初めてのインターンは建設会社だった

はじめに

人生で初めてインターンというものに参加してきた。どんな経験をして何を思ったかをつらつらと書いていこうと思う。

1:きっかけ

突然だが、私は大学3年生だ。3年生…そう、進学しない者にとっては、就活が始まる年。うぅ…。

7月。私は悶々としていた。周りは皆インターンへ行っているらしい。一方、私は授業を受けて課題を終えるのがやっとだった。しかも、心の準備が…。「社会に出るのやだやだ。資本主義嫌い。」みたいに思っていた。救いようがない。

しかし、インターンには行くべきだろう、とも。私は世の中を何も知らないし。…そんな思いが渦巻く中、インターンに参加したきっかけはドット道東という組織の開催したイベントだった。話を聞いてみると、どうやらインターンをやるらしいのだ。

「これだ!」と思い、その後ちょっと話をして粘ってみた。気づけば、ほとんど口約束でインターン参加が決まっていた。ありゃ、すんなり参加できちゃった。


2:インターンやってみた

インターンの概要

インターンの概要はこうだ。

釧路市が若者の市内就業を促進する目的で、今年初めてインターン事業を行う、と。その事業を実際に動かす、いわゆる実働部隊がドット道東という組織。

「ドット道東」を一言で表すのは結構難しいのだが、道東地域の人々をつなぐメディアというか、そんなところだと私は思っている。(実はドット道東にもインターンとして参加しているので、宣伝するぞい☞ https://twitter.com/dot_doto_yuchi/status/1564213675535499264?s=20&t=pjXT8rzBJiKaP-eufTCmwg

そして、今回は市内の3社が受入先として手を挙げた。私はその中で、北東建設という会社にお世話になった。参加者は私含め総勢8人で、北東建設さんには私ともう一方、あとファシリテーターとしてドット道東からお一方という計3人で参加した。ちなみに、日程は3日間。だいぶ濃密なスケジュールだった。

会社について

北東建設株式会社(☞ https://hokutoukensetsu.wixsite.com )は、社長を含めて総勢6人という少数精鋭の会社だ。今回は、なんと社長が自ら2日ほどかけてつきっきりで参加して頂いた。正直だいぶ緊張したが、貴重な機会なのは間違いなく、「こりゃいい経験だ」と心から思った。

さて、建設会社……いったい何をしているのだろう。実は、私は建設業志望ではない。だから、建設業は「まあ、道具とか重機とか使って建物を建てる仕事なんだろう」くらいのイメージしか持てていなかった。

インターン①:業務内容説明、現場見学

「そんなイメージをまずは洗い出してみよう」というのが、3日間あるインターンの最初のプログラムだった。

目立ったのは悪いイメージ。よく「3K」(きつい・汚い・危険)と言われたりもするが、肉体労働とか、職場環境が厳しそうとか。

じゃあ実際はどうなのか。社長は淡々と現実を語ってくれた。

まず、北東建設は現場監督の仕事だ、と言われた。「あ、建設業ってひとまとめにできないのか」と、素人の私は思った。そして、現場監督は肉体労働を一切しない。なぜなら、オーナーから案件を受注し、各専門業者に業務を発注して管理することが現場監督の仕事だからだ。そういう立場なので、作業をする立場ではないし、作業する暇もないわけである。

いざ話してみると、悪いイメージは8割くらい払拭された。(無論、人手不足などの課題は依然としてあった。こういった所も社長は繕わずに全て語ってくれた。)なお、こういった仕事の話は、ドット道東のほうで詳しく記事を書いて下さっている。(☞ https://note.com/dotdoto/n/nf0f7771267d1

その後、実際に現場を案内して頂いた。それも1ヵ所などではない。屋根の修繕工事現場、市営住宅の解体工事現場、建設した公共施設、メンテナンスを依頼された福祉施設、計4ヵ所に連れて頂き、その都度詳しい解説をして下さった。(あとお昼ご飯も。社長、ありがとうございました。)

特に迫力が凄かったのは解体現場だ。間近で重機が建物をぶっ壊している。地面が揺れている。「これ油断していたら死ぬな」と本気で思った。さらに、命綱を付けて足場を上り、屋上と同じ高さで説明を受ける。上から見た現場は壮観で、よく整理されていた。敷地は板で囲われているのだが、これは周辺家屋に危害が及ばないよう、安全管理、環境管理の一環として設置されている。また、屋上では作業員が解体の進行する箇所に水をかけている。これも、粉塵が舞って周辺に広がるのを防ぐためである。これらの管理を行うのも、全て現場監督の仕事だという。

