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決断の先に生まれる皆が求める価値

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は岩手県盛岡市で個人事業主として映像編集やWEB広告などを手掛けつつ、花火大会の企画運営なども担われている佐藤林太郎さん。コミュニティを通じて皆が求める価値を創出されている背景について伺いました。


── 佐藤さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

個人事業主として、盛岡市で映像の撮影や編集、またWEB広告の運用代行などを手掛けさせていただいています。またその他にボランティアで花火大会の企画運営を行っています。

佐藤さんが撮影されたシズル感のある写真

── 盛岡市で花火大会。

そうなんです。実は2022年が初開催の花火大会の。去年に実施しようと思って準備を重ねていたものの、流行り病の影響でサプライズ花火はしたものの、イベントは開催できず、今年の9月に第1回目を実施しました。昨年はその実行委員長として指揮を取り、今年は幹部と企画、スポンサー回りや学生を支える立場を務めさせていただきました。


── 花火大会の企画運営とは中々に珍しいですね。何かきっかけなどお持ちですか?

実はとあるお仕事でとある社長さんとご一緒させていただいたのですが、初対面からこう切り出されたんです。「実は花火大会をやりたいんだよ」と。そこで花火大会という響きに自分も惹かれて「じゃあ、やりますか!」とお返事したんです。


── お互いに初対面で花火大会をキックオフ!

そう、よく分からないですよね(笑)何から手を付ければ分からなかったのはもちろん、いつやるのか、どこでやるのか、お金はどうするのか、何もクリアになっておらず完全に白紙だったんです(笑)


── それでも行動を重ねられたのは何が背景にありますか?

想いへの共感、ですかね。その社長が幼い頃に、池のほとりで花火が上がる様子を見て、それがずっと心の中に残っていらっしゃったんです。けれども時代が変わって、その花火は今はもう見ることが出来ない。今を生きる子供たちに感動を届けたい、そこに自分の心が揺り動かされたんです。もちろん、既存の花火大会が盛岡にあったので、どうして新しく花火大会を作り上げるのかを関係各位にきちんと論理立てて説明するのは骨が折れましたが(笑)


2022年に仲間と共に成し遂げた花火大会(盛岡どんぱ)


── 共感から始まった花火大会が結実した。素敵なエピソードの共有をありがとうございます。そもそも佐藤さんはどうして個人でお仕事を手掛けられるようになったんですか?

実は自ら志したというよりは、気が付いたらそうなっていた、という方が大きいです(笑)


── 気付いたら独立(笑)

そうせざるを得なかった、という表現の方が正しいかもしれません。盛岡市の北の方に八幡平市があって、そこでプログラミングイベントが3~4年前に開かれていて、なんだか楽しそうだと感じて飛び込んでみたんですね。当時の自分は仙台市でサラリーマンをしていたんですが、そこで出会った仲間と何か面白いことが出来そうだなと思って会社を辞め移住したんです。


── 個人の前はチームで動かれていたんですね。

ただ、移住先でチームがうまく機能せず、反省することになったんです。もっとしっかり計画していれば、どうやって移住先で仕事を作るかを考え抜いていれば、と。


── そこから個人での活躍を?

そうです。あぁどうしよう。こうやってサラリーマンを辞めることを決断して、移住して挑戦を始めたばかりなのに、またサラリーマンに戻るのもな…と感じちゃったんです。ちょうどその時、自分が出来ることを棚卸していると「動画」というキーワードが出てきたので、試しにそれでスタートすることにした、という流れです。


── 出来ることからスタートした動画のお仕事は如何ですか?

お仕事としてご依頼いただくことが少しずつ増えてきました。まだまだですが、これからも専門性を高め挑戦を重ねていきたいと思っています。


── 挑戦と言えば、StartupWeekend(以下SW)秋田に参加されていましたが、どういったきっかけに関わられることに?

一番最初は、仙台でSW参加した知人からの紹介だったんです。盛岡で開催したいので、秋田に行ってみんなで体験してこようって(笑)


── そのお話を耳にした時は何を感じられましたか?

一言でいうと「謎だな」でしたね(笑)スタートアップってそもそもなんだろう。何が始まるんだろう。何に取り組むんだろう。週末だけで事業って本当に生まれるんだろうか、とLPを眺めつつ疑心暗鬼でした(笑)


── その謎に満ちたプログラムに参加をしてみて、如何でしたか?

