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SOM・SAM・TAMの三兄弟

 新規事業やスタートアップで提案やピッチを行う際、必ずと言っていいほど問われる市場規模。そこに登場する「SOM・SAM・TAMの三兄弟が分かりにくい!」といった声を多く聞くので、今回は簡単な解説を残しておこう。

 一人目は長男TAM。TAMは「Total Addressable Market」の略。直訳すると「自社がアクセスできる全ての市場規模」。もう少し噛み砕くと、「あなたの製品やサービスにお金を出してくれる全ての人々から算出できるビジネスチャンス」と意訳できる。ちょっと分かり辛いのでミカンを用いて解説を。

 例えば新しい品種のミカンを売り出すとする。海外では全くミカンの味が受け入れられず、輸出もできないと前提すると、「日本全国でミカンにお金を出してくれる全ての人々から算出できるチャンス」と言い換えられる。

 日本でミカンを買ってくれる方々が約1割と仮定すると、1,000万人。一人当たり一年に1,000円を支払ってミカンを購入すると仮定すると、1,000万人×1,000円=100億円の市場規模=TAM。

 二人目は次男SAM。SAMは「Serviceable Available Market」の略。直訳すると「自社が提供可能な市場規模」。もう少し噛み砕くと、「あなたの製品やサービスにお金を出してくれる実際の人々から算出できるチャンス」と意訳できる。ちょっと分かり辛いのでミカンを用いて解説を。

 例えば新しい品種のミカンを売り出すとする。確かに日本では1,000万人がミカンを食べる可能性がある(TAM)かもしれないけれども、その中にはオレンジが大好きな人や、高級ミカンしか買わない人も含まれる。

 1,000万人中で条件が合わない方々を20%と仮定すると、1,000万人×(100% - 20%)= 800万人。そこに1,000円を掛け合わせ、80億円の市場規模がSAM。

 三人目は三男SOM。SOMは「Serviceable Obtainable Market」の略。直訳すると「自社が獲得可能な市場規模」。もう少し噛み砕くと、「あなたが製品やサービスを用いて、実際にビジネスをできる現実的な範囲から算出できるチャンス」と意訳できる。ちょっと分かり辛いのでミカンを用いて解説を。

 例えば新しい品種のミカンを売り出すとする。確かに日本では1,000万人がミカンを食べる可能性があり(TAM)、そのうちの800万人が買ってくれる可能性がある(SAM)が、自社が最初にミカンを売れるお客様はどれぐらいなのか(SOM)ということ。

 全国で800万人のお客様がいるものの、自社がミカンを地方特産品として道の駅で販売するビジネスモデルを採用していれば、農園のある地方以外でお客様に売ることは難しい。仮にミカン産地近隣のミカン消費量を全体の50%と仮定すると、800万人×50% = 400万人。そこに1,000円を掛け合わせ、40億円の市場規模がSOM。

 SOM・SAM・TAMは混乱しやすい。ミカンを用いて改めて簡潔に表現すると「ミカンを食べる可能性のある人たちはどれだけいるの?(TAM)」「あなたのミカンを選んでくれる人たちはどれだけいるの?(SAM)」「あなたは実際にミカンをどれだけの人に届けられるの?(SOM)」ということ。

 アイデアにどれだけの可能性があるのかを推し量るのが市場規模。チャンスの大きさを見極めてアイデアを形にする旅路を歩んでいこう。

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