日本における、COVID-19の肺臓炎に対する診療の注意点

肺臓炎covid-19

現在、COVID-19に対する抗ウイルス薬や、COVID-19の症状に応じたさまざまな治療薬の開発が進められている。初期のCOVID-19の症状は、軽度な風邪症状のみしか認められない。しかし、急激に症状が悪化して、人工呼吸での呼吸管理が必要な重篤な肺炎に進行する多くの症例が報告されています。英国で行われた入院患者を対象とした大規模多施設無作為化オープンラベル試験では,標準治療を受けた患者と比較して、デキサメタゾンの投与を受けた患者の致死率が減少したことが示された。日本感染症学会では、慢性好酸球性肺炎,または特発性器質化肺炎が認められるCOVID-19患者に対してデキサメタゾンでの治療が推奨されている 1。

しかし、COVID-19に対する診療の過程で、細菌性肺炎が認められる症例は少なくない。一般的に、細菌性肺炎に対する副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)処方は、細菌性肺炎の増悪させてしまう。したがって、COVID-19患者での肺臓炎の診断は、慎重に行わなければならい。

COVID-19の肺臓炎と普通の細菌性肺炎との鑑別診断は容易ではない。
日本感染症学会のCOVID-19診療ガイドラインにおいて、以下の事項が明記されている。

• COVID-19の肺臓炎では、咳が認められるが、痰は認められない。
• 細菌性肺炎では、白血球、特に好中球の増加が認められる。しかし、COVID-19の肺臓炎では、白血球の増加は認められない。
• COVID-19の肺臓炎では、感胆道系酵素の上昇がよく認められる。

治療方針が異なり患者の予後に影響するため、細菌性肺炎とCOVID-19の肺臓炎との鑑別診断は、慎重に行わなければならない。

現在の研究成果より、SARS-CoV2は、ヒトからヒトへ感染することが認められている。COVID-19の主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。SARS-CoV-2の飛沫感染や接触感染に対する予防として、手洗いや手指消毒を徹底的におこない、マスクの着用が有効です 2。さらに、日本の厚生労働省は、症状がない場合でも外出時、マスクやスカーフなどで鼻と口を覆うことを推奨している。COVID-19に対する予防に関する研究が進められている。

References
1. https://www.mhlw.go.jp/content/000650160.pdf
2. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000607629.pdf               JAMA, 

がん治療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症            New Engl J Med. Published on December 18. 2020.   by 京都@Takuma H

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?