見出し画像

【新店舗開業記】LOBBYの2Fで、4店舗目となるワインバー"Staff Only”を始めました!構想から開業まで。

こんにちは。井澤卓です。

株式会社and Supplyという会社で、飲食店やインテリアブランドの運営を通して、空間づくりの仕事をしています。

noteでは、僕達が運営する店舗やブランドについて書いています。

今回は、2024年7月にオープンしたばかりの新店舗、「Staff Only」について。まずは開業の経緯や業態、内装、チームメンバーについてをnoteに記していきます。

※シェフ募集時に書いたnoteと被る部分もありますが、改めて全体像から書いています。

新店舗:Staff Onlyの構想

これまで、バー、カフェ&ビストロバー、レストラン&バーという3店舗を展開してきた僕達and Supply。
4店舗となる今回の業態は、「ワインバー」です。

ワインバーという巷にありふれた業態で、今回僕達が取り組んでいるスタイルを続く項目で説明させてください。

場所:池尻大橋LOBBYの2F

まず場所に関して。
Staff Onlyは、僕達の1号店であるLOBBYの2Fにあります。池尻大橋から徒歩4分、45㎡ほどの広さの空間です。

元々このスペースは、僕達のオフィスとして2019年から使っていた場所。

「1FがホテルのLOBBYをイメージしてるから、2Fは事務所だしStaff Onlyだね。」
そんな流れで名付けました。

キッチンやバーカウンターを設置していたため、時にフードイベントを開催したり、LOBBYの客席としても使用するマルチスペースとして運用していました。

2023年夏にオフィス機能を3号店であるHoneに移転してからは、主にレンタルスペースとして開放してきたStaff Only。空間としてのポテンシャルの高さを長らく感じており、ずっとこの場所を店舗化する構想を抱いていて、晴れて実現に至った形です。

業態:ワインバーについて

続いて業態についての詳しい説明を。
僕達 & Supplyの飲食業のビジョンとして、「"まるで旅をしている時間"を日常に作り出す」ことを掲げています。

そのため、生み出す店舗は、日本で他に見ることが少ない業態にしたいと思っています。今回考えたのは、音楽も食事も楽しめる自由なワインバーです。

これは、2年前に訪れたParisのBambinoというお店から影響を受けています。

以下は僕が書いたnoteです。

日本でレコードバーと聞くと、「音楽を静かに聴きながらお酒を嗜む場所」というイメージがありますが、Bambinoはとても自由で、あらゆる人・使い方を受け入れる寛容性があります。

音楽だけでなく、創意工夫に富んだ小皿料理があり、ワインもカクテルもある。食事にも、ただお酒を飲むにも、音楽を聞くにも、どの目的で訪れても満足できるお店は意外とないので、大きな衝撃を受けました。

もう一つ同じくらい衝撃を受けたのがオーストラリア、メルボルンのWaxflower。

このお店もワインバーと銘打っているものの、シェフがいてしっかりとした食事ができ、クラフトビールタップも充実。カクテルメニューも10種類あったりと、使い方が幅広いお店です。
内装やスタッフ一人ひとりのスタイリングも超かっこよくて、一撃でノックアウトされました。

これらのお店の共通点は、過ごし方が自由なこと。仲間達と盛り上がってお酒を楽しんでいるグループもいれば、音楽に耳を寄せてゆったり過ごしている年輩のカップルもいる。

とにかく皆幸せそうな空間でした。

以前あるミュージックバーで「手を叩いて笑うのはNG!」と大声で怒鳴られ追い出されたことがある僕にとって、この自由さと寛容性が衝撃的で、日本にもこんな場所が増えたらいいなとずっと思っていました。(あれは本当に怖かった笑)

ここはまだ実際に行ったことはありませんが、ParisのFréquenceというカクテルバーのスタイルも目指すイメージに近く参考にしています。
The World's Best Barsにもランクインする実力派バーでありながら、食事も音楽も力を入れていてどの側面でも楽しめそうなお店です。

日本にそんなお店はもちろんあって、新宿のgensaiや、富山のWine Bar alpesでも、音楽とお酒や料理を楽しむ最高の体験をしました。

そんな経験を経て、今回チーム内や周辺の仲間に音楽愛好家が揃ってきたこともあり、憧れの業態での出店を決意した形です。(音楽フリークの仲間の皆様、これからたくさん相談させてください!)

