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エンプラ決裁者フォロー成功のカギ:実践から得た知見を共有

これまで、いくつか記事を執筆してきました。主に焦点を当ててきたのは「仕組み化」の重要性でした。「仕組み化」も重要ですが、エンタープライズ企業の決裁者フォローにおいては、単に仕組み化するだけで良いというわけではないことを、多くの場面で痛感しています。この新たな認識について、今回はその気づきとその影響について執筆しました。


エンタープライズ決裁者フォロー 仕組み化と属人化のバランスの重要性

組織で業務を遂行するにあたり、仕組み化の重要性が常に強調されていますし、私自身強調してきました。しかし、最近では仕組み化の逆効果も感じており、すべて仕組み化するのではなく、人の個性や特性を活かす属人化の重要性にも気づいています。
特に、エンタープライズの領域では、決裁者フォローにおいて属人化の要素が不可欠であると感じています。
私の提唱するアプローチは、
「仕組み化と属人化のバランスを適切に取り、粘着性を高める」
というものです。
この思考に至った背景とその重要性について、以下で詳しく説明します。

背景 仕組み化から人間中心のアプローチへ

もともと私は、決裁者フォローも仕組み化された定型のレポートと提案が最適であると考えていました。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上すると信じていたからです。

この想いのもと、エンタープライズ企業の決裁者に対する定期フォローを実施しましたが、何度も「何かが違う・・・」「(決裁者が)退屈しているようだ。。。」と感じていました。

この違和感の原因を探る過程で、私たちのアプローチが自分や自社の目的に焦点を当てすぎていたことに気づきました。自社が活用してもらいたい機能群があり(ヘルススコアで表現される箇所)、この機能群を中心に話をしてしまいがちです。レポートの内容も我々が利用して欲しい機能群に焦点を当て作成しがちです。顧客の成功(=課題解決)ではなく、自社の成功を考えすぎていました。(自社も成功=売上と利益向上をしなければならないので、バランスが非常に難しいです。)

顧客の成功を目指すカスタマーサクセスの真の目的が、仕組み化の追求の中で失われていたのです。

そこで新たな認識が生まれました。仕組み化は重要ですが、それだけが全てではありません。特にエンタープライズ企業の決裁者フォローにおいては、個々の決裁者に対応する柔軟性が求められます。

改めて『顧客起点』の原点に立ち返り、決裁者が何を求めているのか、どのような戦略を描いているのか、何を課題としているのかを深く理解することを重視しています。これは、決裁者フォロー時だけでなく、常に心掛けるべき事柄であると再認識しています。

エンタープライズ決裁者フォローの成功への7つのステップ

エンタープライズレベルの決裁者フォローは、緻密な計画と個人的なタッチが求められます。私が実践し、学んだ7つの重要なステップを共有します。

  1. 適度な抽象化で仕組み化

    • フォロー頻度を例にとると、X月からZ月の間に実施することを推奨するなど、適切なガイドラインの大枠を設定します。細かく設定することはしません。

  2. レポートと提案の個別化

    • レポートの雛形は提供しますが、内容はCSMの能力向上を目指して個別化を推奨します。決裁者は上位レイヤーでありP/L責任を持っていることも多いので、P/Lに対してどのような好影響がでるのか?逆に推進しないとどのような悪影響が出るのか?説明するように心がけています。具体的な提案内容は属人化する方がいいと考えています。ただし、属人化するということはCSM個々の提案力アップが必須です。

  3. ヒアリングを重視。ただし、ヒアリングだけで終わらない

    • フォロー時は、決裁者のニーズと期待を深く理解するためのヒアリングに焦点を当てます。ただし、ヒアリングだけで終わらない事も重要です。ヒアリングしたのであれば、その場でもいいですし、次回の場でもいいので解決施策(自社のプロダクトやサービスを通じた)を提案しなければなりません。

  4. 社交活動で関係性を深める

    • 会食などを通じて決裁者との関係性と信頼を築き、粘着性を高めます。昨今、会食や接待という価値が低下しているように感じますが私は改めて大事だと感じております。職場を離れた場所だからこそ聞ける話も多分にあると様々な会食に参加をして経験しました。

  5. 無償の価値提供

    • 見返りを期待せず、常に価値を提供し、顧客の成功をサポートします。(ただ、やりすぎは注意です)これは特に顧客の経営層など上位レイヤーに対して行うべきです。例えば、顧客の社長から採用について困っている話を聞いたのであれば、自分たちのサービスではなくても課題解決につながるプロダクトやサービスを提案したりするなどです。このような活動の中で信頼関係を構築することができます。

  6. 多角的な情報収集

    • 顧客のHPやIR資料など、様々なツールを活用して情報収集し、顧客の課題や戦略を理解します。決裁者に会う前に自分なりの課題と課題解決の仮説を考えておくこと、できればドキュメントに落としておくことを推奨しています。

  7. 経営陣のコミットメント

    • 決裁者フォローに社長や執行役員、事業責任者や部長をアサインし、経営陣のコミットメントを確保します。経営陣が参加することで顧客の参加者も変わったり、顧客の対応(話をしてくれる内容など)も変わったりするので経営陣のコミットは必須です。

  8. 直接会うことにこだわる

    • コロナもありwebミーティングにも慣れたのでwebミーティングでいいのではないか、と思いがちですが(私もそう思っていました)エンプラの決裁者フォローは特に直接会いにいくことにこだわった方がいいです。直接会うことで、人の雰囲気を掴むことができますし、事務所の状況を確認することで新たな気づきを得られることもできます。

SaaS業界の顧客属性の多様性を考慮し、これらのステップは一概にすべての企業に適用できるわけではありません。しかし、これらは私の経験と学びを基にした価値ある指南となるでしょう。各ステップの詳細については、別途noteに記載していきます。

終わりに 決裁者フォロー進化の旅

決裁者フォローにおいて「完璧な解」は存在しません。失敗と成功を経験し、プロセスを日々洗練させる必要があります。今後も私は実践と学習を重ね、得た知識を他の企業でも活用できる価値あるインサイトに昇華させていきたいと考えています。

この決裁者フォロー進化の旅は、決裁者フォローの効果を最大化し、お互いの成功につながる真のパートナーシップを築くための不可欠なステップとなります。私の知見が、読者の皆さまと共にこの旅を進め、持続可能な成果を達成する助けとなることを心より願っています。

そして、この探求はここで終わりではなく、次回の記事でもさらなる学びと洞察を共有させていただきます!

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