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生きる意味を届ける参加型コミュニティ

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は福岡県北九州市にてDX推進を手掛けつつ、スタートアップ支援やアトツギ支援を担われている糸川 郁己さん。多彩なコミュニティを育てるコツと想いについて伺いました。

── 糸川さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

本業としては週に四日、北九州市の外郭団体である公益財団法人北九州産業学術推進機構にてロボット・DX推進担当を務めています。北九州市の中でどうやって地域企業のデジタル化やDXを進めていくのか、その施策を立案し実行しています。


── 具体的にどのようなお仕事でしょうか?

デジタル化やDXに興味関心はあるけれども、具体的にどうやって取り組み始めたら良いか分からないといった様に対して専門家をアサインし派遣させていただいたり、また取り組みのハードルを下げるために補助金を準備したりと、様々なサポートを実施しています。


──ちなみに週に四日とのことですが、他にはどのようなご活躍を? 

仕事としてはアトツギ(家業の経営資源を活かして新しい挑戦をする後継者)関係のイベントのファシリテーションや講演を担っています。また他にはITコミュニティの運営やStartupWeeend(以下SW)北九州のサポートを手掛けています。

SW北九州にてリードオーガナイザーを務められた糸川さん


──多彩ですね。様々なことに横断して取り組んでいらっしゃるのはどういった想いがあるのでしょうか?

ただ「地域としてあったらいいな」と思うことに取り組んでいるだけです。今でこそ「北九州の人」なんですが、元々は北海道出身で縁もゆかりもない場所だったんです。その中で、北九州で自分として興味関心があり、出来ることに取り組み続けた結果、「自分にとって居場所となる場所」が出来ていきました。縁もゆかりもないからこそ、ITコミュニティだったり移住者コミュニティだったり、自らの属性に関係する様々なことに手を出さざるを得なかったという(笑)


──様々なコミュニティを実際に作ってみて、如何でしたか?

どんな人と接しても、ほぼ何かしらの引っ掛かりが出来るので、いろいろなシチュエーションで人と繋がれるようになりました(笑)お酒の話題が出てもイベントにお誘いできるし、ITのお話が出てきても、アニメでも、新規事業でも、福岡移住でも、アトツギでも、なんでも(笑)


──コミュニティを作るコツはありますか?

成し遂げなくてはならない強い目的を持った集まり、つまり「組織」ではないことを意識する、ですかね。組織は機能を目的としているので、必ず一人一人に何かしらの役目や役割が設定される。けれどもコミュニティは組織ではなく、同じ属性を持つ方々の緩やかな集いであり、参加者一人一人は必ずしも役割を持っていなくても良い。参加していることだけでも意義がある。もしコミュニティを何かしらの目的のために方向付けようとすれば、集っている仲間に義務を課すことになってしまって、もはやそれは会社などの組織と同じ形。それを続けると誰も残らなくなってしまいます。


──目的を持った組織ではない。

もちろん目的はありますが、それは必達ではない、という風に考えていただければ。去る者を追わず、来る者を拒まずの同じ属性の仲間の集い、それこそがコミュニティですね。そしてもう一つコツがあるとすれば、一人でなんでもかんでもやらないこと、ですね。


──アイデアをカタチにすることと通じるものがありますね。

コミュニティも世の中に存在する以上、マーケットのニーズに応えるもの。誰か望む人がいるからこそです。もし自分一人で取り組んでしまっては、独りよがりで「あれがったらいい」「こうなるべきだ」なんて風に思い込みだけが募ってしまって、マーケットインからは程遠くなってしまう。

コミュニティの本質はアイデアをカタチにすることと同じであると説く糸川さん


──どうやってコミュニティを一緒に運営する仲間を増やされていますか?

