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「外食を救うのは誰か」を読んだ感想

こんにちは。
本日は読書シリーズ。
「外食を救うのは誰か」についての感想を書きたいと思います。

最後まで読んで気付いたことですが、
外食を救うのは誰か?という問いに対する答えは著書の中には明記しておらず、ただただ外食産業における問題点であったり、その問題が頻発するような構造をつくってしまった歴史だったりを紹介してくれています。
最初に思ってた内容とは少し違いましたが、外食産業に関わる方にとってはかなり勉強になる一冊かと思います。

Ⅰ 現在に至る外食業界における課題 3点

本書に書いているあることをふまえ、外食業界の現在に至る問題点を3点ピックアップしてみます。本書には他にも問題点の指摘がありますが、今回はあくまでも私の気になった部分のみのピックアップです。

1.DX化の遅れ

まず1つがDX化の遅れが挙げられています。
特に深刻なのが、何をどう使えばいいのかを外食業界の人が分かりきれてないケースが多い。またITベンダーとの付き合い方もわかっておらず、結果として独立しているシステム同士を併用して利用するがために、互いのシステムの数字を突合させる時間が必要になったりする。

著書に記載があった例を引用するとブルースターバーガーがある。

テクノロジーと飲食をかけ合わせて、これから一気にハンバーガー業界でシェアを伸ばすと考えられていたブルースターバーガーだが、残念ながら閉店することになった。

その際にブルースターバーガーの失態という部分では、システムの事前確認と意思統一が出来ていなかったことがあるらしい。
当初、依頼していたITベンダーには完全キャッシュレスのシステムを依頼していたが、途中で現金対応も行うと判断した際にそのITベンダーではオプションで現金対応することが難しいということがわかった。結果として一からシステム開発が必要となり、最初に会員登録してくれてた方の情報も一回手放すことになったという。

2.コスト管理

すかいらーく創業者の横川氏が「平成の時代に 外食は安い と認識させてしまった。」と発言している。

外食産業は本来 食材だけでなく人件費や家賃、そしてサービス料も含んで、もっと値上げをするべきであったが、平成のデフレ競争の際に「外食は安い」という印象を世間に植え付けてしまった。

結果として、今でも厳しい価格競争の中で戦っている飲食店が多く、限界まで低コストを実現しているが、そのせいでときどき不正が発覚したりすることもある。

当初から徹底したコスト管理がなされていて、外食チェーン大手の全社がいきすぎた価格競争をしていなければ、現在の姿はまた違った形なのかもしれない。

3.顧客管理

飲食店にとって最も大事な集客について、グルメ媒体に頼りすぎた。と筆者は指摘します。
グルメ媒体に掲載して、新規の客を呼び込むことは、お金さえかけたらある程度の成果は見込めるから難易度は高くない。またクーポンや値下げなどを行い来店の動機をつくることも特別に難しいことはない。
しかしそうしている間にどんどん価格競争が進み、安く提供することに目が向き、その結果として、低賃金で働かざる得なくなったと筆者は主張しています。

本来であれば、グルメ媒体やクーポンにかける予算はリピーター客の創出のために費やすべきであったが、リピーター客の創出をするためにはお金以上に様々な知恵が必要で労力も時間もかかり大変である。そのため、外食産業はグルメ媒体に頼ったり、クーポンをばら撒いたり比較的簡単なほうに流されてしまったと指摘されています。

Ⅱ 外食の新時代が到来する

本来は外食産業はコロナ前から問題は山積みであったが、コロナが来るまでなんとか凌げていたのは、団塊の世代がアクティブシニアとしてたくさん消費をしてくれたことと、インバウンド需要が一気に増えたことによって、奇跡的に運良く生き延びることができた、という。
しかしながらコロナでシニアが外出できず、外国人が入国できない状態になり、各社が苦戦している状況になった。

そんな中、筆者はこれからが外食の新時代だという。
これまでの価格競争を繰り広げ、低賃金にならざる得ないような構造から抜け出すことができなければ、まず外食産業で働く人手が本当にいなくなるとのこと。だからこそ、今現在が日本の外食産業が革命的に変わるときであり、この数年間で大きな変化が訪れるであろう、とのこと。

Ⅲ 読書感想

私自身も日々飲食店の方のシステム導入をさせていただく中で、色々話すことがあるのですが、皆さん スタッフの確保が今までのようにできずに困っている印象が強いです。
人手が足りないのはシンプルに働き方の選択肢が増えたため、外食で働くことを選ぶ人が減ったのだと思います。
その観点で考えても、何かしらの変化が起こり、魅力的な会社、魅力的な業界に変わらなければ、今以上に人手が不足し続けると思うので、まずは業界そのものが変わっていくことがあらゆる問題の根本的な解決になるのかな、と思います。

本書でも記載しておりましたが、外国では1つの街に飲食店の出店数の制限があったり、飲食店を出店するための基準をクリアするハードルが高かったりするところも多いみたいですが、それに対し日本は出店に対するハードルが低い。だから供給過多になっているという見方もあるようです。

そう考えると、各社の取り組みというよりかは業界としての何かしらの変革が必要なのかもしれませんね。いずれにせよ今後数年間でどのような変化が起こるのかが楽しみです。

本日は以上になります。ぜひ皆さんも読んでみてください。


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