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自己肯定感より「自己効力感」を育てる【双極性Ⅱ型寛解の為にやったこと記録2】

みなさんは「自己効力感」という単語を聞いたことはありますか?

こんにちわ、双極性障害Ⅱ型で10年位元気がなかったのが、ここ一年くらいで急に元気になったので寛解したということにしているたまです。

病歴については最初の記事にまとめているのでよろしければ読んでください

…で今回の記事では自己効力感は何か、自己肯定感と何が違うんだという話をします。

この記事の要点
・自己効力感とは→何か問題が起きても対処できるという自信
・自己効力感と自己肯定感の違い
  →似たような物だが自己効力感の方が高め方が明確
・自己効力感の高め方→何かやってみて成功したら上がる、他
・躁鬱に対する効果→少しでもセルフコントロールが効くと、気分の波自体弱まっていく(自分の場合)


でも自己効力感のこと話す前に、自己肯定感の話をしても良いですか?半分愚痴みたいな話なので、自己効力感の話を読みたい方は最初の章はスキップしてください。

自己肯定感って何なの?マジで

メンタルヘルスとか、悩める現代人の話になるとたいてい登場するこの概念ですが、なんかよく分からなくないですか?
検索すると上の方に出てくるサイトで自己肯定感を育てるセミナー2万円とか売ってるし、、こういう商売が成り立つということは、大体みんなよく分かってなくて答えを求めて彷徨ってるんじゃないかと推測されます。

ちょっと検索しただけの雑な知識で話してますが、端的に言うと「自分の短所も含めて肯定できる精神状態」みたいな感じですよね。
それと「他人や状況などの外的な要因に影響されずに自分を肯定できる=根拠がなくても成り立つ自信」みたいな言われ方をしてることも多いです。

まぁ、そういう状態やそれが大事なのは分かりますよ。
でもそれをどう高めるかの話になると大体ふわっふわじゃないですか?
(認知行動療法的なアプローチは別として)

これは私の考えでエビデンスとかは無いんですが、自己肯定感を高める方法がなぜフワフワしてしまうかというと、それは根本的には自己肯定感って「褒めてくれる他人」がいないと高まらないからじゃないかと思っています。

「他者承認を必要としない肯定感」という定義を用いている記事をよく見るんですが、私はあれは嘘だと思います。
自己肯定感の高い人というのはたいていの場合、幼少期の生育環境において理不尽のない愛情的な態度で受け入れられた感覚のある人
というのは私自身、自己肯定感高くないんで単なる偏見なんですが、世間でもよく言われるので一応前提とさせてください。

そういう人って結局、相手の評価が内面化されるくらい近い関係の他人(大抵親)に、自我がまだ固まってない時期に肯定された記憶が強いから、現状に影響されず自分を肯定できるんですよね、多分。

巷でよく見る感じの、辛い時に出会ったパートナーの言葉や態度で自分自身を変えることが出来た系のエピソードも、不足していた他者承認を得られて自己肯定感が高まったという話だと思います。

つまり何が言いたいかというと、自己肯定感とは基本他人ありきで上がったり下がったりする感覚だということです。

なお私自身、他人からの肯定をキッカケにして考え方がだいぶ前向きになった経験があるので、自己肯定感の重要性自体は全く否定しません

ただその考え方からいうと、「自己肯定感を上げるため」に他人と関わるという方法は、特に「自己肯定感が低い人」にはリスクが高いんじゃないかと思います。相手と上手く行かなくなった時に、一時は肯定感を高めてくれた言葉が一気に辛い思い出になったりするので。

だから他人との相互作用の中で育っていくような情緒は、あくまで自然な付き合いの中で、波長の合う人がいて育ったらラッキー程度に考えるのが良いのではないかと個人的に思っています。

自己効力感が有効だと思う理由

結論としては、自分一人の行動で高める方法論が(自己肯定感に比べると)具体的に確立しているからです。

さて、前の章は飛ばした人もいると思うので要約しますと、
自己肯定感は基本的に「優しい親」か「素敵なパートナー」と長期間過ごすとバチっと充填される感覚だと思っています。
医学的な定義を知らないのでハッキリ言えないのですが、専門カウンセラーのサポートの元で認知行動療法を行うことでも補填が効きそうです。
自分の体験の話をすると、とても良い友達も効果的です。

