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酔っ払いたちの中の差別!

ドラッグといえばすべて違法と思っているひとがいるが、案外そうでもない。

咳止め薬や睡眠薬を使って楽しんでいる人間もいれば、地球上にはマリファナが合法化されている場所も多くある。

ドラッグの話になると、「シャブ」が出てくる。あの清原和博をも失墜させた、いわゆる覚せい剤だ。

僕は「職業には貴賎なし」と思っているが、ドラッグには貴賎があると思っている。

違法か合法かはこの際、置いておく。

ボブマーリーが吸っていたハシシュ、メキシコで呪術のために使われる幻覚キノコやサボテン。ジョンレノンが歌のために使ったLSD。

これらが高貴とは言わないが、少なくともシャブのようにいやしくはない。幻覚を必要とする人間が、それを承知で受け入れる分にはどんなドラッグもいやしくはない。

「あー!今日はとことん飲みたいの」という新橋あたりにいるOLと大差はない。

加えて言えば、アルコール、シャブ、それ以外のドラッグもすべて物質だ。物質自体に貴いもいやしいもない。

個人、および社会、組織との関わりがいやしさを決めるのだ。

そういう意味でシャブは「いやしい」

生い立ち、社会との絡み、金銭の成り立ち、個人に及ぼす作用、どれをとっても愚劣と言える。

ちなみにシャブを発見したのは我々日本人だ。

麻黄という漢方からエフェドリンを単離して、メタンフェタミンを検出した。1940年に「ヒロポン」という商品名で、大日本製薬よりメタンフェタミンは販売された。

戦時中、ヒロポンは特攻隊員に大量に使われた。

敗戦後、軍部所有のヒロポンは市場に流れ出した。それが無くなると、大量に作られ、10年後に覚醒剤取締法ができた。

この時点で150万人近くいた中毒者は、次第に姿を消した(もし来年、『新禁酒法』なんかが制定されたら同じような現象になるのではなかろうか)

その後、1970年代にさらに第二のシャブブームがやってきた。警察がヤクザ壊滅作戦にて暴力団を叩きまくり、ヤクザは韓国から流れてくるシャブに飛びついた。

自国民もへったくれもない、「金」としてのドラッグだ。

韓国では延々とシャブが乱用された。外貨獲得よりも内需拡大という非グローバルな存在も「愚劣」だ。

そのあたりの「仁義」の無さは自国民をシャブ漬けにしている日本の暴力団もあまり変わり無い。

このあたりがシャブのいやしさなのだ。

殺人意欲向上剤として戦争で使われ、次には暴力団の商材。

メタンフェタミン自体には罪は無くとも、このキモさは何なのだろう。

シャブには人間のいやしさを具現化したようなおぞましさがある。

1983年には大阪の暴力団組員が小学6年生の女の子にシャブを打って愛人にしていた。

2014年には大好きなスラッガーもシャブを掴まされた。

僕はジャンキー本人自らがドラッグに近づき、身を滅ぼすのは仕方ないと思っている。誰しも幻覚が見たい夜がある

僕たちは人間をやっているのだ。
「今日は現実が見れないぜ」と嘆く日があってもいいではないか。だから今日も最強の合法ドラッグ、アルコールは爆発的に売れている。

急アルでも肝硬変でも睡眠薬のやりすぎの膵臓炎でも同じだが、ジャンキーたちはみんな「度を超えたら勝手に死ねばいい」のである。

マリファナ栽培をしている人間も、脱法ドラッグを横流している人間も、心療内科でもらった睡眠薬を売りさばいているやつも捕まる覚悟はどこかでできているはずだ。

しかしシャブの下品さは異なる。

訪問販売のように、無知な女子供、小金持ちの有名人を狙って「拡販」していることだ。

売人たちは売りつけるときに「シャブです」などとは言わない。「疲労回復、ストレスに効くメタンフェタミンという薬があるんですよ」などと言って、近づくのだ。

ダイエットにすごくいい、成績が良くなる、収入が上がる、コロナに感染しなくなる。

そういう口説き方だ。事実、メタンフェタミンはそういう作用がある。

ただ、これは疲れがせき止められているだけだ。切れた途端に疲労感が一気にやってくる。この疲れはクスリを一発打つとすぐに無くなる。

人間、動物はすべて快楽原則に則っている。

快、不快のスイッチがメタンフェタミンベースになってしまうと抗えない。

そうならないためには「情報」しかない。

僕の大好きなスラッガーも「情報」一つで事態は変わったのではないだろうか。

大阪に住んでいた頃、ガラのよろしい町だったので、うさんくさい売人がバーをウロウロしていた。

「メタンフェタミンあるけどやる?」

「何ですの、それ?」

「ジョンとかリアムもやってる軽いやつやで」

「クスリですやん」

「日本では禁止されてるけどな。向こうのロッカーはみんなやってるで。最近はアークティックモンキーズとかシンプルプランとか」

などと言って近づいてくる輩たちだ。

のらりくらりと、なんとか血管の童貞は死守できたが、もう少し酔っていたら危なかった。無知のせいで不覚にも打たれてしまったかもしれない。

ここらへんがシャブは愚劣なのだ。

僕が幸運だったのはアルコール好きだったからだろう。正直、酒で充分ヘロヘロになれたのだ。

不気味な男に打たれる注射などいらなかったし、痛いのもキライなのだ。

ラリ中には案外、下戸が多い。体にアルコールの分解酵素が無いのだ。体質的に酒を受け付けない。

しかし彼らも酩酊はしたいので、睡眠薬や抗うつ剤、ブロンやバファリンなんかを乱用してしまう。

シャブは人間のスイッチのオンとオフを切り替えてしまう。すべての薬に同じ傾向はあるが、自然由来なほど、三つか四つエフェクターというか、「抵抗」を挟んでいる。

アルコールは立派なドラッグだが、オンを「酔っている状態」とするとオフは「二日酔い」の状態だ。

このあいだに「睡眠」という、ちゃんとニュートラルな人間としての様相を挟んでいる。これをぶっ飛ばすと、連続飲酒なるアルコール依存者の出来上がりとなる。

大麻などは法律で禁じられているが、酩酊も牧歌的で快・不快の寝返りもない。

やはりドラッグに貴賎はあるのだ。

「人間やめたい」ひとがシャブを打てばいい。

だが犠牲者となる女、子ども、若者、世間知らずの有名人は「人間やめたい」などとはほど遠い。

そんなかよわきひとたちが暴力団の資金源として犠牲になっているのが「愚劣」なのだ。

無残極まりない。おぞましい。








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