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課題解決は双方同時に

「マッチングビジネス」はスタートアップのアイデアとして無数に登場しているモデル。しかしながら、それらのほとんどは簡単にアイデアの段階で消え去ってしまう。例えば、関西で起業家支援をされているある方は「一カ月で約50回も聞いた気がします(笑)」と、その頻度をネタにするほど。どうしてそんなことが起こってしまうのか。その理由を今回は簡単に解説してみたい。

 まず、マッチングビジネスは一般的なビジネスと比較して難易度が高い。出会い系やAirbnbといったものが成功しているので、誰でも簡単にできそうに思えるけれども実はそうではない。その理由は、二つの課題を同時に解決する必要があるから。

 例えば、ミカンの収穫を楽にしたいと願うミカン農家の方がいらっしゃれば、それを解決する方法を考えれば良い。例えば新しいロボットの開発やミカンの品種改良が解決策になり得る。一つの問題に対して、一つの解決策を考えればそれで十分。

 けれどもマッチングを用いて解決しようとする場合、もう一つの課題も同時に解決する必要がある。例えば、ミカン収穫の肉体労働に苦労している農家の方々に対し、筋トレをしたい若手のスポーツ選手をマッチングするというアイデアを考案したとする。どちらもWIN-WINに見えるけれども、実は全くそうはならない。

 筋トレをしたい人にとっては「他にもトレーニングできる場所は多数」「わざわざ和歌山のミカン農家まで行くには、時間とお金の面で割に合わない」「そもそもミカン収穫では、筋肉を十分に鍛えることができない」と思われてしまい、課題解決として機能しない。

 そこでアイデアを考え直し、マッチング相手を旅行者に変更して、ミカン収穫を体験として売ろう!と方針を変更したとしてもイバラの道が待っている。せっかくの旅行が肉体労働の苦労だけに終わってしまった、とクレームになってしまう。

 そんな風に、マッチングモデルでは一方の課題を解決しようとすると、もう一方にとっては最適な解決策でないことが多い。そうやって解説を終えてみると「マッチングの難しさは分かりました。ではどんなアイデアを考えれば良いのでしょうか…?」とコメントが届きそうなので、今回は締め括りに一つのモデルを紹介しておこうと思う。

 その名はデリハート。フルオーダーメイドの高級ケーキのマッチングサービス。こんなデザインにして欲しい、こんな材料を使って欲しい、そんな想いがあるけれども、市販のケーキ屋さんはそこまでやってくれない、なんとかして願いを叶えて欲しい、という方と、

 ケーキ屋に務めていても、お店から指定される決まったケーキを量産する日々で、自分自身のレパートリーが広がらない、もっと力を伸ばしたい、そしてお客様の要望を受けることによって、もっと人間味のある仕事がしたい、自分の名前でお仕事を取りたい、というパティシエの願いを同時に叶えるサービス。

 ちなみに、このアイデアの始まりは、ファウンダーが糖尿病を患う父親のために市販のケーキを探したものの、要件を満たすものが見つからず、パティシエに特注ケーキを依頼したこと。一番最初は自分自身の課題解決だったけれども、実はパティシエ側の課題解決でもあった、という流れだ。

 マッチングビジネスは難易度が高い。二人が叶えたいと思っていることを同時に叶える必要があるからこそ、と肝に銘じて進んでいこう。

ちなみに本日紹介のデリハート詳細はコチラ。篠崎さん、素敵なお話をありがとうございました~!

https://www.instagram.com/deliheart_official/


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