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黄色い折り紙

ねぇお兄ちゃんこれあげるよ。

天使の様な笑顔で、その子は黄色い折り紙を僕にプレゼントしてくれた。

当時、僕は病院に医療機器の営業周りをしていた。

僕らが扱っている機器は、とある子供たちにも使用されていた。

生まれながらにして死ぬことが定められた子供たちに使用されるものだ。

とある臓器の不全により、生まれてきた瞬間に寿命が宣告されるのだ。

一方で僕は、仕事ができず、死を間近に感じる程絶望した日々を過ごしていた。

そんな中訪れた子ども病院で目にしたもの。

それは寿命までの日々を真っ当しようと明るく過ごす子ども達の姿だった。

子ども達の中でも、特に僕に懐いて話しかけてくれる子がいた。

その子も例外なく寿命が定められている。

自分のことで精一杯になってもおかしくない。

なのに、その子は笑顔でこう言ったのだ。

「お兄ちゃんなんか辛いことあったの?これあげるから元気出してね。」

そう言って渡してくれた。

黄色い折り紙。


家に帰り、黄色い折り紙を見た時、

僕の感情が溢れ落ちた。

涙と鼻水で折り紙はぐしゃぐしゃになった。

だからその折り紙は、もう手元には無い。

でもこうやって頭の中にはずっと存在している。

黄色い折り紙とあの子の笑顔。

その黄色は今も僕を、向日葵の黄色より、太陽の黄色より、眩しく照らし続けてくれている。


終わり



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