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親は知らぬが仏!ホントによくある「全てがムダ」の中高留学あるある

こんにちは。
元大手進学塾トップクラス担当講師で、現在はニュージーランド在住の受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

これからは英語ができなきゃダメだから、
留学に行かせようかなと思ってるの。

数年間英語圏の高校で勉強すれば、
毎日英語漬けになるんだから、
英語ペラペラになって帰ってくるでしょ。

留学させて帰国生入試を受けさせれば、
簡単に早慶レベルくらい合格できますよね?

海外で暮らすようになってから、
これまでに本当にうんざりするくらい(口悪くてすいません…)、
こんな話を耳にタコができるくらい聞かされてきました。

まぁ自分も大学生の頃にはそう考えていたので、
偉そうなことは言えないんですが、
これら120%幻想に過ぎないものです。

私は十年以上にわたって留学生サポートもしてきたので、
これまで目の当たりにしてきた「多くの日本人留学生」の、
あまりにも酷い留学のリアルを書いてみたいと思います。


英語コンプレックスの親によるススメ

こういう失敗が起こる大きな原因の1つに、
留学のきっかけが英語コンプレックスを持つ親によって、
半ば強制的に計画されることです。

言うまでもありませんが、
英語コンプレックスがある親であっても、
子供が留学したいと思ったなら問題ありません。

問題なのは子供自身には留学の意思がないのに、
親がその意思を無視して子供を留学へと、
送り出そうとすることにあります。

もちろん「絶対行きたくない」と言われたら、
そんなことはできないと思いますので、
あまり心配は無いことでしょう。

でも、子供自身はあまり乗り切れなく、
どちらかと言えば行きたくない場合では、
親が押し切れることが多々あるのです。

本当は友達と日本の学校でこれまで通り、
普通の学校生活を送りたいと思っていても、
親に言われて仕方なく留学に行く。

こんなパターンはこれまで星の数ほど、
ニュージーランドで目撃してきました。

留学を強要したがる英語コンプレックスの親は、
自分自身が英語が不得意なことが多く、
子供には絶対英語力をつけたいと願うことが多いもの。

その気持ち自体は悪くないのですが、
子供がその気でもないのに英語力をつけさせるため、
海外に送り出すと言う手段に問題があります。

さらにもし子供が英語力が不十分である状態で、
子供を半ば強制的に留学に送り出した場合、
状況はさらに悲惨なものになります。

これは少し親自身が冷静になって、
以下のような状況考えてみれば、
容易に想像がつくと思います。

あなたが所属している会社が、
ある言語を公用語にすることを発表し、
その語学力をつけるように強制したとします。

残念ながらあなた自身はその言語について、
ほとんど語学力がないばかりか、
その言語や国について興味もあまりありません。

自分は日本が大好きだし、
これまで通り日本の会社で同僚と、
楽しく会社員生活を送っていきたいのに。

なんだかめんどくさいことになったなと、
あなたが思っていたそんなある日、
会社からあなたに急に内示が出ました。

来年から3年間にわたって、
公用語の習得を目的として海外に留学に行くように。
3年も行けば、ペラペラになって帰ってくるだろうな。

内示を手渡しながら上司はあなたに、
冗談まじりに話しかけてきた…。

さてあなたは、どんな気持ちになりますか?

「よし興味がない言語だし行きたくない国だけど、
上司が行けって言ってるから頑張って学んで、
3年間でペラペラになって帰ってくるぞ!」

そう思って留学に行きますか?
そんなはずはないでしょう。

子供に留学を強いる英語コンプレックスの親がしている事は、
まさにこれと同じことなのです。

「留学=英語ペラペラ」の勘違い

そもそも基礎的な英語力もなく、
自ら英語習得の意欲も低い中高生が留学に来て、
積極的に英語を学ぶと思いますか?