偶発性、つまり、たまたま参加していただける方だけに期待するのではなく、コミュニティや参加者の属性の重なりを意識することだと思っています。例えば元々ITのお付き合いの人であったとしても、また別の場所でご一緒したり。この方とはA・B・Cのコミュニティでご一緒している、こちらの方とはC・D・Eのコミュニティでご一緒してるけど、もしかしたらBのコミュニティにも興味があるかもしれないからお声がけしてみよう、など。人と人とのご縁でコミュニティは回っているなと日々感じています。


──糸川さんは北九州を中心にアイデアをカタチにするコミュニティを運営されていますが、どういったところに惹かれていらっしゃいますか?

自分の力で自分の願う未来に寄せられるところ、ですかね(笑)


──他人任せにしたくない、というニュアンスでしょうか?

世の中には無数の批判が溢れ返ってるじゃないですか。例えば行政への批判とか。自分と関係のない世界だと思っているからこそ、人は批判できると思うんです。けれども、もし仮に行政でお仕事をしている友人がいれば、きっと無責任な批判は出来ないと思うんです。もちろん批判は大切ですが、無責任な批判は百害あって一利なしだと考えています。


──世界を知れば知るほど、世界に対して無責任ではいられない。

そうなってくると、自分も関わりたい、自分に何かできることはないだろうか、という風に思考も変わり始めます。そしてそれが想いだけに留まらず、行動へと繋がっていく。それこそが「アイデアをカタチにする」という道だと自分は感じているんです。


──コミュニティを通じて世界が広がったからこそ、責任を取るべくアイデアをカタチにするコミュニティを手掛けられている、というわけですね。アトツギWeekend(家業後継者限定の経営資源を活かすことが前提のSW)に取り組まれているのも同じ想いでしょうか?

同じですね。アトツギに対して並々ならぬ情熱を持つ仲間が集って、自分たちがやりたいからこそやるコミュニティを育てたいと思っています。家業に関わり責任を持つ仲間が、アトツギの、アトツギによる、アトツギのための新規事業開発コミュニティ、として育てば嬉しいです。

アトツギWeekendにてファシリテーターを務められる糸川さん


──そんな糸川さんにとって、コミュニティの理想像とはどんな姿でしょうか?

メンバーの一人一人がやりたいことを明確に持っていて、その上で背中合わせでお互いに支え合えるような関係性、いわば夫婦や家族のような姿です。私はこの立ち位置で、こんな風に貢献します。だからこそこんな時には力を貸して欲しいと誰もがお互いに素直に伝え合えるようなイメージです。


──コミュニティの価値はなんだと考えられますか?

ちょっと大げさな表現になりますが、生きている価値そのもの、と自分は考えています。


──生きている価値

先程もお伝えさせていただいた通り、コミュニティとは同じ属性を持つ人たちが応援し合う場所。例えば起業したい人が集まるコミュニティはお互いの事業を支え合って挑戦を進めていきます。例えばITを愛して止まない人が集まるコミュニティはお互いのITに関する知見を高め合っていきます。会社や家族だけでは得られない求めているものが得られる場所、それがコミュニティだと感じています。


──自分の人生の生き甲斐が見つかる場所ですね。

そういう場所がたくさんあればあるほど、その人が生きていく強さ、英語で言うところのレジリエンスを身に付けることが出来るんじゃないかと。


──個人としては、ポートフォリオのように複数所属していることも重要そうですね。

属性が偏り過ぎることなく、多彩な繋がりを持っていることで、もっともっとしなやかに人生を過ごせるんじゃないかと思います。

様々な属性の仲間が横断して集った北九州未来のビジネス創り対話会の様子


──そんな人生に欠かせないコミュニティの担い手には、どんな素質が求められるでしょうか?

人を制限しない人、人をコントロールしない人、というのが重要ですね。あれしてくれない?これしてくれないの?といった風に人にプレッシャーを与える人は残念ながらコミュニティをマネジメントすることは出来ないでしょう。私自身が出来ているかはさておき。


──それでは次は、アイデアをカタチにするコミュニティを手掛けられている糸川さんから、アイデアをカタチにするために大切なことを教えていただけますか?

続きは下記よりご確認ください。


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