1FのLOBBYがバー業態ということもあり、2Fでは食事を楽しめる業態にしたかったので、理想的な形で整いました。2Fで食事を楽しみ、1Fに降りてカクテルでしめる、という使い方も頻繁に目にしています。

内装について

ここからは、前段で書いた構想に対して、結果のアウトプットはどのようになったのかをまとめていきます。

内装は元々オフィスで使っていた空間をリノベーション。カウンターやキッチンはそのままに、壁や天井造作を加えて雰囲気を一新しました。オフィス時代のデスクはそのまま活かす形で使っています。

内装にはその時々の自分達の趣味嗜好が色濃く反映されるもの。
1号店のLOBBYを始めて5年。nephew、Honeと、その時々に良いと思う物事を反映させて異なる空間を作ってきました。
各店舗を俯瞰して見ると、当時の自分達が考えていたことが透けて思い出されて面白い。

今回のStaff Onlyは、40代を目前に控えた自分自身が今心惹かれる物事を詰め込みました。
気をてらったアイデアや複雑なことはせず、飽きずに長く愛される空間を目指しています。

バーカウンターには5席。1Fのカウンターがハイチェアなので、2Fはローチェアで。1Fとの反転要素もたくさん仕込んでいるので、共通点を探してみてください。
テーブル席の下に、U型のソファ席があります。
各テーブル事に目線の高さが異なる空間。仕切りのない空間でも、目線が変わることでプライベートスペースが確保されます。

元々はイエローをキーカラーにしていた空間だったのでそれを踏襲し、黄系の暖色をベースに、緑、朱色をアクセントカラーに設定しています。1FのLOBBYがコンクリートむき出しのハードな仕立てなので、2Fは木材の面積を増やし、温もりがある落ち着いた空間に仕上げました。

テーブル席は元々僕達のワークデスク。各テーブルにコンセントが仕込まれている名残も。
ソファエリアのテーブルは緑の大理石に。「バブル期に建ったマンションなんかでよく見るよね。最近あまり見ないし使ってみよう!」ということで採用しました。

個人的なイチオシは半円のテーブル席。サクッと料理を摘みながらワインを飲むのに最適です。デザインにもかなりこだわりました。

天板はアクセントカラーの朱色のレザー。銅を回して豪華な仕立てに。経年変化で味が出ていくのが楽しみ。

ゆったりと腰掛けられる席配置に、全体的に落ち着いたトーンの空間になっているので、1FのLOBBYとの良いギャップを楽しめます。特に年配の方に高評価な空間になりました。


音響機器

音楽をウリの一つとするお店では、スピーカーを空間のメインに置いて構造設計する印象があります。僕自身も、バックバーに大きなスピーカーを置いたミュージックバーの仕立てには憧れもありました。ただ、Staff Onlyは既に以前の内装の名残がありバックバーを使うのは難しかったので、別の方法を考えることに。

ミュージックバーの伝統を知らない僕達が、形だけ大きなビンテージスピーカーを取り入れるのもリアルじゃない。そんな中、設計担当の土堤内(ドテウチ)が取り入れたのが、「あえてスピーカーを見せない。スピーカーがどこにあるのかわからない。」という逆の発想です。

そこで、カウンター上に大きな円形のオブジェを吊り、その中にスピーカーを設置することにしました。

この中にスピーカーが置かれています。

バー側からは吊戸棚としてカクテル用のお酒類を収納しています。
客席側にはサランネットという、スピーカーに貼られる細かい網目状の布地を貼り付けています。これにより、このオブジェそのものが巨大なスピーカーに見える仕立てに仕上げています。

実際にお客様から、「これがスピーカーなのかな?」という声も漏れ聞こえていて、狙い通りの反応に心のなかでニヤついています。

DJブースはシンプルな形に。箱型の置台を作り、ターンテーブル2台とミキサーを設置しています。

ターンテーブルは元々持っていたSL1200MK5。ミキサーはE&Sのロータリーミキサーを導入。ここだけは奮発しました。

お店で用意する音楽は幅広いジャンルで、気持ち良く食事ができる楽曲を流しています。

料理

立ち上げの料理人には、藤代将平君がシェフとしてジョインしてくれました。パリと東京で経験を積んだ29歳の若手料理人です。

理師専門学校2年を卒業後に渡仏。le comptoir,abri,clown barを経てrestaurant badaboum(現在はレストラン業態閉店)にてシェフを務める。約5年のパリ滞在を経て帰国し、代々木上原 MAISON CINQUANTECINQのシェフを経て独立し、Staff Onlyのプロジェクトに料理人として参加。