でも外部要因があって成り立つ精神状態って、結局その人間関係の状態に大きく影響されるし、ましてずっと精神状態が良くないと人間関係の経験値が低かったり、もはや他人そのものが怖かったりして、出来れば自分一人で積み重ねられる方法を軸に改善していきたいですよね。

自己肯定感を高めるメソッドも色々ありますが、個人的には因果関係に捉えどころがなくて、効果はあるんだろうけど、どうも納得感が少ない感じがします。そして、そこが自己効力感が良いなと思う点です。

自己効力感とは

一言でいうと「この先の人生で困難が起きても、自分なら上手く対処できる」という自信です。

なお実際の精神状態においては自己肯定感と明確な境界はなく、どちらかが高まればもう片方も高まる類のものだと思います。

スタンフォード大学教授のアルバート・バンデューラ博士という人が提唱したself-efficacyの翻訳語だそうですが、まぁこの辺の詳細は検索するとよくまとまった記事が出てくるので興味があれば調べてください。

Wikipedia等によると、現在医療現場、特に介護や習慣改善など患者本人の意思の影響が大きい分野において積極的に自己効力感を高めるメソッドが導入されているそうです。

Google scholar(論文検索)で見ても、「自尊心 self-esteem」を含む論文に近い数の論文が発表されており、学術的に注目度の高い言葉であることがわかりますね(多分)

"self-esteem"  2,600,000 件
"self-efficacy" 2,360,000件
"self-affirmation"* 67,200件 
 *日本語の「自己肯定感」に近いとされている単語

自己効力感を高める方法

さて、提唱者のバンデューラの説では4種類が挙げられています(wikipediaより)

達成経験(最も重要な要因で、自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験)
代理経験(自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること)
言語的説得(自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし)
生理的情緒的高揚(酒などの薬物やその他の要因について気分が高揚すること)

③はこれまた他人要素だし、④もちょっと方向性が違うので除外します。

重要なのは①つまり「何かやって出来たら高まる」と②「成功した人を見てるだけでも高まる」という2点です!
特に②は自分の体験からいうと、思った以上に効果があります。

以下では自分の双極性障害Ⅱ型寛解に対して、この「自己効力感」がどう作用したかをお話していきます。

各項目の詳しい定義や汎用的な高め方については他のキュレーションサイトとか、出来たら論文とか見たほうが良いです。検索して一番に出てくるこれとかね

自己効力感とは? 自己肯定感と何が違う? 測定方法・高める方法

ステップ1:苦労して成功した人の体験記を読む

この「自己効力感」という言葉を知ったのはここ一年ほどなので、記事を書くにあたって過去の自分をこの言葉に照らして振り返ってみると、②代理経験の効力は驚くべきものだと感じています。

自分の体験の話

大学から就職して2年目くらいまでの6年ほどは、全く何もしてなかったわけではないですが、その後に比べると自主的な症状改善などにはほとんど取り組んでませんでした。とりあえず「休むこと」が必要だから、無理はしないようにしつつ服薬が基本で、たまに栄養を気にしたり気力のある時にジョギングしたりという感じ。

そんな時に全くスポーツに関心が無かった状態から、何故か突然とある野球選手にハマったのです⚾(その時もう引退していましたが)

最初は憧れとか尊敬ではなく、性格が可愛いからみたいなオタクな理由で関心をもって、ひたすらその人の著書やインタビュー記事、映像などを見漁っていました。
特に著書はその人の、決して順風満帆ではない選手生活の中でどうやって自己規律と努力を続けて結果に結び付けていったかということが書いてあり、「私もこんな人になりたいな、まぁ無理だけどね」と思いつつ繰り返し読んでいました。

そういう生活を始めた直後、劇的な心境の変化が起きました。

一生このままと諦めるのは、出来る事全部やってからでも遅くない。幸い実家暮らしと長年の欲望の減退で少し貯金はあるし、思い切って色々健康に投資していこう

という、今までにない気持ちがわいてきたんです。
これはその選手の本に書いてあった

「(勧められたことは気軽にやってみる。もしその方法が良くなかったと感じて止めても)捨てるという行為は選択肢をひとつ減らすことが出来たということだから、それはそれで進歩である

という言葉に感化されたからでもあるんですが、とにかく自分の中に「自分の努力次第で病気もどうにかなるのかもしれない」という発想が生まれたことが、ターニングポイントでした。

