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「キツネと葡萄畑」(欲張りはダメ)

皆さんは「タルムード」をご存知でしょうか?

私は最近あるお仕事を通して、タルムードを知りました。

タルムードとは、ヘブライ語で書かれた
6部・63編から成るユダヤ教徒の聖典。
口伝律法や学者の議論を書き留めた議論集です。

400ページもの書物30冊以上からなる膨大な量で、
日常生活から、医学、子育て、家庭から恋愛まで、
あらゆる事柄の規範とそれにまつわる議論が記されています。

ユダヤ人の歴史は
「迫害の歴史」と言えるほど、迫害を受けてきました。
その中で上手く生き残るためには知恵と判断力が必要です。
知恵をもとに様々な角度から物事を見て、最適解を求めていく。
これがユダヤ教であり、
彼らが知恵を学ぶには、
タルムードのような「先人の教え」が重要なのです。
ユダヤ人の子供たちは母親からタルムードを聞き、
知恵をつけることを徹底的に学びます。

ということで、
今日は1つのタルムードをご紹介したいと思います!

キツネと葡萄畑

ある日、キツネが葡萄畑のそばを通りかかった。
あまりにもおいしそうな葡萄が垂れ下がっていたので、畑に入って葡萄を取ろうとした。

ところが、葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネはその隙間を通れない。

そこで、キツネはこう考えた。

「野ウサギを捕まえるのをやめて何日も空腹を我慢すれば、
痩せて柵の隙間をくぐれるようになるだろう」

キツネは狩りをやめて、何日も自分の巣に籠った。
つらい空腹をじっと我慢して、
ようやく柵の隙間を通れるぐらいに痩せたので、
ついに、葡萄畑の柵の隙間をくぐり、お目当ての葡萄に辿り着いた。

口にした葡萄は、なんとも美味しかった。
ついキツネは夢中になってしまい、
「もうこれ以上胃に入らない」というほど葡萄を食べ続けた。

そして気がつくと、
あたりの葡萄はほとんど食べ尽くしてしまった。

ハっと我に返ったキツネは、
葡萄でパンパンに膨れ上がった自分の腹を見て、
葡萄畑の柵の隙間を通り抜けられなくなっていることに気がついた。

「このままでは、自分の巣穴に戻れない…」

どうすべきか頭を巡らせた結果、
キツネは自分に2つの選択肢があることに気づく。

選択肢A:苦しい思いをするけれど、食べた葡萄を全部吐き出して、胃袋をペシャンコに戻す。
そして、すぐに柵を潜り脱出する。

選択肢B:畑の持ち主・猟師に見つかる危険を冒して柵の中にとどまる。
葡萄の木の間に身を隠して、入ってきた時と同じように痩せるまで待つ。

要するに
A:苦労して手にしたものを捨てて、逃げる
B:苦労して手にしたものを失わないために、危険を冒して粘る

のどちらを選ぶかということです。

さて、キツネはどっちを選択したのでしょうか?

この話は株式投資に当てはめても、よく議論されます。
株式投資というのは、
資産形成の有効なツールの1つであることに違いはありません。
投資で得られる利益というのは、
まさにこの物語で出てくる「葡萄」です。
「食べるのを止められなくなるぐらい魅力的な果実」を人生から遠ざけてしまうのは、「成功しなくて良い」と宣言しているのと同じことです。

選択肢Aの「すべて吐き出す」というスタンスは、
株式の世界ではノーリスク・ノーリターン。
これらのリスクを取らないかわりに、
得られるものも何もありません。

一方、選択肢Bの「猟師に見つからないようにやり過ごす」
というスタンスを株式の世界では最大リスク・最大成果と呼びます。
極限までリスクをとってMAXの成果を得る一方で、
サイコロの目が「悪い方に出れば」即破産になるやり方です。
これでは、単なるギャンブルになってしまいます。

「キツネと葡萄畑」を子供に聞かせた後、
ユダヤ人の母親は、
子供がAを選んだら、その理由を
子供がBを選んだら、その理由をそれぞれ尋ねます。

しかし、子供がどちらを選ぼうと、
母親は首を縦に振ることはありません。

なぜなら、
どちらの選択肢も十分に納得できる理由がないためです。

つまり結論としては、
選択肢A・選択肢Bのどちらも不正解ということになります。
子供達は新たなこたえを導き出さねばならないのです。

それでは「合格点」がもらえる、妥当な回答例を1つ紹介します。

その回答は、

「そもそも、満腹になるまで食べない」ということです。

「満腹になるまで食べるな」というメッセージには、
2つの重要な要素があります。

1. 食べること自体は否定していない
2.強欲になるな

まず、
「葡萄を食べない=有効なツールに気づかない」
ということになるので、
葡萄を食べる事自体は否定してはいけません。

ユダヤ人が好むのは最小リスク・最小成果。
小さなリスクをとって、小さなリスクを積みあげる。

つまり、腹3分目までの確実な利益を積み上げる。
これこそが、長期的には繁栄の源になるということです。

これは株式投資においても同じことが言えますね。

ちなみに、
夫婦でこの話について議論した時、
私が出した答えは

「シレッと食い散らかした葡萄の第一発見者のふりをして、
なりふり構わず葡萄園の人に取り入って、
自分を葡萄の番犬(番キツネ?)として飼ってもらう。」

でした。

これなら葡萄を吐き出さなくても良いし、
もし気に入られたら、
葡萄以外のごちそうも恵んでもらえるかもしれません!
危険の多い野生に身を置くよりも
よっぽど安全で裕福な暮らしを送れる気すらします。
私がキツネならプライドなんてかなぐり捨てて、
人間にへーこらへーこら胡麻すって、
一生懸命葡萄の番をしますね!!

葡萄園の人にとっても、
猟師を雇う人件費がいらなくなって、
決して悪い話じゃないと思うんだけどなぁ~

良かったら皆さんも誰かと話のネタに
キツネの選択について話し合ってみてはいかがでしょうか?

結構楽しいですよ!!

タルムードは何千年も言い伝えられているだけあって、
重要な原則をとても分かりやすく学ぶことができます。
でも大切なのは、
この学びを実生活に落とし込んで活かすことです。

ただの昔話として聞き流すのか?
現実世界に落とし込んで活かそうとするのか?
素直に行動してみるところにも、成功のカギはあると思います。

昨日は冷凍餃子を丁寧に丁寧に、じぃっくりと焼き上げました。
らっくちーん♪

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