もしそう思われているなら、残念ながら、
それは現実とあまりにも乖離した発想です。

このような生徒の多くは、
日常生活の中で溢れる英語漬けの日々の中で、
学習意欲をなくしていくことが多い
ものです。

言葉が通じないので、友人もできにくく、
先生の言っていることもわからないので成績も下がる。

ホストファミリーとの会話も弾まず、
学校では孤立し、家では部屋に閉じこもる。

こんな時に大抵こうした生徒の前に、
救世主が現れます。
それはある程度英語がしゃべれる日本人留学生。

これまで孤独だった生活は一変し、
日々その留学生と一緒に過ごす時間が始まります。

親には現地で友達ができたと伝えるので、
表情も明るくなった我が子を見て親は大喜び。

留学にいかせて良かったと、
ホッと胸を撫で下ろすことでしょう。

しかしこの日本人留学生は、
救世主どころか視点を変えてみると、
留学を無に帰す存在でしかありません。

留学で得られる「自分で切り開く力」を身に付ける、
貴重な機会を全て奪い取り、
英語力向上のチャンスすら消し去っていくからです。

その上、この日本人留学生はもともと、
多少なりとも英語が話せているので、
自身は留学で何かしら得るものがあるものです。

よくあるパターンですが、
こうした留学生は自分自身では留学で成長しつつ、
日本人の友人を使って「適度に」遊んでいる。

一方で英語ができない上にいやいや留学に来ている生徒は、
この日本人留学生に完全に依存し、
留学で何も得るものがないことが多いのです。

こうなってしまえばもはや、
留学に来ている意味など、何一つありません。
文字通りお金と時間の、「壮大な」無駄です。

やる気&英語力のない生徒の日常

留学生のサポートをしたことがある人間なら、
このような日本人留学生が溢れていることを、
日常業務の中で目の当たりにしているはずです。
(そういう事は言わないでしょうけど)