これは今考えると、「努力で自分の人生をどうにかした人」の実例を何度も何度も、内面化するまで観察した結果、自己効力感の「代理体験」が出来た結果なのではないかと思います。

推奨したい実践方法

これに関しては当時の自分は方法論などなく実践してしまったので、振り返っての理由付けになるのですが、ポイントは自分が好感を持ってる人(尊敬が理想)の体験を観察することだと思います。

単に「努力して成功した人」の体験を当たると、一般化したメッセージだけが残って「努力しないと成功できないんだ」というプレッシャーになりかねません。

野球応援を趣味にしていると、「〇〇選手の活躍が心の支えです、いつも元気をもらっています」というようなファンを沢山見かけます。阪神の能見選手に出会って、応援を通してうつ病を克服された女性の新聞投書なんかも話題になりましたね。それも推している選手が成功が「代理体験」になっている、という面があるのではないでしょうか。

その人が成功してくれて心底嬉しいと感じる、病気で頑張れない自分の分まで頑張ってくれ!と応援したいと思える相手の成功を見ることで、自分の無力感まで減らすことが出来るのだと思います。

...ただこれ、上であんまり良くないと言った「他人要素」なんですよね。推してる選手の故障や不遇で精神状態が悪化してるファンも死ぬほど見てきました。

私自身、その選手が数年後プロ野球監督になり、任期中は情緒のコントロールに苦労しました笑
正直ハマってすぐのまだ精神状態が底の時に、その人が監督になっていたら耐えられなかったのではないかとゾッとします。(その分回復を実感できましたが)

なので理想を言うと、もう第一線にいない、評価の固まった人物の成功体験が良いのではないかと思います。そういう人の方が本などの形で体験談を沢山出してますしね。

ただ多少のリスクは差し引いても、やはり「代理体験」で得られる自己効力感は価値のあるものだと思います、特に病気で気力/体力を失って自分主体の成功体験を積むのが難しい状態の人には。

ステップ2:即効性のある行動を習慣に設定して、習慣化の成功体験を積む

私の好きなライターさんの記事でも、精神科医の人が「精神病改善のために小さい目標を立ててそれを達成することによって自己肯定感を上げる」手法を紹介していました。(自己肯定感と自己効力感はアプローチが違うだけで本質的には相互に重なっている概念だと思います。)

まぁ見ての通り、それすら達成できないと余計落ち込むことになるんですが…

そもそも「やってみて成功したら『自分はやれる』という気持ちが高まる」なんて当たり前すぎる話、まずトライする気力も継続する気力もなくて困ってんだよ…という人については、自然とちょっくらやってみるかと思えるまでは、基本的にステップ1の代理体験や他の治療アプローチをお勧めします。

私も結構最近まで、そういうことは出来なかったので。

ただし「自己効力感」という概念知った後、それを育てているという感覚をもって、こういうことが出来るようになった時、本当に劇的に精神状態が安定しました。

なので私の経験から、比較的達成しやすい成功体験の設定し方などをお話ししたいと思います。

成功体験目標の設定

上の記事にもあった通り、失敗すると逆に自己効力感は下がる場合があるので、ここは結構大事なポイントです。人それぞれなのでふわっとしたことしか言えませんが、以下の基準が挙げられると思います。

1. 周囲の基準で「簡単」とされてることで選ばない
2. 即効性のある、気分がよくなることを選ぶ
3. お金を払って、効果が出ると信じられる方法に従う

1. 周囲の基準で「簡単」とされてることで選ばない

早起きとか掃除とか、本当に何よりも苦手な人っています。克服などに相当モチベーションが高くない限り、苦手なものを目標に選ばない方が良いです。

またにゃるらさんをダシに話してしまうのですが、逆にあの方は毎日結構長文のエッセイを更新していて、お仕事に関係があるとはいえ普通の人は出来ないことを習慣化成功しています。

そういう感じで、「自分の感覚では比較的簡単だけど、みんなが出来るわけじゃない」ことを目標に設定するのが良いんじゃないかと思います。
今の私だと英語の勉強を兼ねて読んでる洋書ですかね。大変だけど、話が面白いから少しづつなら苦もなく続けられて、積み重ねの達成感もあります。

