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【バビロンの大富豪】お金に関する大人のための寓話集

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆

〜個人的には肌に合わなかった〜

紀元前、メソポタミア地域に存在していたとされる都市・バビロン。1000年以上続いたとされる大都市であったそうだが、現在ではその面影は一切消えてしまい、ただの砂漠となっている。考古学者たちによる調査・研究により、文字が記録された「粘土板」が発掘され、バビロンでは、金属が使われていた、天文学が発展していた、等、高度な文明と高い教養を持った人々がいたということが判明しているそうだ。
その粘土板には、財に関する記述もあったそうで、その時代ですでに"財産"や"資産"という概念があったのだろう。

さて、僕がこの本のタイトルを見た時に期待したのは、裕福な古代都市・バビロンにおける富に関する考え方や思考を学ぶ事だった。しかし、これはバビロンを背景とした寓話集であり、実際に発掘された粘土板の記録を基に書かれたものかどうかが非常に曖昧なのである。

正直なところ、登場人物たちの会話が「おぬしは〜」とか「〜なのじゃ」とか、おとぎ話風になっているところがいちいち気になってしまい(訳の問題かもしれないが…)、なんとも内容が頭に入ってこなかった。

得られる内容に対してエピソードも助長気味に感じてしまい、個人的には肌に合わず、読み終えるまでかなり辛かった。


〜蓄財のための第一歩は…〜

個人的に、この本から得られた教訓はただ一つである。

収入の一部を自分のものとして保管しておくこと

これが、蓄財のための第一歩なのである。

具体的には、収入の十分の一を自分のものとして保管するのだ、と本書では書かれている。

十分の一をただ貯金し続ける、というのとは少し概念が違う。残りの十分の九で、生活の全てをやりくりするのである。生活のやりくりとは、日々の生活必需品だけでなく、将来使う想定の支出や、お祝いなどで他人に渡すものも含める。将来のための貯金や何かあった時のための貯金は全て十分の九に含まれる。自分を含め、誰も手をつける事が出来ない十分の一を取っておく

この十分の一を保存し続けることが、金持ちへの第一歩となるのだ。

そして、貯め続けた十分の一が充分な額になったなら、次にそれを増やす方法を考える、というのが次の段階となる。

お金を増やすノウハウ本は世の中に溢れているが、まずその元手を作るという段階については、この本の中で最も(というか唯一)感銘を受けた点である。


〜富を増やすのは何より堅実さ〜

さて、中盤以降からは様々なエピソードからお金に関する原理原則が語られるが、総じて言えば、必要なのはコツコツと成果を出していく堅実さである、というような事が書かれている。

一攫千金を狙おうとしたり、怠けてしまえば、大きく損をする事となる。

一気に儲けようなどと考えずに、地道に富を増やし続ける事で、幸福な人生を歩む事ができる。

この本に書かれている事は、富に関する原理原則でありながら、人生における原理原則でもあると思う。
誠実さの無い人が、一気に儲けようと考えてこの本を取り、少しでも謙虚で堅実な生き方を学んでもらう、という事をこの本に期待しようかと思う笑

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