では、せっかくの機会なので、
ここでこうした留学生の日常生活について、
例を挙げてお話をしてみたいと思います。

ここでは仮にその生徒をAさんとしましょう。

Aさんは中学受験で中高一貫校に入り、
友達と仲良く過ごしていましたが、
高1の夏休み明けに親に留学を勧められました。

理由は成績が振るわず、
このままでは良い大学に行けないので、
留学して帰国制枠で受けろということでした。

母親は学生時代に英語ができず、
子供にはなんとしても英語を話させたいと、
幼少時代から英会話をさせていました。

しかし、肝心のAさんは母親同様、
英語にあまり興味を持つことができず、
受験を機に英会話はやめました。

しかし長い間英会話をやってきたことが原因で、
逆に英語嫌いになってしまい、
中学に入ってからも英語の成績は振わないまま。

それを見かねた母親が、
留学に出して強制的に英語ができるように、
しようと考えたのです。

留学が全て手配して高校は休学し、
ニュージーランドの公立高校への入学が決まりました。

留学先はオークランド市内にある共学校。

エージェントに勧められるままに決めた学校は、
街からも遠く校舎も綺麗じゃない上に、
通っている生徒もあまり好きになれません。

その上当たり前のことですが、
日常生活は全て英語。

友人や先生やホストの言っている事は、
自分の力ではほとんど理解できず、
エージェントにヘルプを頼む日々。

その上日本の学校と違い、
友達も先生も自分から声をかけてくれず、
何でも自力でやらなければいけない環境。

そんなAさんに手を差し伸べたのは、
国際課の紹介したスタッフが紹介してくれた、
日本人留学生のBさんでした。

Bさんは留学2年目で、
ある程度英語力がついていたので、
いろいろ学校のことを教えてくれました。

勉強もわからないところは彼女に聞き、
少しずつ日常生活も落ち着いてきました。

休み時間もBさんと一緒に過ごし、
お昼ご飯も一緒に食べて、
帰りも待ち合わせして一緒に帰る。

家に帰った後はLINEで学校の愚痴を言い、
一緒に宿題をやって過ごす。

週末には一緒にバスで繁華街へ向かい、
1日ショッピングをしたりお茶をしたり、
楽しい時間を一緒に過ごす。

そんなことを繰り返しているうちいつしか、
彼らに声をかけてくる現地の生徒はいなくなり、
ホストとの会話もほとんどなくなっていく。

英語は学校のテストに必要な時だけしか使わず、
日常は日本にいた時と同じように、
再び日本語で満たされて行きます。

こんな生活が親が大きなお金を払い、
「子供が楽しく過ごしている」と信じている、
留学生活のリアルなのかもしれません。

あまりにも悲しすぎる現実ですね。

留学後にやってくる大きな不幸

こんな留学をした学生の2つの不幸は、
留学後にこそやってきます。

その不幸とは、
進路の失敗と海外嫌いです。

こんな生活をしているのだから当然ですが、
留学生活からは何も学ばないばかりか、
親が求めていた英語力すらつかず帰国します。

今まで出会った1番ひどいパターンは、
英検4級の状態でで3年間留学を経験し、
帰国後に英検3級に落ちたケースです。

そんなバカなと思いますが、
この生徒の留学生活を見ている限り、
何一つ驚きには値しません。

ちなみにこの生徒は最後の1年間だけ、
帰国生入試の小論文講座を担当した時に出会い、
いろいろ話を聞いてなるほどと思いました。

まぁとにかく3年間これでもかと言う位、
日本人の学生とだけつるんでいたのです。

現地の成績も最低レベル。
英語は中学生レベル以下。

それでも何とかなってしまうのかと思うかもしれませんが、
日本の帰国生入試の中には現地の成績を、
全く見ない大学も少なくないのです。

そのため、エージェントも成績アップを、
うるさく言わないケースも多々あり、
学校側も留学生の成績は気にしません。

このような事情もあって学生は、
どんなに成績が悪くても取り立てて、
不都合が生じないこともあるのです。
(もちろんそうでない学校もあります!)

以上のような生活を送ってくれば、
留学で何も学ばず、英語力も低い学生が、
長期留学で大量生産されてもおかしくありません。

しかし当然ながら日本の大学としては、
こんな学生を帰国生として入学させたいとは、
夢にも思うはずがありません。

結果、大学受験で大失敗し、
英語コンプレックスの親が無理矢理送り出してまで、
目論んでいた目標は達成できない。

そして親を信じていやいや留学に行った学生は、
一般受験でなら入れた大学にすら合格できないと言う、
不幸な結果になってしまうことがある
のです。

2つ目のこのような生徒たちの不幸は、
往々にして海外嫌いになってしまうと言うことです。

快適だった日本の環境を取り上げられ、
行きたくもない海外に無理矢理送り出され、
言葉が通じ、いい人間関係も作れなかった。

その時自分を救ってくれたのは、
同じ日本から来た留学生だった。

そんな経験をした生徒どうやったら一体、
素晴らしいって思うようになるんでしょうか?

なるはずがありません。

海外ではつまらないことばかりだった。
勉強も面白くないし、友達も冷たい。

それに比べて日本は何でもあるし、
便利で楽しくて最高。
もう海外なんてこりごりだ。

こう言って帰って行った学生がこれまで一体何人いるか、
思い出しただけで悲しくなります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

留学と言うのはやり方を間違えるとリスクがあるどころか
「そして全てが無駄になった」と言う結果にすら、
なり得る可能性があります。

特に英語コンプレックスが強い親が、
子供の意思に反して留学に送り出してしまうと、
取り返しのつかないことにもなり得ます。

私は留学エージェントもしていますが、
必ず子供自身の留学の意思があるのかを、
留学前に本人にしつこいほど確認します。

留学の大変さを包み隠さず全て話し、
英語力がないとやっていけないことも伝え、
それでも来たいと思うか何度も聞きます。

その上でもなおやってみたいと言う生徒だけ、
特に長期留学では受け付けています。

人にはやりすぎだと言われることもありますが、
大切な時間と大きなお金をかけてくる留学は、
人生に大きな影響与える選択です。

私個人としてはこの確認だけでは、
なお足りないとさえ思っている位なのです。

誤解して欲しくありませんが、
留学はやり方さえ間違えなければ、
人生を一変させるほどの力を持つ経験です。

だからこそ留学を正しく活用し、
無駄な留学を決してしないように、
保護者には賢くなってほしいと切望します。

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