才能が分からなくなる訳
私には才能がないんです!
「私には才能がない」「秀でたものなんてない」
こんな言葉をよく聞きます。
私も仕事柄、たくさんの方とお話しますが、そんな中でも「自分の才能がよく分かりません。どうすればいいですか!?」というご質問をよくいただきます。
しかし、実際に診断してみると、きちんと優れた才能が見つかるパターンがほとんどです。
ご本人もそれを知って驚かれます。
才能がわからない本当の理由
能力は人それぞれです。
話すのがうまい人もいれば、
犬のブラッシングが上手い人もいる
計算が得意な人もいれば
車の運転が得意な人、
偽物と本物を瞬時に区別できる人から
体を動かすのが大好きな人、
イントロを聞いた瞬間に何の曲かわかる人まで
さまざまです。
しかし、私たちは自分に才能はないと言います
なぜ、こんなことが起こるのか?
理由はいろいろとありますが、その中でも才能が分からない人に最も多かった共通点が、『人と比べて自分の才能を知ろうとする』習慣でした。
ハーバード大学の理論でも、言葉の才能、数学論理の才能、イメージの才能、音楽の才能、身体的な才能、コミュニケーションの才能、内面的な才能から、分類の才能まで8つの才能があるとされています(*1)。
私はこれまでの研究に基づき、現在は10個の才能に分類していますが、10個の才能は人は少なからず全部持っています。
身体に障害がある場合は別ですが、
言葉を全く話せない人はいませんし、
1+1が分からない非論理的な人もいません。
何もイメージできない、
何も身体を動かせない、
世の中に1人も話せる人がいない
という人はおそらくほとんどいないでしょう。
つまり、私達は生まれながらにして、少なからず全ての才能を持っているはずなのです。
脳のバイアスが才能を見えなくしてしまう
しかし、脳には悲しい性質があります。
それは隣の芝が青く見えてしまうという『比較バイアス』です。
ちなみに下の図を見てみてください。
中央に2つの円が見えると思いますが、どちらが大きく見えるでしょうか?
私はこれを5000.人以上の方に見てもらいましたが、ほとんどの方は右の円が小さいと答えます。
しかし、勘のよい方はすでにお気づきかもしれませんが、実はこの2つの円の大きさは全く同じなのです。周囲の円をなくすとよくわかります。
つまり、私達は周りに大きいものがあると実物よりも小さく感じてしまうのです。
これは私達の才能も同じで、周りと比較する人は自分の才能が実物よりも小さく見えてしまう、取るに足らないと錯覚してしまいます。
うまくいく人ほど自分の中でどれが優れているか比較する
世の中にはビジネスでもスポーツでも芸術の分野でも上には上がいます。
私も大学院時代にアメリカの学会に行ったとき、世界には自分よりもこんなに優秀な人がいるのか!?と感じて、正直絶望したことがあります。
しかし、私が同時に感じたことは、この人達にできないことをやることが、私の役割だということでした。
そのために行ったことが、私の全ての能力の中で最も優れている部分は何だろうということでした。
自分にある全ての能力(才能)の中から、相対的に何が上位にくるのか?が分かると、自分の役割を見つける手助けになります。
才能は時計を構成する歯車のようなもの
例えば、時計は沢山の部品から構成されています。
大きな歯車もあれば、小さな歯車もあります。
私たちは大きなものに価値を感じる傾向がありますが、時計は小さな歯車がなければ動きません。
しかも、小さな歯車といってもいろんな形があって、その形の特徴によって役割が異なります。
これは私達の才能も同じです。どんなに小さくてもその中に固有の特徴があれば、それが全体を支える素晴らしい役割を果たすのです。
その小さな特徴は、人と比較すると全く目に入ってきません。大きな歯車ばかりが見えてしまい、小さなディテールが視野に入ってこないからです。
つまり、小さな歯車のディテールだけ(自分の中の全ての能力)をよく見て、この歯車にはどんな特徴があるんだろう?と考えることが、歯車の役割を見つけることにつながります。
才能診断では自分の中の相対的な能力を見ていきます。http://www.trdesign.jp/program.html
今回の内容が少しでも才能を見つけるきっかけになれば幸いです。
(*1)ハーバード大学の「8つの知能(MI理論)」/Gardner H. Taking a multiple intelligences (MI) perspective. Behav Brain Sci. 2017 Jan;40:e203/ Gardner H. The theory of multiple intelligences. Ann Dyslexia. 1987 Jan;37(1):19-35/Shearer B. Multiple Intelligences in Teaching and Education: Lessons Learned from Neuroscience. J Intell. 2018 Aug 31;6(3):38. doi: 10.3390/jintelligence6030038