【図解】僕らは『心』でモノを買う
突然ですが、皆さんは何かを購入するときや買い物を終えたあとで、
「自分はどうしてこれを買ったのだろうか」と深く考えてみたことはあるでしょうか?
恐らく、ほとんどの方が買い物をしたという満足感や充実感に浸ってしまい、自分がモノを買った理由を深く考えたりはしないはずです。
ところが、この”モノを買う動機”を深く考えるという行為は、
コーチとして売上が伸びずに悩む人にとっては大きな価値があります。
”人がモノを買う”
現代社会において、私たちは毎日のように何かしらを買って生活しています。
あまりにも当たり前すぎる「買い物」という行為ですが、
時代の変化と共にマーケティング戦略としてその動機を考えることは無視できない大きなファクターになってきています。
その証拠に、
「マーケティング理論に関する本なら沢山読んできました!」というコーチが、売れずに悩んでいる姿をこれまで私は何度も目にしてきました。
学術的なマーケティング論はもちろん重要ですが、
そこに傾倒しすぎても”売れるコーチ”になれないのが今のコーチング市場。
今回は、マーケティング論の変遷を簡単に解説しつつ、
モノを買う決め手となる”購入者の心”を捉えることの重要性について紹介します。
マーケティング論も日々進化している
私は本業が”経営コンサルタント”ということもあり、
これまでの記事で”売れるコーチ”になるために有用なマーケティング論や考え方を紹介してきました。
例えば
・ライバルコーチを徹底的に分析しようと考えた場合なら4P分析を取り入れると判りやすいですよ
・コーチング市場はマーケティング論でみれば”稼げる市場”ですよ
などの話を以下の記事で解説しています。
これまで散々マーケティング論の話をしておいて、
マーケティング論だけではダメだなんて矛盾してるじゃないか!
もしかしたら、そんな風に思った方もいるかもしれませんが、そうではないのです。
無形商材を扱う特殊な市場とは言え、
コーチング市場で売上増大を狙うなら一般的なマーケティング論が有用なことは事実です。
しかし、目まぐるしく変化する「時代の流れ」や「環境の変化」と共に、
マーケティング論だけでなく、その一歩先まで踏み込んだ販売戦略を考える必要があると言えます。
その一歩先へ踏み込んだ販売戦略の肝となる要素こそが、”消費者の心”であり”動機”となります。
本題に入る前に、私がこれまで紹介してきた4P分析をはじめとしたマーケティング論の歴史について少しだけお話しておきましょう。
マーケティング論の変遷を簡単に解説!
<製品中心のマーケティング>
マーケティング論に関する書物や情報は現在溢れかえっていますが、
その始まりは19世紀終わりごろだと言われています。
皆さんも学生時代に学んだと思いますが、マーケティング論の台頭に欠かせない出来事が、あの有名な”産業革命”です。
簡単に言えば、機械化が進み大量生産が可能になったことで、
”大量の商品をいかに効率よく売りさばくか?”という需要からマーケティング論が産まれた、ということですね。
沢山作れるようになったから、いかに「安く」「効率よく」消費者へ商品を届けるか?
これを学術的に考えた結果、最初に生まれたフレームワークがいわゆる4P分析です。
そして、、
<顧客中心のマーケティング>
時代が流れ大量生産の技術が普及するようになると、
「大量に作れる」「安く作れる」という技術面での優位性が保てなくなってきます。
安くて良い商品で溢れかえった市場で、顧客は商品を選べる立場となり、
競合他社との”差別化”を考えなければ売れない時代の到来です。
こうした時代に登場したのがSTP分析というフレームワークでした。
STP分析を活用して、差別化で”売れるコーチ”を目指す具体的な方法は下記記事で紹介していますので、是非目を通してみてください。
【図解】コーチとして売上を立てるなら、とにかく絞るべし
簡単にSTP分析を解説すると、データや市場分析から「顧客のニーズ」を探り、適切な場所で、適切な(求められる)商品を提供すれば売れる!という考え方ですね。
顧客のニーズを知り、求める商品を提供する。
これはマーケティングにおける一つの真理であり、
明確な正解の一つであることは疑いようが無い事実です。
だからこそ、私もこれまでの記事で売れないと悩むコーチに少しでも役立つ情報として、4P分析などを紹介してきたのですが、
現代のマーケティング論にはさらに一歩先があります。
少し難しい話になってしまいましたが、噛み砕いてザックリとマーケティングの変化をまとめると・・・
安く提供すれば売れた時代(製品中心のマーケティング)
↓
顧客のニーズや市場に合わせて物を売る時代(顧客中心のマーケティング)
↓
さらに一歩先へと進んだマーケティング論(今回はココを紹介していきます!)
