WILL要求が起こすトラブル
とある日本を代表する大手企業では今、「WILL」がキーワードとのこと。人事部から、「内発的動機を見つけ、自律的にキャリアを築くように」とのお達しがでている模様。一見、素晴らしいメッセージに思えるものの、現場では大きな乖離が生じており、状況は残念なものとなっていると耳にした。今回はその背景をメモしておこうと思う。
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一つ目の問題点は、業務時間内にWILLを見つけることが困難なこと。業務時間中は絶え間なく仕事が舞い込み、自分自身の真の内面を探ることは難しい。
例えば、ミカンの収穫で忙しい時に、ミカンの収穫から思考を離して「本当に自分が願っている方向性はなんだろうか」と考えられないようなもの。
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二つ目は、WILLの見つけ方についての具体的な指導がないこと。内発的動機は人それぞれで、どうすれば見つかるかの画一的な答えは存在しない。結果として、人事側も社員側も、どのようにすれば良いのか分からない状況に。
例えば、ミカンを収穫した後に、「ミカンをできるだけ高く売ってね」と指示だけが与えられて、どんな方法を用いるべきか迷って途方に暮れてしまうことになるようなもの。
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三つ目は、マネジメント層もWILLの扱いに苦労していること。人事部から「内発的動機を大切に」と通達があっても、そもそも可視化や数値化されていない心の管理は至難の業。もし仮にメンバーと面談を設定しても、「最近の調子はどう?」と聞くのが関の山。
例えば、ミカンの収穫にアルバイトがやってきたとして、「ミカンの収穫、どう?」と聞くと「これこそ僕の人生で求めていたものです!」と回答されても、相手の真のWILLなんて測りようがなく、管理もサポートもしようがないようなもの。
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確かに、内発的動機を持つ社員はより情熱的に働くに違いない。けれども、現行の多忙な業務ではWILLは見つからず、WILLの探求方法は誰も知らず、またWILLのマネジメントを誰もできないことから、人事部と現場の乖離が続いているとのこと。
もし仮に会社として案内するのであれば『WILLとWORKが一致すれば日々が充実します。だからこそ自身が心から願うことを、気が向いたら探してみてくださいね』程度にするのが吉ではないだろうか。