前職は代々木上原のレストラン MAISON CINQUANTECINQ(メゾンサンカントサンク)でシェフを務めていた将平君。元々お店同士の付き合いもあり、一緒にイベントをしたこともありました。

ある時ふとした話から飲みに行ったときのこと。「近いうちに独立準備のためにフリーランスになろうと考えている」と打ち明けられ、ちょうどこの企画を進めていた僕は、立ち上げを担ってくれないかとその場で打診をしました。

CINQUANTECINQには複数回食事に訪れていて、彼の料理のファンでもあったので、僕としては願ってもない機会。過去に一緒にイベントをして、料理に加えて人柄も素晴らしいことはわかっていたので、彼となら頭に思い描いたお店を作れるはず、と興奮しました。

7月から共にお店を立ち上げて、その予感は確信となり、当初のイメージをも上回るお店を作り上げてくれています。

以下が将平君がワインバーという業態を解釈して生み出してくれた料理の数々。猛暑が続く現在は、野菜や魚をメインに、軽やかに食べ進められる爽やかなメニューがラインナップされています。

仔牛、万願寺唐辛子、トンナート / 赤海老、トマト、サワークリーム
平政、コリンキー、鬼灯(ほおずき)
ズッキーニ、とうもろこし、デュカ
太刀魚、枝豆、パセリバター
せせらぎポーク、ガラムマサラ

素材同士の組み合わせが既視感無く面白いのも必見なポイント。
満腹になっても嫌な体の重さがないので、30代後半の僕にはありがたいです。笑

当事者ながら、「こういうのが欲しかった!」心から推せる料理なので、是非食べていただきたいです。

前述の通り、将平君はフリーランスとして活動しているため、Staff Onlyの厨房に立つのは12月まで。それまでに是非彼の料理を体感しにいらしてください!

サービス&ドリンク

サービスの責任者として、僕達のチームでは一番歴が長く、系列店のHoneの立役者の1人である小川がお店に立っています。

ワインバーを銘打ったStaff Onlyですが、他系列店同様、自由に飲みたいものが楽しめるようにカクテルにも力を入れたい。そうなると、カクテルメイクの経験が無いと務まりません。
ワインもカクテルも扱えることが前提となるとサービススタッフの難易度が高くなりますが、Honeで2年働いた彼女なら任せられると抜擢しました。

持ち前の接客力で常連客を多く抱える小川。彼女へ会いに、毎日多くの人々がお店に訪れていて尊敬します。
(その一方、最近は僕がお店に入っても全く集客できないので不甲斐ない気持ちでいっぱいです。皆様、是非来てください!笑)

ドリンクは小川がセレクトしたナチュラルワインをベースに、1FのLOBBYとは異なるカクテルメニューもラインナップしています。

21時半からはバータイムとなりカクテルメニューが更に充実します。
2軒目として、お酒だけでもお気軽にご利用ください!

もう一人のサービスメンバー、Rana。小川と二人でアットホームな空間を作ってくれています。

食とお酒、音楽がある自由な空間を目指す

今回は、僕達の4店舗目となる新店、Staff Onlyについてまとめました。

7月5日にオープンし、現在は水曜‐日曜で営業しています。
今の自分が欲しいと思うお店を作ることができ、とにかく今は皆様にも見ていただきたい気持ちでいっぱいです。

9月以降の週末には音楽のセレクターに入ってもらい、音楽と食事が楽しめる空間の実現を目指して取り組んでいきます。

軽いアペロにも、しっかりディナーにも、2軒目にも、どんな使い方も大歓迎。池尻大橋周辺に来る機会があれば、是非様子を見にきてくださると嬉しいです!僕も週末はお店に入っているので、店頭でお会いしましょう!

Instagramも頻繁に投稿しているので、こちらのフォローも是非お願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?