フレームワークだけでは伺えない顧客の”心”を重要視する
安い商品を効率よく販売するマーケティング。
顧客のニーズを分析して適切な商品を販売するマーケティング。
どちらのマーケティング論も、人間が社会生活を営み続ける限りは、その有用性が完全に失われることは無いと言えます。
しかしフレームワーク、つまりひな形やオートマチックなシステムに従い、
「このやり方をしておけばモノが売れる」という単純な時代では無くなってきていることも事実です。
私がこれからお伝えしたいのは、フレームワークが使えない・・という話ではありません。
4P分析やSTP分析など、マーケティングで基本とされるこれらのフレームワークは間違いなく集客に役立つ知識であり、売れるコーチを目指す為の武器になります。
ただ、それらの武器だけでは”売れない時代”に突入していることに気付けない人は、取り残されていく可能性が大です。
(逆に、フレームワークにはめるだけで売れるのであれば、苦労はありませんよね...。汗)
これからの時代は、フレームワークのさらにその先、
つまり「消費者の心の動き」までを意識した販売戦略が求められています。
コーチング市場で言えば、ちゃんとクライアント(お客様)の心がどう動くかを理解した上で販売戦略を練っていますか?ということですね。
売れるコーチを目指すなら、顧客の心にまで意識を砕きましょう。
単にこれだけ言われても、具体的にどうすればいいのか判りませんよね。
消費者の心がどのように動くか、それを踏まえた販売戦略で成功した具体例を交えながら解説していきます。
消費者の心の動きを捉えて売上が増大した具体例
割と有名な話なので、ご存知の方もいるかもしれませんが、
小学生~高校を対象とした学習塾「ベスト個別学院」の成功を例に、
消費者の心を捉える販売戦略を解説します。
結論から言えば、ベスト個別学院はコロナ禍の影響で同業他社が軒並み大打撃を食らう中で入塾率を逆に増やす事に成功しています。
なぜ他の学習塾がコロナの影響であえぐ中、ベスト個別学院は生徒を増やす事に成功できたのでしょうか。
ここまでお話してきた流れに沿って、
”仮に自分が学習塾の経営者だったらどうするか?”と想像しながら読み進めてみてください。
まず4P分析やSTP分析を活用して、どのような商品をどういう人たちが望むのかを考えるのがフレームワーク的なアプローチとなります。
コロナ禍という状況を考慮した上で、恐らくこれを読んでいる皆様も以下のような顧客像が浮かんだのではないでしょうか。
▼こんな顧客イメージが見えてくる...?
・コロナ禍による学習の遅れが気になっている学生や親
・満足な学習体制が整わずに不安を感じている学生や親
・感染リスクに対して過敏になっている学生や親
こうした顧客イメージが見えてくると、そこからニーズを探ろうとしますから以下のような販売戦略を打ち出すのが自然な流れになるはずです。
▼こんな販売戦略や広告を打ち出す...?
・感染対策の強化で安全、安心な学習体制のアピール
・オンライン授業の展開
・学力低下の不安を解消できる授業内容や講師の充実
他にも、コロナ禍による経済力の不安などを考慮して、
低価格をアピールしたり様々なプランを新規開設する、などの戦略も浮かぶでしょうか。
ベスト個別学院だけでなく、他の学習塾でもこうした販売戦略には確実に辿りついています。
そしてコロナ禍で減ってしまった生徒を戻す為、
必死にこうしたストロングポイントをアピールして集客を狙いましたが思うような結果に結びつく事はありませんでした。
同じフレームワークで導き出した、共通の顧客像とニーズ。
それなのに、ベスト個別学院と同業他社の売上には明確な差が生じたことになります。
一体、何が明暗を分けてしまったのか?
