空想お散歩紀行 今、どのあたり?
「お?もうこんなとこにいるのか」
自室でPCの画面を見ながらふと呟く。
そこの画面に映し出されていたのは、水平線広がる海の映像だった。
その映像は画面の右から左へと、高速で移動している。
AIとロボットの技術が進んだ未来。人々の生活のあらゆるところにエンタメ要素が組み込まれていた。
ネットショッピングで買った物は、宇宙中のあらゆる星々に届けられる。
荷物はAI制御の輸送船や車で各地に運ばれるが、その荷物の箱一つ一つに超小型のカメラが付いていた。
それらの荷物は全天透明型の貨物台に乗せられて移動する。
商品を注文した者は、自分の端末からいつでも品物が今どこを通っているのかリアルタイムで映像を見られるのだ。
そこの映し出されるのは、満天の星空だったり、惑星に突入する際の景色だったりする。
今や宇宙のあらゆる所から、商品は送り出されるから、見る方にとってはちょっとした小旅行気分を味わえたりするのだ。
そして、星の9割が森と海に覆われた辺境であっても荷物は必ず届く。
「あと、一時間くらいか」
海の映像を見ながら、それが自宅の割と近くであることに気付く。
景色を楽しみながら、あとどれくらいで荷物が届くのかも予想しやすい。
商品の発注から、それが自宅のチャイムを鳴らす間にさえ人々は娯楽を求めているのだ。
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