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もう少し先まで行ってみたくなったあの日、兵庫県竹野町

青春18切符を使うとどうしても1、2日分と余ってしまう。

関東で一人暮らしをはじめてから、ときどき実家に帰省するのだけれど、新幹線は高いので長期休暇中は青春18切符を使って帰省することが多い。

そうすると、関東から関西に往復するだけだと2日分しかその切符を消費しないので、残り3日分余ってしまうこと多々ある。

真夏のある日、余った残りの青春18切符をみて、なんだか小旅行に出かけてみたくなった。

google mapをみて、路線図をみて、目を引く地名や地形をみて、「この辺に行ってみたい」と妄想を膨らませて、切符とカメラと2リットルの水をかばんに詰め込んで家を飛び出した。

山陰本線に乗って、日本海をみて、日帰りするつもりだった。

「まずは竹田城に行こう。」とそう決めて、「日本のマチュピチュ」とも言われる兵庫県にある竹田城へ向かった。春は桜、冬は雲海も綺麗らしいのだけど、晴れた夏は本当に遠く見渡せる。

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城下町の配置、囲まれた山々の形状、流れる川、どれをみても「確かにここに城を建てたくなるわけだ。」と納得するほど、要害としての性質を満たしている。

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そんな竹田城だけど、意外にも関ヶ原の戦い以降は廃城となり、石垣が残るだけの廃城となってしまったのだ。なんとも残念な感じがする。

天守閣なり何なり建物が残っていれば、上からも下からもその眺めは壮観だったに違いない、と考えながら城跡を跡にした。

昼下がりで、そろそろ帰路につかないと家にたどり着けない時間の限界復帰点に達しようとしていた。

でも、もう少しの電車に乗って、線路のその先へ行けるところまで行ってみたくなった。今日は、まだ帰りたくないや。

限界復帰点をこえたら宿泊を覚悟しないといけない。
1人で野宿や駅寝は避けたいし、お風呂にも入りたい、あるのか宿泊地?

ネットサーフィンをしていると、あるゲストハウスを見つけた。
当日の当日で、すで15時ごろ。慌ててその場で直感を信じて、予約フォームを送ってみる。結果は10分後、予約確定のメールとともにやってきた。

ゲストハウスは聞き慣れない街、兵庫県竹野町にあり、それは城崎温泉よりも先にある日本海に面した街だった。

汗にまみれのTシャツと、帽子と、汗で背中側が湿ったカバンを背負って、もう一度電車に乗った。

時刻はもう夕方。
小さな駅で降りて、

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海岸へと続く、真っ直ぐな道を歩き、

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時々、川をこえて、

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また住宅地を真っ直ぐ歩いて、

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20分ほどで、兵庫県竹野町にあるゲストハウス「本と寝床、ひととまる」にたどり着いた。

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詳細は公式ホームページに譲るとして、古民家を改装したとても居心地の良い宿だった。1階は、宿に寄贈された本が壁に並んでいて、夜は夕食をいただいたりお酒を飲めたりする。

夜に飲んだラム酒で漬け込んだ梅酒が、梅の程よい酸味と甘みが心の内側に染みるようでとてもほっとした。

徒歩で1分のところに海岸があり、海水浴も楽しめる。
こじんまりとした港町だけれど、都会の喧騒とは無縁で静かに海風が通り抜けるこの街は、尖った感情や気持ちを滑らかにしてくれる。

無理に観光する必要もなく、ただただ物思いにふけて宿で過ごすのも良さそうだ。そんなことを考えながら、眠りについた。

日程に余裕がなかったので後ろ髪をひかれる思いで、翌朝6時に宿をでた。
青春18切符で遠くにいくための鉄則は、とにかく始発電車に乗ることだ。

眠い目をこすり、腹の虫がなるお腹をさすりながら、駅までの真っ直ぐな道をとぼとぼ歩いた。

目的地など決めてはいないが、不確定な目的地を目指してまた電車に乗り込んだ。

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また来よう。

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