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コナン映画の分析をしたらちょっとセンチになった話(黒鉄の魚影観たよ)

はじめに

今年もこの季節がやってきた。そう『名探偵コナン』の映画の季節だ。今年も上映初日に観に行ってきた。

感想はこんな感じて最後の方は設定とかはどうでもよく、ただただ関係性に悶える展開だった。
そこで気になったのだが近年のコナン映画は新一(コナン)×蘭という王道の関係性ではなく色々な2次創作的な関係性を押してきていることに気づいた。
そこで今までのコナン映画における興行収入と関係性の関係を簡単に分析してみようと思った。

参考サイト

公開年・タイトル・興行収入・物語における中心的な関係性

1:1997年・時計じかけの摩天楼・11億・コナン(新一)×蘭

2:1998年・14番目の標的・18.5億・コナン(新一)×蘭

3:1999年・世紀末の魔術師・26億・コナン(新一)×怪盗キッド

4:2000年・瞳の中の暗殺者・25億・コナン(新一)×蘭

5:2001年・天国へのカウントダウン・29億・コナン(新一)×蘭

6:2002年・ベイカー街の亡霊・34億・コナン(新一)×工藤優作

7:2003年・迷宮の十字路・32億・平次×和葉・コナン(新一)×蘭

8:2004年・銀翼の奇術師・28億・コナン(新一)×怪盗キッド

9:2005年・水平線上の陰謀・21.5億・コナン(新一)×蘭

10:2006年・探偵たちの鎮魂歌・30.3億・コナン(新一)×平次

11:2007年・紺碧の棺・25.3億・蘭×園子

12:2008年・戦慄の楽譜・24.2億・コナン(新一)×秋庭怜子

13:2009年・漆黒の追跡者・35億・コナン(新一)×黒の組織

14:2010年・天空の難破船・32億・コナン(新一)×怪盗キッド

15:2011年・沈黙の15分・31.5億・コナン(新一)×蘭

16:2012年・11人目のストライカー・32.9億・コナン(新一)×少年探偵団

17:2013年・絶海の探偵・36.3億・コナン(新一)×蘭

18:2014年・異次元の狙撃手・41.1億・コナン(新一)×蘭

19:2015年・業火の向日葵・44.8億・コナン(新一)×怪盗キッド

20:2016年・純黒の悪夢・63.3億・赤井×安室

21:2017年・から紅の恋歌・68.9億・平次×和葉

22:2018年・ゼロの執行人・91.8億・コナン(新一)×安室

23:2019年・紺青の拳・93.7億・京極×園子・コナン(新一)×怪盗キッド

24:2021年・緋色の弾丸・76.5億・コナン(新一)×赤井

25:2022年・ハロウィンの花嫁・97.8億・コナン(新一)×安室・高木×佐藤

26:2023年・黒鉄の魚影・??億・コナン(新一)×灰原

コナン映画の興行収入遷移
縦軸単位(億):横軸公開年

初期:越えられない40億の壁

こうやってグラフとしてみると、1作目の『時計じかけの摩天楼』(97年・11億)を除き初期のコナン映画作品は代替20億~40億の間で興行収入が推移していることが分かる。現在の視点から考えるとアニメ映画で10億以上売り上げるだけで大成功といえる。(100億台が毎年連発する状況が異常なだけ)その意味ではコナン映画は1作目から人気のある作品であるといえる。

初期の関係性に注目すると当たり前のことだが、コナン(新一)×蘭のパターンが多くなっている。初期の注目作は今でも名作の呼び声が高い『ベイカー街の亡霊』(02年・34億)だろう。この作品は以外にも現実世界で謎解きする工藤優作と今でいうVRの世界で謎解きするコナン(新一)の親子関係がメインになっている。

中期:低迷から再び40億台へ

今では国民的な映画といった感じのコナン映画でも低迷期がある。2005年・水平線上の陰謀・21.5億から2008年・戦慄の楽譜・24.2億までの期間がそれにあたるだろう。
この時期の関係性に注目すると『探偵たちの鎮魂歌』(06年・30.3億)のコナン(新一)×平次、『紺碧の棺』(07年・25.3億)の蘭×園子、『戦慄の楽譜』(08年・24.2億)のコナン(新一)×秋庭怜子など、コナン(新一)×蘭以外の新たな関係性にスポットを当てた作品が目に付く。制作側も手を変え品を変え色々と模索していたのだと思われる。
しかし、この低迷も『漆黒の追跡者』(09年・35億)以降回復し、再び40億円の壁突破を狙える位置にまできた。コナン(新一)×黒の組織というコナンのストーリーの根幹にかかわるような対決をテーマにすることで人気を回復したといえる。

