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【お菓子業界の光と闇】23歳修行中に見たリアル


こんにちは。タクマです。

小さい頃の将来の夢ランキングでも上位に入ってくる職業のお菓子屋さん

漫画やテレビなどで取り上げられる事も多く
華やかで可愛らしい職業というイメージで人気が高いと思います。

今回は元お菓子職人の僕がお菓子業界の裏側について語っていこうと思います。

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【僕の修行について】


僕の実家は九州にある50年続く和菓子屋です。小さい頃から大きくなったらお店を継ぐ事が当たり前のように夢でした。僕の実家は九州にある50年続く和菓子屋です。小さい頃から大きくなったらお店を継ぐ事が当たり前のように夢でした。

高校を卒業後、お菓子業界で人脈を広げることと事と、
技術を学ぶ為に九州にあるお菓子の専門学校に入学しました。

男女比率は3:7
男の人だと女の人が多くて嬉しいと思うかもしれませんが
男子は肩身の狭い生活をおくっていました。
1日中立ちっぱなしで授業を受けたりなど高校の頃と全く違う環境が大変でした。

専門学校学校で2年間しっかり学び、親元を離れ修行に集中する為関西の和菓子屋に就職することに。たくさんの事を学び、一人前の職人になるぞとワクワクして関西に出てきました。

ここが僕の地獄の修行生活の始まりでした…

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(和菓子屋ではあんこを炊く仕事が花形です。)


【理想と現実のギャップ

実家が和菓子屋で小さい頃から親の働く姿を見て育ったので、それなりに業界の事情は知っているつもりでした。華やかで可愛らしいというだけではなく過酷な職業だという事です。自分ではわかっているつもりでいたのですが、実際に修行がスタートすると想像以上に大変でした。

まず、拘束時間が長い

朝の5時から仕事が始まるので、毎朝4時起きで出勤。
終わる時間は20時前になる事も多々。休日も週1日→月4日でした。


そして、1番驚いた事は人材を育てる環境が整っていない!ことです。
(すべてのお菓子屋さんがそうではないと思いますが、僕の修行先がそうでした)
その大きな理由の一つとして、最近では作業の機械化が進んできているのがリアルだからです。機械で1度に沢山のお菓子を作れるようになり、今まで職人さんが手間をかけて行なっていた作業を、人がする必要がなくなりました。
当然お菓子屋さんも商売なので、人件費を削るために作業効率の良い製造機を導入する店も多いです。そのため、”お菓子作りの技術”ではなく”機械の扱い方”を教えるお店も多くなっています。なので、”かつてのような職人”が育ちにくい環境になってきていると思います。

僕は、お菓子作りの技術を学ぶために、九州から関西へ修行に行きました。お菓子製造機の扱い方を学ぶためではありません。この業界に進む人の多くもいつか自分の店を持ちたいなどの夢を持ち、お菓子作りの技術を学ぼうとすると思います。
あまりにお菓子作りの技術を学ぶのには程遠い環境の中、「僕はなんのために修行へ来たのだろう」という思いが日に日に積もってきました。
(その後、僕は異業界へ転職することになります…)


【お菓子業界の現状】

当時、同じくお菓子業界で働く専門学校時代の友人と話していても、労働条件が悪いという人が多く、正直にいうと離職率も高めな職業だと思います。僕を含め、専門学校時代の友人や先輩にもこの業界を辞めた人は沢山います。
余談ですが、何故かはわからないのですがこの業界をやめてアパレル業界に進む人が多いです。笑

沢山の同僚が辞めていく中で、僕の修行先のお店はなぜ労働条件を少しでも良くしないのだろうと思っていましたが、他の有名店で働く友人に聞いてみても労働条件はあまり良くなかったので業界自体がそういった傾向なのだろうと思います。

また、昔はどのお店にも何十年も働くベテランの職人さんがいるのが普通だったようですが、最近の現場では多いとはいえません。お菓子業界に50年以上携わっている僕の大先輩も、優れた技術をもつ職人さんが少なくなってきたと話していました。
若い人材が育ちにくい環境となってきた今、お菓子作りが何よりも大好きでこの業界で頑張っていくという強い意志がないと、働き続けるのは厳しいと思います。


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【これからお菓子業界を目指すあなたへ】


ここまでお菓子業界の事を書かせてもらいましたがあくまで僕の周りの話です。日本にあるお菓子屋さん全てが、この話に当てはまるわけではないと思います。もちろん人材の育成をしっかりとされているお店もたくさんあると思います。
逆に、どのような職業も大変な部分は必ずあると思います。しかし、例えばただ楽しそうとかドラマや漫画に憧れて、今の仕事が辛いので楽をするため…
といった理由だけで、安易にお菓子業界に入ってしまうと、イメージとのギャップを感じて、挫折してしまう人も少なくないと思います。

散々、お菓子業界の暗い部分ばかりを話してしまいましたが、お菓子は沢山の方々を幸せにすることが出来ます。お菓子職人はやりがいのある仕事だと思います。僕自身、広告営業のサラリーマンに転職して、改めてお菓子職人という仕事が素敵な仕事だということを感じることができました。大変な部分も多いですが、何より自分の作ったお菓子でお客さんを笑顔にできることがやりがいに繋がると思います。
まだまだ先のことはわかりませんが、僕もいつかまたお菓子を作れる日が来るといいなぁとぼんやりと思っています。


これからお菓子業界に進もうとしている方は、どこのお店、会社で働くか自分自身で決めることが出来ると思うので、周りの意見や流れに身を任せるのでなく自分の目的にあったお店を探して就職していただきたいです。

書いていて少し熱くなってしまうところもありましたが、
お菓子業界に興味がある人に少しでも参考になれば幸いです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回もまた読んで頂けると幸いです!


最後まで読んでくださってありがとうございます! まだまだ始めたばかりなので、読んでいただきよかった時はいいねやコメントをいただけると嬉しいです!