想像を遥かに超えて、非常にいい気付きや学びをいただきました。アイデアソンと違って思い付きで勝負する場ではなく、考案したアイデアをどうやって現実のビジネスに落とし込めるかを勝負する場だったので、日常のお仕事にも活かせる刺激に満ち溢れていました。

秋田にてアイデアをカタチにする挑戦をされた佐藤さんの様子

── 特にどの点で「活かせる」と感じられましたか?

やっぱり自分たちって、日々のお仕事の中で迷っていることが多いと思うんです。営業一つにしてみても、この会社にアポ取ろうかなかなぁ、けれども確度低そうだなぁ、もしかすると別の会社からアタックした方がいいなかあ、今はタイミングじゃなかなぁ、なんて風に躊躇したりとか、自分に対して言い訳を準備して行動を止めてしまうと感じています。けれどもSWには「言い訳できなくなる環境」が用意されていたんですね。


── 言い訳できなくなる環境。

そうです。一言でいうと「期限内に全てをやり切れ」でしょうか(笑)横で必死に取り組んでいるチームからのプレッシャーもあるし、同じアイデアに取り組むメンバーからのプレッシャーもあるし、もちろん運営からもプレッシャーが与えられて、立ち止まることを許されないというか(笑)


── ルールがないことがルール、という場所なので、もちろん立ち止まられて大丈夫でしたよ(笑)

誰からも指示や命令はなけれども、熱に満ちた空気が自分たち行動に駆り立てるんですよね(笑)実際、物事を変えるためには、足を動かす、手を動かす、ただ頭を使うだけではなく自ら動くことこそが重要、と改めて肌で感じさせていただきました。誰かの指示を待っていては、誰かに期待していては、やはり何も変わらない。


── 先程お話をされていた花火大会の企画運営も、誰かに指示されるわけでもなく、佐藤さん自ら動き始めたという点で通じるものがありますね。

そうですね。ただ自ら動き始めたものの、ボランティアでチームを組んだので最初は中々に苦戦しました。やはり誰も彼もが手を上げ率先して動くという姿勢を持っていたわけではないので。


── チームを動かすためにどのような工夫をされましたか?

まず最初に期待を捨てることから始めました。そもそも誰も自分から動いてくれないと。そしてそこから、接点を増やす、という方法を採用しました。平たく言うと「会う回数を増やす」ですね(笑)


── 会う回数を増やす。

地道だけれども、それしかないと自分は思うんです。会って語り合えば語り合うほどに熱量は高くなりますし、お互いの理解も深まって関係性もよくなっていきます。一緒にご飯を食べることで、自然と分かり合えるもんです。自分とタクトさんのように(笑)

中本の盛岡人生初訪問時にもご一緒してくださった佐藤さん

── 嬉しい言葉をありがとうございます。また盛岡冷麺に連れていってください(笑)それはさておき、少し話を戻して佐藤さんは秋田でSWに参加され、そして盛岡ではSWの運営側に回られました。立場を変えて関わることで、何を感じられましたでしょうか?

中に入って考えることと、外から見て気付くことは全く違う、という差を特に感じました。


── 中と外の差。

外にいると、どれだけ中で議論していることが勿体ないこととすぐに分かるんです(笑)あーでもないこーでもないと結論を無理やりに出そうと執着してしまっている姿は本当に勿体ないと感じてしまうんです。もちろん、自分が中にいる時には気付けないのですが(笑)


── 運営という立場になってみたからこそ、気付けた素敵な学びですね。そんな風にして佐藤さんは花火大会からSWまで様々なコミュニティに携わられていらっしゃいますが、どんな風にしてコミュニティは育てられると考えますか?それこそ正に、打ち上げ花火で終わってしまわないように。

難しい質問ですね。コミュニティの育て方は人それぞれで正解はないと思いつつも、自分のやり方をお伝えさせていただくと「コイツ何かやりそうだな!」って自分が勝手に判断した人たちを共犯者という形で巻き込む、ですね(笑)


共犯者を増やして物事を前に進め続ける佐藤さん

── 佐藤さんのお眼鏡に適う必要があると(笑)これは見事に属人化しそうですね(笑)属人化を排してコミュニティをスケールさせるにはどうすれば良いでしょうか?

