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日常をベトナムに移してみる vol.2 出発
出発の日になった。
前日早く寝ればいいのだが、なんだかんだで寝るのが2時過ぎになってしまった。2時間ほど寝て、朝5時過ぎに家を出た。4月末の早朝はまだ肌寒かった。
今回の旅はゴールデンウィークを使って、こんな感じで考えている。
4/28(日) 9:30 成田発ハノイ行(ベトナム航空)
4/29(月祝) ハノイぶらぶら
4/30(火) 仕事
5/1(水) 仕事
5/2(木) 仕事
5/3(金祝) サパに行きたい
5/4(土) サパに行きたい
5/5(日) サパに行きたい
5/6(月祝) 19:00 ハノイ発ホーチミン行(ベトナム航空)→0:15 ホーチミン発成田行(ベトナム航空)
5/7(火) 8:00 成田着
出発直前で抱えている仕事の案件のボリュームが膨らんでしまったので、平日は仕事をするのと、休日もおそらく仕事をしないと納期に間に合いそうにない。なので仕事しながら、その合間でしっかりとベトナムを楽しみたいと思う。
前半はハノイで過ごし、後半はできたら「サパ」という中国国境近くの山岳地帯に行ってみたい。
サパは標高1,600mにある街で、少数民族が多く暮らしているエリアだ。
以前、無職旅さん(私がよく見ている旅系YouTuber)が訪れていて、その動画を見て以来、山あいのどこか秘境感のあるこの街にいつか行ってみたいと思っていた。電車かバスで行けるようなので、現地で交通手段の手配をしようと思う。
航空券は往復で94,000円だった。決して安くはないが、LCCのベトジェットでもゴールデンウィーク中はゆうに10万超えていたため、フルサービスのベトナム航空でこの値段だったら許容できるかと思った。
復路をホーチミン経由にしたのは値段を抑えるためで、直行便だと10万をはるかに超えてしまうようだった。
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7時半頃、成田空港に到着。ベトナム航空カウンターでチェックインを済ませ、保安検査場を通過し制限エリア内まできた。搭乗ゲートに到着し、飛行機の出発を待つ。
周りにはベトナムの若い方々がたくさんいた。おそらく日本で働いていて、連休になったから帰国しようとしているのかな。
飛行機に乗り込み、自分の席を確認すると、予約した座席と異なることに気がついた。
私はいつも可能な限り、最後尾の通路側の席を予約する。なぜならリクライニングをマックス倒しても後ろに気を使うことはないし、通路側だとトイレにも行きやすいからだ。
今回も最後尾の通路側を予約していたが、機材が変わったのか、3列シートの真ん中になっていた。右隣には日本の方、左隣は空席だった。
うーん真ん中かぁと思いながらも、周りを見渡すとかなり空席が目立っていて、3つのシートが全て空いている座席もかなりあった。
離陸後しばらくすると多くの方が席を移動していたので、私も同じく席を移動し、3つのシートを独占することができた。これはラッキー。
機内食をいただいたり、映画を見たり、寝たりと平穏な時間を過ごした。
海外に行けるんだと気分が高揚しているかといえば、今の段階ではあまりそんなこともなく、普通の気分だった。たぶんどこかのタイミングで旅モードになるのかもしれない。
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日本を出発してから6時間ほど、窓の外にはベトナムの景色が見えるようになってきた。赤い屋根が連なる、いかにも東南アジアっぽい風景が目に前に広がった。空は霞んでいて、遠くの方は見ることはできない。
以前タイに行った時にPM2.5のひどい時に当たってしまい、ゲホゲホ咳がでるのを経験していた。今回のハノイは大丈夫だったらいいな。
無事、ハノイ・ノイバイ国際空港に到着。
いやーあっという間だったなぁと飛行機を降り、入国審査へ向かう。結構空いていて10分ほどで入国できてしまった。海外に到着すると入国審査の列で時間がかかってしまうが、こんなにも早く入国できたのは始めてだ。
預け荷物を受け取り、到着フロアへと続く自動ドアを抜ける。
「ヘイヘイ!SIMカード!」
「ヘイヘイ!マネーエクスチェンジ!」
到着フロアにいくつもあるSIMカード店、両替店では、店員がブースから体半分乗り出して大声を上げていた。あぁ、東南アジアだなぁ。
特に決め手は無いが、目が合った人のところで両替を済ました。また事前に調べていたベトナムの大手キャリアのSIMカードも購入し、無事スマホが使えるようになった。
空港内のカフェに立ち寄り、1時間ほど、スマホの設定や仕事で使うPCの設定などを行なった。さぁ、そろそろ街に出よう。
空港からハノイ市街までは86番のバスに乗ればよいとネットに書いてあったので、バス乗り場に向かう。空港の自動ドアを抜けるとモワッと質量のあるアジアの空気に包まれた。