他にも書きたいことは山ほどあるのだが、字数があまりに多くなってしまうので、また別の機会に語ることにする。

インターン②:広報施策の考案、発表

さて、2日目の午後からは我々が考える番となった。「若者向けの広報施策を提案しよう」ということで、プレゼンをするらしい。というのも、北東建設のみならず、今回の受入先3社は共通して「若者に業務内容がなかなか伝わっていない」という課題を抱えているからだ。これを何とかするために若者の意見を聞きたい、というわけである。

しかし、こういうことを考えるのは初めてだったので、だいぶ悩んで、若干議論が迷走するなど、結構苦しんだ。午後から議論し始めて18時にプレゼンが完成する予定にはなっていたが、実際には22時くらいまでかかり、帰宅後もいくらか作業することとなった。人生で初めての残業だった(笑)。

しかし、私の頭がほぼ死んでいる中、もう1人の相手が終始素晴らしい意見を出してくれたこともあり(本当にありがたい…!)、なんとか完成まで漕ぎ着けた。

最終日。釧路市国際交流センターの一室で、受入先企業や市役所の方々、ドット道東の皆さんが一堂に会し、発表会が行われた。ペアの相手が目を見張るようなアドリブ力を発揮する一方、私は無難に発表をこなしたかなと思う。…なんとかなった。心から安堵した。

ちなみに、内容は「トヨタイムズ」のようなスタイルでインタビュー動画を制作し、それを含んだWebページも制作してはどうか、というものだ。社長本人に、「本当のところどうなの?!」と仕事のリアルを切り込む感じ。

この施策を推したのは、社長が終始変わらないトーンで淡々と、しかし熱く仕事のリアルを語っていた、その実直な姿勢に感銘を受けていたからだ。我々は、良い面を誇張したり悪い面を隠すことなく、現場監督という仕事をありのままに伝えれば、必ず刺さる人はいると悟った。勿論、万人受けする仕事ではないし、目立つ仕事でもない。しかし、注目はされないけれども実はプロジェクトを支えている、そういう参謀のような人にはドンピシャである。そういう確信があったから、この施策を提案するに至った。


3:何を学んだか

…だいぶ長くなってしまった。そろそろまとめよう。

でも実は、上に書いたことはまだ学んだことの半分にも満たない。それくらい、多くの学びがあったのだ。

では、何を学んだのか。大きく2つの点を抜粋しよう。

①建設業は「建物を建てる」だけじゃないし、ひとまとめにもできない

「建設業って、建物建てる仕事ですよね?」「建設業って、建設会社が全部やってるんですよね?」

このように思う方は少なくないのではないか。かく言う私もそうだった。

しかし、こういう認識では解像度が低すぎるようだ。実際、建設業は様々な役割の会社が大きなシステムを構成している。

例えば、北東建設のような建設会社は、設計事務所から図面を受け取り、工事を監督する役割を持つ。だから現場に赴くことはあるが、体を動かすことはない。(さらに言えば、設計事務所は建物を設計する役割なので、建設工事を進めているわけではない。)

実際に工事するのは、建設会社から発注を受けた専門工事業者である。専門工事業者は様々な分野、素材ごとで分かれており、その数は膨大である。

このように、建設業を建設業として一緒くたに語ることは不可能だ。様々な役割の人がうまく分担して、様々な仕事を行っているのだ。

②この世には私の思っている以上に多くの職業・働き方がある

現場監督という仕事は、ふだん世間から注目されることは無い。私も全く知らなかった。しかし、現場監督は職業として確かに存在している。このように、日常生活では目に見えない職業はきっと無数にある。

そして、個人的にこのインターンで最も印象に残ったのは、社長の姿だった。その姿はプロフェッショナルそのもので、私は心からかっこいいと思った。仕事に対する捉え方は様々あろうが、私は淡々と確実に仕事をこなしていく、そういう働き方が大好きになった。

そういうわけで、このインターンは私に働く上での指針を与えてくれたと言える。

最後に

最後にはなるが、このインターン、本当にかけがえのない学びを得ることができた。まだまだどうしようもない私ではあるが、着実に、一つ成長できた気がした。

果たしてこの文章がまとまっているのかどうか、いい文章かどうかは読者の皆さんの判断に委ねることにしたい(自分じゃわからないので)。

ともかく、最後まで読んで頂きありがとうございました。ではまた。

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