具体的な方法論はコミュニティによって変わるかと思うのですが、コミュニティ運営に必要なコストを圧倒的に下げることが最短の道かと思います。例えば花火大会、コストを減らすと、頑張って大口スポンサーを捕まえなくても大丈夫になるんです。そうなると、誰でも簡単に準備が出来るようになって輪も広がり易くなるので。


── 確かに。その取り組みに共感した人が、大きな負担なく取り組めることは一つの鍵になりそうですね。

他にはコミュニティ形成には場所も欠かせないと思うので、他の団体や企業と提携して間貸しをしてもらうとか、メンバーの中で持っている物件があれば秘密基地にさせてもらうとか、定期的に人が自由に集まる場所も準備できればベストですね(笑)


── コスト削減と場所の確保こそが俗人化せずにスケールへと至る道。

もちろん属人化も必要なんです。やっぱり人は人に惹かれるところもありますから。例えばタクトさんみたいに達観してファシリテーションを手掛けられる人は、やっぱり名物として残しておくべきですね(笑)本当に誰にでもコピペが出来るものばかりになってしまっては、魅力半減ですし(笑)


── 嬉しい言葉をありがとうございます。コスト削減を優先して何もかもを共通化してはダメということですね。

SWが終わって数日後は、「凄い元気のある方だったなー」なんですが、数ヵ月後には「タクトさんの声、また聞きたいなー」って気持ちになるんですよね。禁断症状というか、虜になっているというか(笑)それが俗人化では大切なんです。


── そんな非俗人化と俗人化によって織り成されるコミュニティは、どんな価値を持っていると佐藤さんはお考えでしょうか?

「みんなが求めることで、みんなが望む未来が現れる」じゃないでしょうか。


── みんなが望む未来。

例えば花火大会だったら、みんなはこんなことを求めるんです。夜空に輝く花火を見たいな、素敵な光景に酔いしれたいな、仲間たちと一緒にわいわいガヤガヤと楽しい夜を過ごしたいなって。そうやって花火大会が現実になる。例えばSWだったら、みんなはこんなことを求めるんです。動き出したいな、一歩を踏み出したいな、ビジネスを作り出したいなって。そうやって誰もがきっかけを得られるアイデアをカタチにする場が幕開けるんです。


── なんて素敵な世界。

みんなが望むことがこの世界に現れる。それこそがコミュニティの価値じゃないでしょうか。綺麗ごとかもしれませんが(笑)

「盛岡でアイデアをカタチに」そのみんなの想いが形になったSW盛岡の様子


── 斜に構えて誰かや何かを批判する姿勢より、理想の世界を語る在り方の方が魅力的です。綺麗ごと大歓迎です(笑)けれども自分たちは現実と対峙しなくちゃいけない。綺麗ごとから現実に落とし込むためには、みんなが望むことを世界にカタチとして現すためには、どんな力や工夫が必要でしょうか?

自分と同じ想いや願いを持つ人を集めること、そして何より、何があっても折れないこと、ですね(笑)


── 何があっても折れないこと(笑)

実現するまで諦めなければ、過程は失敗じゃないんです。月に辿り着きたいなら、月に一緒に行きたいって想いを共にしてくれる仲間を集めて、ひたすらに行動を重ねることが大事だと自分は思うんです。


── 諦めたらそこで終了だと。

共感してくれる仲間を集めることができたなら、もう成功していると自分は感じています。この世界にはアイデアが溢れていて、どれもこれも素敵なんです。やり切ればきっと、全てカタチになるんです。けれどもアイデアだけで終わらせる人が100人中99人。だからこそ、諦めない姿勢こそを持てばアイデアはカタチになるんです。


── 心の在り方が未来を作る。

だと僕は思うんです。もし他に大事なことをプラスするなら、向き不向きや正解不正解を考えない、ことでしょうか。やっぱり自分にとっての天職だろうかとか、このプロジェクトを手掛けることが自分の人生にとって正しいかとか、事前に考えてしまいがちです。僕も一時期、その罠に嵌っていたんですが、どれだけ考えても答えは出ないんですね(笑)


── 行動してこそ見えるものがある。

実際に飛び込んでみて、やっと自分が求めているものや、自分ができることが見えてくる。人は行動することでしか自分を証明できないんだなと腹落ちしました。


── そんな風にして行動からプロジェクトを支え、コミュニティを育てる佐藤さんにお伺いしたいのですが、支える側に回る人に求められる工夫はどんなものとお考えでしょうか?


続きは下記よりお読みください。


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