2. 即効性のある、気分がよくなることを選ぶ

健康に良くて、やれば即効性の気持ちよさのある事を選ぶと、自分を大事にできているという自己効力感を高めつつ、続けやすいです。

自分の場合真っ先に上がるのが、マインドフルネスだったりジョギングだったり、ちょっと意識高い系すぎてお勧めしにくいんですが、手順を踏んでやると本当に脳内物質の切り替わりを感じるので、事前に決めなくても週に何度かはやらざるを得ない、くらいには習慣化しています。

マインドフルネスとジョギングの効果は個別記事を書くと思うので、よろしくお願いします。

もう少し手軽なところでいうと風呂とか、寝る前のストレッチとかね。週末のサウナ通いとかも良いよね。

3. お金を払って、確実に効果が出ると信じられる方法に従う

ジムや教室に入会してカリキュラムを決めて自分に強制すると効果的、という意味でもあるんですが、
対価を払うというのは、その行為自体が結果に対する期待値(やる気)を高めます。

ネットで検索して出てきた記事の方法を試すより、学者や医者が出した指南書を購入して読んだり、専門家がやっているオンラインサロン等に入る方が、情報の正確性を差し引いても実践するメソッドの効果は上がると思います(サロンは自分は入ったことないですが…)

精神のことは無料の情報が巷に溢れているものの、基本的に有料の情報はクオリティが全く違うと考えて良いです。(この記事も無料ですので、やはり大したことは書いてません^^)

というか現状、本に書いてあることを素人が掻い摘んで適当に要約して転載した情報がインターネットの大半を構成しています。
「上手に伝える事」も仕事の一つなプロの文筆家が書いてる文章は、同じ内容でもやってみようと思わせる力が違うのです。

勿論お財布と相談ですが、何かに挑戦しようと思ったとき、書籍代程度は上記の理由から確実にペイするので多少は初期投資することをお勧めします。

自己効力感の高まりで改善したこと

ここからは完全に自分の体験に依拠した内容になるので、汎用的かどうかは分からないという前提でお読みください。

去年あたりから色々試した結果、どうしようもない気分の落ち込みや将来の不安に対して、マインドフルネスなどの対処法でその思考をストップできるようになったのですが、それが出来るようになったところ、徐々に落ち込むことや不安自体が少なくなってきました。

これはマインドフルネス自体の効果というより、「落ち込んでも自分の行動で気分を戻せる」という自信が付いたことによって、将来への不安が減って、精神的な負荷が減って、落ち込みの程度が減って、また将来への不安が減って…という良いスパイラルに入れたことが大きいと感じています。

最後に -自己効力感は人生の舵を握る握力

最後に書くのもなんなのですが、躁鬱って割とピンポイントで自己効力感をめちゃくちゃに破壊してくるタイプの病気だと思うんですよね。

明日の自分の考えてることが分からないから、明日自分が何ができるのかもわからない。全くなすすべがない嵐の中を小さな船で航海しているような圧倒的な寄る辺なさ、不安定さを私はいつも人生に対して感じてきました。

最初の数年間は、いつか嵐が過ぎると信じてひたすらジッとして流されていた感じです。実際最初のとんでもない大嵐は、投薬治療などをうけてしばらくしたら収まりました。

でもその後も、どこに辿り着けるのか皆目わからない中で、ただ沈まないことだけを考えてグラグラ揺れる船の上で海を彷徨い続けていたと思います。

そんな時に上に書いた野球選手から教えてもらったことは多分、船には舵が付いている、というそれだけの事実でした。でもそれは、本当は船をコントロールして自分が行きたいところに行けるのかもしれない、という希望でした。

始めは、今まで舵を使ったことが無いので見様見真似で、しかも筋肉が全くないので他の人と同じようには動かせません。でも少しづつ出来るところから自信を積み重ねていくことで、今は大分自分の脳内の荒波を受け流して進む力が付いてきたと感じます。

しかもそうやって舵取りに夢中になっていたら、気が付くと波自体が前より穏やかになってることに気付きました。
随分前から基本的には通院してないし薬も飲んでないけどずっとあった「自分は躁鬱だ」という感覚、これがその波の激しさでした。そしてそれが穏やかになった今の感覚を自分は「寛解」だととらえています。

いきなりポエム調の例え話になりましたが、私にとっての自己効力感と双極性の関係はこんな感じです。

つらつらと長々書いてしまいましたが、読んだ人のお役に立てばと思っています。

次はどうしよう、「うつ状態の人がいつも疲れてる」のは何故なのか、とかについて書こうかしらね~

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