで、主治医が果たした主要な役割は、すべての治療において、患者の私が医者である彼にとって尊重すべきパートナーなのだと確信させてくれたことだろう」

治療者が親身になり、患者に「自分は脅威にさらされていない、気遣われている、安心できる」と感じさせれば、それだけで大きな生物学的変化が起こり、症状が和らぐ。しかし、残念ながら、予算と時間に制限があるため、西洋医学では、医師と患者の関係を築く余裕はますますなくなってきている。

もしヒーラーがまず自分自身を癒せば、彼らは完全なる望ましい場所から奉仕し、愛することができるだろうし、それによってもっと効果的に世界を癒せるだろう。


ヒーラーが力を増すための15の方法

1 耳を傾ける。
2 心を開く。
3 相手の目を見て話す。
4 ゆっくり腰を落ちつけて話す。
5 平静でいる。
6 ヒーリング・タッチを実践する。
7 患者をあなたのパートナーとして扱う。
8 善悪の判断を避ける。
9 教育するが、命令しない。
10 思いやりを持って言葉を選び、自分は楽観的でいる。
11 患者の直感を信じる。
12 患者の治療に従事している他の医療者たちを尊重する。
13 あなたは孤独ではありませんと、患者を安心させる。
14 ストレス緩和をうながし、患者のストレスをやわらげるような存在になる。
15 希望を提示しよう。なぜなら、診断がどれほど厳しいものでも自然寛解の可能性はいつもある医療者たちを尊重する。


潜在意識の力

潜在意識の力は、肯定的思考の限界を説明しうる。いくら自己啓発本を読んでも、ワークショップに参加しても、新年の決意をしても、生活を向上させると誓っても、1年後にはあなたの生活はほとんど改善されていない。意識(顕在意識)が働く時間は5パーセントでしかないので、潜在意識の強大な力にはとうてい打ち勝てないのだ。信念に永続的な変化をもたらすには、意識だけでなく潜在意識のレベルでも信念を変化させなくてはならない。


以上、④プラセボの奇跡でした。

【まとめ】

ワタシにとっての「プラセボの奇跡」とは?
プラセボを学び、「人間には可能性が秘められている。」ということと、「体は状況により、健康も病気も作られる。」ということがわかりました。

そして、病とは心と関係が深いということを改めて認識することができました。
臓器器官が弱ることが病の原因とは言い切れず、人間関係など複雑な原因が起因で病が発症していることもある。
また、「体にいいから」と健康のために何かすればするほど不健康になるという皮肉な結果になる人もいる。そうかと思えば、食生活を気にせず病気にならない人もおり、後者の人たちの共通点は「幸福感が強い」ということであるということも興味深い結果だなと思いました。

病気の快復に「人」からの「愛」が薬になるということも見逃せない事実であり、ワタシもそのように人に接してゆきたいなと思いました。

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