【お店ログ/Bambino at Paris】新感覚のミュージックワインバー
自分も飲食店を経営していることもあり、日々様々な業態のお店を訪れています。
せっかくなら自分の忘備録のためにもレポートを書いていこうということで、新たにお店ログのシリーズを始めます。
第一弾として、先日Parisに行った際に訪れて感動したワインバー、Bambinoについて書いてみました。
コンセプト・内装・コンテンツの全てがベストバランスで、お店の作り手としては2022年に最も刺激を受けたお店になりました。
Bambino Paris
BRUTUSのワイン特集に載っていて気になっていたお店。
今回Parisに行くに当たり、絶対行くお店としてリストアップしていました。
https://www.instagram.com/p/ClWfqe6rO_J/
業態は18時〜深夜まで営業しているミュージックワインバー。
本格的な小皿料理も食べられるので、ディナーから楽しめます。
店内は1Fが80㎡くらい。客席は40席弱。地下にトイレとワインセラーがあります。
バーカウンターとDJブースが横並びに設置されており、都度ドリンカーのスタッフがレコードの針を落としています。
このシーンが空間のキービジュアル。
DJが入らない日や時間帯は、ドリンカーのスタッフが音楽をチョイスしている様です。
パリ到着初日(金曜日)の21時頃訪問すると、外に並びができていて断念。翌日18時のオープン直後に伺いようやく入店することができました。
土曜ということもあってか、19時半頃からはもう満席に。
そこからひたすら満席が続くというかなりの人気店です。
内装について
まずこのお店、空間がめちゃくちゃかっこいいです。
バーとDJブースが備えられたカウンターが壁付けされ、広々としたフロアには多種多様な席が。基本的にはハイチェアで、アクティブに過ごす空間に仕立てられています。
既存の躯体に、8割ほどの高さで天井までの余白を残して立ち上げた木の造作腰壁。柱にはミラーの意匠。
デザインはかなり好みでした。
クラシックな要素がなく、パリでは珍しい空間の印象を受けました。
個人的な感想ですが、ヨーロッパは歴史がある分、クラシックを踏襲したお店作りが一般的で、ニューヨークやシドニー、東京に見るような既視感が無いジャンプしたデザインのお店は見つけづらい気がします。
それが良いところなのですが、空間の作り手としては「歴史」は絶対に再現できないので、参考にしづらい側面があります。
(バックグラウンドを持っていないと、真似するだけになってしまうので。)
その点、Bambinoの空間は新鮮でワクワクしました。自分はこういう革新的な店作りに面白みを覚えます。
カウンター裏にはびっしりとレコードが。
空間の中で最も目が行くスポットにレコードが収納されている様を見ると、このお店が何を売りにしたお店なのかがひと目で分かります。
レコードはオーナーが選んでいるらしく、日本にも度々探しに来ているとのこと。
カウンターに座り、スピーカーの真横に座っても、音がうるさすぎるという事はなく絶妙な音響設定。
心地よく音楽とワインを楽しめる空間でした。
僕がいた時間帯はヒップホップメインでしたが、ジャズ、ソウル、ファンク、ディスコなどいろんなジャンルをかけているそうです。
あまりに良すぎて、近くにあったら、予定がない夜は毎日寄ってしまいそう。
料理について
キッチンは広く、キッチンスタッフは3名ほど。オーナーが有名なピッツェリア「faggio」を経営していることもあり、ここの店内にもピザ窯があります。
メニューに2種のピザ(サイズはかなり小さめ)があることに加え、温菜の一部をピザ窯を使って調理しているとのこと。
現在のシェフは日本人の方のようです。
レコードバーと侮るなかれ、料理のレベルが高く、創意工夫も施されたメニューばかり。
メニュー数は少なく、ポーションも小さめなので、あくまでお酒と楽しむスタイルです。
食べたもの
マッシュルームのタルト トンカ豆 パルメザン / 12€ 1698円
スライスしたマッシュルームの下に、トンカ豆をペースト状にした軽いタルト。タルトは甘みがあり、マッシュルームと合わせると不思議なバランスでした。
タコ セロリ チーマディラーパ / 13€ 1839円
シンプルなタコのグリルはジューシーで美味しい。
イタリアの菜の花チーマディラーパは最近日本のイタリアンでもよく見ますね。
ブロッコリーのアーリオオーリオ オレガノ アンチョビ / 11€ 1556円
定番の組み合わせ。アンチョビがリッチだったので食べごたえもあり。
アーティチョークのリゾット パンチェッタ ペコリーノ / 14€ 1981円
軽い味わいのリゾット。シンプルで美味しかったです。
鳩のフライドチキン トマト ハリッサ トレヴィス / 18€ 2547円
パリでは鳩の料理をよく見たので、興味本位でオーダー。
通常の鶏肉よりも脂身が少なくサラッとした食感。若干ジビエ的な臭みがありました。
個人的にはチキンのほうが好きです。笑
オーダー時、鳩料理が新鮮だったので、「ピジョンってあのピジョンだよね?」と聞いたら、「そう、あのピジョン。でももちろんそのへんを歩いてるピジョンじゃないよ笑」とのこと。(パリの街には鳩がめちゃくちゃ多かったです。)
調べてみると養殖で生産する鳩肉は高級食材らしいです。
ドリンクについて
ナチュラルワインは一杯大体1,000円くらいから。
カクテルも5、6種類程ありました。
ショートカクテルが多かったのと、カクテルメイクをしている男の子がバーテンダーというわけではなかったので、今回は飲まず。
ただパリのビストロにはカクテルがあまりないので珍しい。パリの中でもニュースタイルのお店という感じ。
ボトルワインは、品種、生産者の名前などが書いたリストがズラッと。
少量生産で、一店舗への供給が安定しないナチュラルワインを扱うお店でリストがあるのは新鮮でした。
感想
音楽を主としたお店でありながら、飲食物がしっかり美味しくて、フレンドリーなサービスもあり居心地が最高に良いお店でした。
ミュージックバーとなると排他的にならざるを得ない側面もありますが、Bambinoは間口が広く、誰でも受け入れてくれる懐の深さを感じます。
「軽く食事も食べれる、ワインもカクテルも飲める、音楽を楽しめる」と、どの目的で訪れても満足できるお店って意外と無いですよね。
オープンの18時から21時頃までは食事を楽しむ人々で賑わう。
21時を過ぎると2軒目使いでお酒と音楽を楽しむ人々が集まる。
明確なピークがなく、オープンから深夜までずっと満席をキープできそうな業態スタイルです。
実際に19時過ぎから満席になり、21時台は外に行列ができていました。凄まじい。
おそらく深夜まで満席状態が続くんだろうなと思います。
「ずっとピーク状態を作れる」というのはかなり強みになるので、経営的にもとても参考になりました。
そしてとにかく印象に残ったのが、お店全体の空気感がすごく良かったこと。居心地が良いんです。
その理由は、オーナーはもちろん、ここで働いているチームメンバー全員に、「音楽が好き」という共通項の繋がりがあるからだろうと思います。
生半可な好き、ではなく、レコード狂いの人種の集まり。
飲食だけでなく、「共通の好き」で繋がり合っているチームは強いよなとしみじみ感じました。
音楽を始め、何か一つの項目を掘り下げて追求する特性を持っていない自分には絶対にできないお店なので、羨ましいです。
近くにあったら毎日通いたいお店。
パリに訪れたら是非行ってみて下さい!
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