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人はネットでも、「ストーリー」で買う時代に。

EONEは、MONOCOの商品ストーリーの原点となった時計。

商談当日、実際の時計を見て、6ヶ月前にPDF資料に目を通していたことを思い出した。その資料には確か「視覚障がい者向けのデザイン時計」と書いてあった。自分ごとにはならず忘れていた。

しかし、開発ストーリーを聴いているうちに、この時計の魅力に引き込まれて行った。

視覚障がい者の方が使う時計にはカバーがついており、時間を確認するにはまずカバーを開けないといけない。そして針を触っているうちに時間が狂ったり、針が飛ぶことがある。

そこで、EONEのデザイナーは考えた、「時計に針がないといけないなんて誰が決めたんだ。だったら、針をなくせばいいんじゃないか」。まさに逆転の発想。

針の替わりに採用されたのが、磁石ボール。レールの中を1周して、その時間にボールが戻ってくる。針を触って壊れるなら、そもそも壊れてもいい機構にしたのである。

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時計のデザインも素晴らしいが、
このストーリー自体が最高にクールだった。

社内で考えに考え、ストーリーコピーを『思わず話したくなる、触る時計』に決めた。副題として「針をなくすことで生まれた新しい価値」とした。

このストーリーを伝えたかったのは、すでに Rolex や Apple Watchを持っている経営者層。高級時計でもなく、スマートウォッチでもない、第3のカテゴリが求められていると感じた。

この3rdウォッチは、仲間・家族で集まったときに、思わず話題として上げてしまう時計。まさに自分の思想を表現するキャンバスだ。

2015年1月、MONOCOの最初の商品として発売開始。初年度だけで493台の販売。4万円もする時計が、口コミだけで約2,000万円を販売することができた。

正直、ぼくたちも驚いていた。IT業界では非効率なことは嫌われる。でも、EONEのデザイナーの想いを伝えるために、柿山と鈴木(取締役)は時間を惜しまず、どんな打ち出し方をしたらいいのか、ひたらす考えていた。倉庫からの帰り道、いつものバスに乗らずに、歩きながらずっと議論していた。

ふたりは、「ストーリーの力」に気付いた。
いや、気付かさせてもらった。

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