すぐに86番のバスは見つかり、すぐさま乗り込んだ。タイミングが良かったのか、乗り込んだらすぐにバスは出発。
しばらくすると係員の方が料金を徴収しにやってきて、35,000VND(214円)を支払った。市街まで40分くらいだから結構安価である。
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バス車内で、そういえば知人のお土産リクエストを聞きそびれた人がいたなと思い出し、ラインを送る。「ジャスミン茶があったら!」との返信がきた。
そうか、ベトナムってお茶文化もあったりするのかなど考えていたら、あっという間に初日の宿最寄のロンビエンバスターミナルに到着した。
「ヘイヘイ!タクシー!」
「ヘイヘイ!バイクタクシー!」
「プップー、プーー(クラクションの音)」
バスを降りた瞬間、一気にアジアの大洪水が押し寄せた。
勧誘、匂い、騒音、蒸し暑さ。
空港やバス内は空調があり快適だった。日本と同じくスマホを触りながら考え事をしたりして意識がまだ脳内にあったのだが、ここではもう意識を外に向けざるを得ない喧騒だった。
宿から来ていたメールでは、ロンビエンバスターミナルから徒歩15分ほどで到着すると書いてあったので、Googleマップを頼りにしながら向かった。
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ドロドロ汗まみれで、宿に到着。そういえば天気予報では最高気温38℃となっていたな。どうりで暑いわけだ。
予約していたのは「Hanoi Buffalo Hostel」というドミトリーだ。チェックインを済まし、8人部屋のベッドに横になった。少し休憩しよう。
1時間半ほど休んでいたらあたりは暗くなっていた。
夕飯も食べたいし、街の散策に出ることにしよう。お目当てはハノイで有名なブンチャーというつけ麺だ。
宿を出ると気温は下がり過ごしやすくなっていた。またハノイの喧騒にも慣れてきて、落ち着いて街歩きできるようになっていた。
ミシュランビブグルマンを獲得しているブンチャーの店に着き、早速食べてみた。美味しいけれども、肉が少しこってりで、2回目はもういいかなというのが正直な感想であった。
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20時過ぎ宿に戻ってきた。
今日の宿は1,000円ほどで泊まれるにも関わらず、併設されているバーで1杯ビールが無料でいただける。かつ朝食付きというありがたい宿であった。
早速無料ビールいただき、プール近くのベンチでゆっくり飲むことにした。すると近くに座っていた男性が、「どこから来たの?」と尋ねてきた。
「日本からきた。1週間ちょっと滞在するよ」と言うと、
「いいね、僕は1ヶ月くらいベトナムで過ごす」と言った。
聞くとドイツから来ていてバケーション中らしい。おそらく年齢は私と同じくらいだった。名前はニルスという。
彼といろいろ話していると、次第にあと5名くらいが集まってきた。皆欧米の旅行者でベトナムに長期滞在しているようだった。
「来週末にサパに行こうと思っているんだけど、行ったことある?」と尋ねると、その中のひとりが、
「行ったことあるよ、バスがおすすめ。ホームステイをしたんだけどすごく良かったよ」と教えてくれた。
そうか、ホームステイという宿泊の選択肢もあるのか。ちょっと興味が湧いてきた。
雑談を続け、1時間ほど経ったところで、南アフリカからきたという男性がトランプを持ってきた。
「ゲームをしよう。トランプを引いて、それぞれの数字に意味があるからそのルールに従ってお酒を飲むんだよ。」
彼はトランプを円形に並べ、順番に一枚ずつ引くように言った。
早口で喋る英語の大半は理解できなかったが、例えばAを引くと誰かを指名して、その人が一口お酒を飲む。9を引いたら3名指名して、指名された人がお酒を飲む。といったように、それぞれの数字のルールがあるようだ。聞くと欧米では有名なゲームらしい。
順番に進めて、ちょっとずつお酒を飲んで、喋って、ほどよく酔って。とても平和で和やかな時間を楽しんだ。
20代の頃はよくドミトリーに泊まっていたが、30代になり、もう別に安宿でなくてもいいかなとか思ったり、コロナの心配などもあり、ここ最近はドミトリーに泊まっていなかった。
今回はコロナも落ち着いたこともあり久々に泊まったが、やはり見ず知らずの旅行者同士で過ごす時間はとても楽しい。
今朝の段階では全く旅モードになっていなかったが、初日の宿で、自分はまぎれもなく旅をしていると自覚した。
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↓つづき
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