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トナカイのおしごと

ここは森の中にある、あたたまるには、ちょうどいいくらいの、ちいさなカフェ『ひだまり』。

黒猫ちゃんと言う小さな女の子と爽やか青年motohiroさんが営んでいるカフェだ。

僕はそんなカフェに普段から出入りしている納入業者のトナカイだ。

そう、トナカイはクリスマスシーズン意外はこうやって森の役に立つおしごとに協力している。

初めは仕事で立ち寄っていたが、いつからか客としても利用するようになった。

motohiroさんの淹れてくれる珈琲はなぜだか心まで癒してくれるから大好きだ。

それにここに来る他のお客様も皆素敵な人ばかりで、こんなトナカイの僕にも気軽に話かけてくれる。

いつしかこのカフェは僕にとっても、大切な場所になっていた。

そんな大好きなカフェの壁に今日、こんな貼り紙がされていたのを発見した。

抜粋するとこうだ。

お客様からの新メニュー募集しています。『#motohiroとカフェ』というハッシュタグをつけてください。期間は9/20(日)21時まで、とさせてもらいます。

ふんふん、カフェの新メニューをお客様から募集か。motohiroさんらしくて素敵ではないか。

条件はなになに

#motohiroとカフェ

をつけて投稿すること。

期限は今月の20日までね。

了解了解!っておい!

そこまで呟いてトナカイは勢いよくどこかに駆け出していってしまった。

そして翌日トナカイはにんまりした顔つきで、ひだまりカフェの扉を開いた。

こんちわーあっ黒猫ちゃん!motohiroさんいます?

うん、カウンター裏のキッチンにいるよ。

ありがとう!

こんちわーmotohiroさん!

motohiroさんはいつもの癒し笑顔で応対する。

あっこんにちは、今日はどうされました?まだ在庫は充分あります。珈琲飲みに来られたんですか?それならお席へどうぞ。今日はいつも以上にいい感じに豆を焙煎できたから、格別な珈琲淹れてあげられるよ。

トナカイの目が輝く

うわっ!ほんとに?いつもあんな美味しいのに、今日は格別って、どんな味なんだ。楽しみに待ってる。

って違う違う!今日は納品でも珈琲を飲みにきたんでもないの。表の貼り紙!黙ってこんな素敵な企画するなんて水臭いじゃないですか!言ってくれれば協力するのに。

motohiroさんは照れくさそうに言う。

いえいえトナカイさんにはいつもお世話になっていますから。あっ、でももしよければ新メニューの案聞きますよ。

トナカイは答える。

いえいえ、僕なんかより、いつも来てる皆の方が良いメニュー考えてくれるの知ってますよ。僕は今日とある物を持ってきたんです。サンタさんにお願いして作って貰った特別品です。

そうやって自信満々に箱から出してきた物にはこう書かれていた。

『ゼロカロリー   シュガー』

それを見てmotohiroさんは不思議そうな顔をしながら話し出す。

おっ、ゼロカロリーシュガーですか。確かにウチには普通のシュガーしか無いから良いかもね。でもごめんよ、サンタさんの特注品って聞いたから期待しすぎちゃったかな。普通のゼロカロリーシュガーに見えるよ。

トナカイはにんまりして答える。

motohiroさんmotohiroさん、よーく見てみて。

よーく見てみると、

ゼロカロリーとシュガーの間に小さな字でこう書かれていた。

『ninaru』と

えーと、合わせて読むと

『ゼロカロリーninaruシュガー』


えっ、これってもしかして。

そう!

これはどんな物もカロリーゼロにしちゃう魔法のシュガーです。これをひとさじ飲み物、食べ物に振りかけるだけで全てゼロカロリーになっちゃう代物です。しかも味に影響は与えません。

僕はここに来る皆だったら素敵なメニューいっぱい考えてくれるって信じてるんだ。でも全部食べてたらカロリーやばいじゃんって考えちゃって。

そんな悩みもこの『ゼロカロリーninaruシュガー』があればカロリーのこと気にせず全ての新メニュー食べられると思って。それに新メニュー考える方もこれでカロリーを気にせず、美味しさだけを追求したメニューを考えられるよね。

そしてそれを食べる。んー今から楽しみ。

motohiroさんはそんなトナカイの熱弁を聞いて笑い出した。

ハハハ、トナカイさんらしい発想だね。そしてありがとう。早速今日から取り入れさせて貰うよ。たぶん沢山使用することになると思うから、納品しっかりお願いね。

はい、毎日でも持ってきますよ。

よし、じゃあ珈琲飲んでく?

はい!いただきます!

そうやってmotohiroさんのカフェに魔法のシュガーが仲間入りした。

motohiroさんこんな

『ゼロカロリーninaruシュガー』

いかがでしょうか。

そして皆さんこの企画ほんとに面白いですよ。是非カロリー気にせず食べきれないほどのメニュー考えてみてくださいね。


終わり




ここまで読んでいただきありがとうございます。