その答えこそが「消費者の心の動き」を、しっかりと見据えて販売戦略を練っていたかどうか、という違いだったのです。
CMでのメッセージが学生や親の心を動かした
以下は、ベスト個別学院が流したTVコマーシャルのメッセージをそのまま書き写したものとなります。
小中高のみなさん
今、いろんな不安があるよね
でも、大丈夫。
この夏で取り戻そう。
全力で応援します。
ベスト個別学院
派手な演出などはなく、
シンプルな黒板に上記の文字が映し出され、ナレーションで読み上げるだけのコマーシャルでしたが、
結果的にはこのCMが消費者である学生や親の心に深く刺さり、業績アップに繋がっています。
ちなみに、同じころに同業他社が打ち出したCMやチラシのメッセージは、
感染対策の強化をアピールしたものや、オンライン授業を強くアピールしたものがほとんどでした。
フレームワークだけで考えれば、的確に顧客イメージとニーズを捉え、
適切な商品を提供するという他社の方法も間違っていないはずです。
にも関わらず、目に見える成果を上げたのはベスト個別学院で、
正しいマーケティングを展開しているはずの同業他社は苦戦を強いられたのです。
この具体例から判るのは、
これからのマーケティングでは「消費者の心」という、
データや分析だけでは見えてこない要素も加味することの重要性です。
コロナ禍という異常事態、学校の休校など未曾有の状況に置かれた学生や親。
こうした人たちの心を考えた時、真っ先に思い浮かぶのは「不安」の2文字ですよね。
先行きが見えない不安、学習の遅れや友人と会えない不安、子供がどうなるのかという不安、受験や進級への不安。
そして、誰にも先行きが見えないからこそ、
誰かに「大丈夫だよ」と言ってほしいという欲求があったのも確かです。
ベスト個別学院のシンプルながら核心を突いたメッセージが、
不安を募らせる学生やその親たちの心を動かし、その結果が生徒数の増大だったという明確な成功例で、
これは私たちコーチングの市場でも絶対に活用すべき考え方だと私は思っています。
クライアントの本質的な欲求を追求する
マーケティング論における4P分析やSTP分析は非常に役立つものですが、
データや分析から見えてくる”クライアント像”の先で実際に居るのはデータや数値ではなく、一人の人間です。
もちろん、特定の誰かを具体的にイメージできる訳ではないため、
群像としてザックリとしたニーズを分析する作業は重要です。
しかし、よりディープにまだ見ぬクライアントの”心”を動かせるように工夫することことが、”売れるコーチ”を目指す上では必要不可欠な要素だと私は確信しています。
自分の経験や強みを活かせる販売戦略を打ち出し、販売対象を絞ることが大切だと過去の記事でもお伝えしましたが、
さらにもう一歩深く、
自分がイメージするクライアントの心を動かすためにはどうすれば良いのか?を考えることが大切なのです。
ある意味では、私がこうして新人コーチや売り上げに悩むコーチに向けて、
情報を提供しているのも上記を意識して行っていると言えます。
私が書いている記事は、実際に売れずに悩み苦しんでいた時期、
私自身が考えていたことや、
「こういうモノがあればいいのに」
「誰かがこういうことを教えてくれればもっと早く売上が上がったのに」
と思ったものをそのままお伝えしています。
お陰様で私の記事を読んで参考になった、悩みを解消する糸口が見えた気がする、という感想を頂けますが、そういった方が確かにいるということは、
少なくとも私の記事も誰かの心を動かせている..のだと思います。
私たちコーチの場合、不特定多数のクライアント全てを視野に入れる必要はありません。
自分が得意な分野、自分の経験が活かせる分野で、ほんの数人~数十人へ、「そうそう!まさにこういう悩みなんだよ!」という共感を産めるメッセージを意識して届けることが大切です。
自分が最高のパフォーマンスを提供できる”場”と”ニーズ”を探り当てたら、さらにもう一歩踏み込んで、
「クライアントが本当に望んでいるものはなんなのか?」という心の動きをじっくり考えてみてください。
そしてクライアントが望む本質的な欲求が見えてきたのであれば、
自分を売り出すためのキャッチコピーやメッセージに反映してみましょう。
私も、キャッチコピーや気の利いたフレーズなどはまだまだ勉強中の身ですが、一つ言えるのは本気でクライアントの心の動きまで考えると、飾らない言葉でも充分伝わる、ということ。
自分の経験を活かしたコーチングを展開するなら、
自分が過去にどんなことに思い悩み、どんなことを強く望んだか?
を振り返ってみてください。
きっと、答えがすぐにみつかるはずです。
心の動きに寄り添ったアピールが出来れば、
数多のコーチがひしめくコーチング市場の中から、
あなたに共感してセッションを熱望してくれるクライアントが必ず現れます。
マーケティングの知識や方法論を駆使しても集客が出来ないコーチは、
クライアントの心にまで意識を広げて考えることで、クライアント獲得への大きな足掛かりになるはずですよ。
一人でも多くの悩めるコーチが、この記事で少しでもコーチとしての成長に役立ててくれたら幸いです!
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ぜひセッションへお役立てください。
・大手コンサルティングファームにて会社員として職務に従事
⇨財務、マーケティング・集客に特化
・海千山千の経営者と毎月PDCAを回すことへの壁にぶち当たる
・2020年3月にプロコーチ資格を取得
・同月、ココナラにてコーチングセッションを販売開始
・2020年5月 法人向けにエグゼグティブ・コーチングを提案
・コーチングサービスの見える化を徹底的に実施
・2021年3月 月次売上30万を達成。
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