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【MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣】決算書に対する苦手意識を無くす

オススメ度(最大☆5つ)

☆☆☆

会計や財政的な部署で働いていない人にとっては、決算書を読むという事はあまりない。
しかし、株式投資を始めている人が増えているようで、仕事として触れることは無くても、決算書に触れる人も増えてきていると思う。

直接、株式投資に役に立つ知識では無いが、内容としては非常に興味深くて、決算書に対する苦手意識のようなものが払拭出来る、かもしれない。

〜"売上"という数字を分野ごとに因数分解する〜

さて、この本が書かれたのが2017年頃らしく、扱われているデータは2015〜2017年ごろのデータであるため、最先端企業の分析という意味ではやや内容は古く感じてしまう。(2017年ごろ最先端で好調だった企業がたった2〜3年で勢いが無くなっている事に、時代の流れの早さを感じてしまう笑)

この本のメインテーマは、数字の羅列のように見える決算から、企業の戦略や将来の行く末などを分析し読み取るテクニック、である。

例えば、"売上"というものひとつとっても、分野ごとに分解して考える。
EC(イーコマース、インターネット上などの電子的な情報通信で売買や取引を行うこと)ビジネスにおいては、「ネット売上=取扱高×テイクレート(取扱高100に対する売上高の割合)」と分解して、このテイクレートの数値を上げるための企業戦略を分析する。
広告ビジネスでは、「売上=ユーザー数×ユーザーあたりの売上」と分解し、ユーザーあたりの売上を競合と比較して企業分析する。

それぞれのビジネスで、売上を作り上げる要素は何なのか、ということが具体的な例をもとに解説されているので、非常にイメージしやすい内容だ。

〜取り上げられているビジネスモデルは比較的新しい分野のもの〜

非常にイメージしやすいのだけれど、決算の読み方を解説するために取り上げられているビジネスモデルがECビジネスやFinTech、個人課金ビジネスなど、この数年で発展してきたような新しい分野のものばかりで、完全な決算書初心者の僕にとっては正直頭に入りにくかった。

先に決算の基礎の基礎を勉強してからこの本に取り掛かるべきだったかもしれない。

同じようなクオリティで、小売店や卸売業、飲食業の決算の読み方も学んでみたい。

〜決算は"事実"であり、"解釈"とは異なる〜

著者があとがきに書いていたことが印象的だった。

ビジネスの世界では、常に不完全な「事実」に基づいて意思決定をしなければならない。
同じ「事実」に対して異なる「解釈」をする事はよくある。
「事実」と「解釈」は分離して考えなければならない。

本書で書かれている決算という「事実」から著者が書いた「解釈」もあくまで一例、という事なのだろう、と僕は考えた。

決算書とはデータの羅列であり、データには正しい解釈があると僕らは思いがちだ。そして、その思いが決算書に対する苦手意識の根源だったのではないだろうか。

しかし、著者は「データはあくまでデータ。正解は無い」という事を言いたいのではないか?と僕は思った。

そう、正解が無いのだから、決算に対してどのように解釈するかは自分次第なのだ。

一通り僕も自分で決算に対して自分なりの解釈をする鍛錬をしたうえで、もう一度この本に戻って来ようと思う。

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