隠れた注目作、コナンがルパンから受け継いだモノ

そしてついにコナン映画は『異次元の狙撃手』(14年・41.1億)で長年の壁であった興行収入40億円を突破する。この映画のメインの関係性はコナン(新一)×蘭であるがこの映画は原作よりも先に沖矢=赤井というコナン本編のストーリーにも関わる設定が明かされるという特異点がある。
私がここで注目したいのは、2013年のスピンオフ作品『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』(42.6億)である。実は映画としてはこちらの方が『異次元の狙撃手』よりも先に40億円を突破している。そこも大切なポイントだが私がより注目したいのは、この2013年~2014年の間のコナン映画の本数である。『絶海の探偵』(2013年・4/20公開)、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』(2013年・12/7公開)、『異次元の狙撃手』(2014年・4/19公開)となんとこの1年の間に3本ものコナン映画が公開されているのだ。私はここでコナン映画がお祭り感を獲得したのではないかと思う。

それはコナンがルパンから受け継いだモノなのではないだろうか。奇しくもルパン三世の劇場版はコナン映画が始まる前年の1996年まで継続して続いていた。また、金曜ロードショーなどで放送されていたテレビスペシャルも1989年から『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』が公開される2013年まで毎年継続して続いていた。(その後、間が空き2016年と2019年にTVSPが放送)コナン以前の毎年のアニメ映画・TVSPのお祭り感を担っていた先輩がルパン三世なのだ。この2013年の映画の結節点においてコナンはその国民的お祭り感をルパン三世から受け継いだのではないだろうか。

後期:国民的アニメへ

興行収入40億円の壁を突破したコナン映画に2つの転機が訪れる。1つは『純黒の悪夢』(2016年・63.3億)である。この作品は今まで2次創作的な注目を集めていた赤井×安室の関係性にスポットを当てたものであり、この映画からコナン映画では初の大応援上映会が行われるようになった。上記のお祭り感がさらに増し、コナン映画はますます人気を博すようになった。
そして2つ目の転機が『ゼロの執行人』(2018年・91.8億)である。ここでついにコナン映画は興行収入90億の壁を突破する。コナン映画は完全に国民的アニメの地位を確立したのである。

ここで注目したいのが、『純黒の悪夢』以降、コナン(新一)×蘭以外の関係性にスポットが当たり続けていることである。これは初期のころから考えれば信じられないことである。そして低迷期に失敗していたといえる新たな関係性への注目が今は成功しているといえる。
コナンといえば「平成のシャーロックホームズ」と謳っていたがいの間にか令和になり、ガラケーからスマホへ時代に合わせて変化してきた作品である。そんなコナンが近年の推し文化や多様性に合わせて様々な関係性にスポットを当てていることは注目に値するだろう。

関係性の消費について

さて、ノーマルな関係性(コナン(新一)×蘭)以外にもコナン(新一)×怪盗キッドのライバルでありバディ感のある関係性や赤井×安室といった2次創作的な関係性までさまざまな組み合わせが可能なコナン映画にとってはその組み合わせを変えることで実質無限に映画をつくることが可能だろう。
関係性の消費には終わりが無い。酒飲みが最後の一杯を探して飲み続けるようにいつまでも続いていく。
それでいいのだろうかという思いと同時に終わったどうなるのだろうという不安もある。25年以上擦り続けてきたこの設定・世界が本当はいつか終わってしまうということを信じられない自分がいる。

おわりに

分析している内に自分が書いている内容が分からず、もう書くのをやめるべきかもしれない。物語と読者・視聴者の絆は、物語が終わっても消えることはなく、再び物語を読んだり、見たりすることで再びその感覚に浸ることができる。こんなセンチなことを考えるのは1年に1回位でちょうどいいかもしれない。

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