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「手のかかる子」にどう関わるか

Yくんとの出逢い


新しい学年
新しい学級

気持ち新たに始まったのはいいけれど
初日から、大変な子どもに振り回され、授業もままならない

立ち歩いたり
他人の物をとったり
ちょっかいを出してみたり
床に寝転んだり
教室を出て行ったり
誰かを叩いたり
蹴ったり・・・


昨年度、
タッキー先生は、そんな子どもたちがたくさんいる学級を9月から受け持ちました

初日から、授業中に床を転げ回る子が8人
大声をあげて、友達の邪魔をして
わがままいっぱい やりたい放題

授業中にどこかへ行ったまま戻ってこなくなる子だって
何人もいました


掃除時間になると、
十数名の子どもたちが教室からいなくなるということも連日起こりました

いなくなった子どもたちはどこにいたかと言うと・・・

トイレで発見

みんなで飛んだり跳ねたり走り回ったりと
どんちゃん騒ぎを繰り返して遊んでいたのです

そんな、ある意味とっても個性的で
素敵な学級を受け持ったタッキー先生

大変じゃなかったかと言うと
もちろん、大変でした

毎日毎日、
へとへとになるほど疲れました


しかし、そんな中でも最も大変だったのは
床を転げ回っている中の一人、Yくんでした

タッキー先生とYくんとの日々は、
ここから始まったのです


彼は、とりあえず歩いていれば手当たり次第に叩く、蹴る
大声をあげて喚き散らす
それはそれは、一瞬たりとも目の離せない子でした


ある日の朝には、
玄関でドアが開くのを待っている間に友達とトラブルになり
持っていた生活科で使うプラスチックのスコップで
相手の顔面を殴り、顔にアザをつくるといった事件まで起こしてしまったのです


じゃあ、そんなYくんのような子には、どのように接していけばよいのか

タッキー先生流の関わり方を
少しだけ、お伝えしたいと思います



マインドセット


まず、基本的なマインドセットとして

Yくんのような子は、当然、とても多くの関わりが必要ですから、
教師にとっては「困った子」と思ってしまうのは当然です

でも、実は、先生だけじゃなく
当の本人も「困っている」ということ

つまり、その子自身も
何かにいつも「困っている子」なんだという捉え方が
必要になってくるということです

こういった子どもと毎日関わっていると、
ついつい

「なぜ、わざと人を傷つけるようなことをするのだろう!?」
「教師に対して、こんな暴言を吐くとは、一体どういった気持ちなのだろう!?」
「私のことが憎くてやっているのだろうか!?」

そんなふうに思ってしまうものです

でも、
基本的に、その子自身も
自分の中の何かの「困り」を解消するための手段として
暴力や暴言を吐いているのだということを知っておくことが必要です

外部の何らかの情報、刺激により、
感情のコントロールが本人の中で制御できなくなっている
つまり、機械で言えば「エラーが起こっている」状態なのです

そして、恐らくこうした子どもたちというのは、
「外部の情報や刺激に対して通常よりも過敏なところをもっている」
と捉えるとよいでしょう

例えるなら、
学習している時に周りの騒音が2倍くらいの大きさで頭に響いている状態を
想像してみましょう

誰だってイライラするし、
その発生源を止めようとしますよね


どう、対処するか


こうした子どもが暴言を吐いたり
暴れたりする要因は様々です

何かの音だったり

相手の動きだったり

誰かの言葉だったり

教科の好き嫌いだったり

見えているものだったり


はたまた、朝からご家庭の方と喧嘩をしたり、厳しく注意されたりして
登校していたことが感情爆発のトリガーになっていたなんてこともあります


天気が悪い日には、
気圧の差にすら敏感な子もいますよね


ちなみに、Yくんも相手の仕草や言葉に対してとても敏感でした

友達と何かをするといった時、
必ずと言っていいほどトラブルになり
相手を傷つけたり、叫んだりする行動に出るのです


だから、そんな時タッキー先生は
「よーしよし」と、いつもギュッと抱きしめてあげていました
まつで、ムツゴロウさんです

Yくんはと言うと、それでちょっと落ち着く時もあれば、
全然、興奮がおさまらない時も・・・ 

そんな時は、ギュッと抱いたまま、
「ようし、ちょっと先生と隣の教室に行って落ち着こうか
 このままだと、大切な友達を傷つけちゃうもんね」
と、努めて落ち着いた言葉で伝えて、
場所を変える ということもしていました


これ、何をやってるかというと、
Yくんを困らせている要因となっている情報、刺激を
一旦、遮断するということをやっているんです

そうやって、落ち着ける環境を
つくってあげているということなんです

一方、ここでもう一つ
大切なことをおさえておかなければなりません


ちょっと、視点を変えてみましょう

この状況下での、Yくん以外の子どもたちに目を向けてみるのです

Yくんにばかり時間を取られて、
肝心の一生懸命に授業に取り組んでいる子たちを蔑ろにしてはいけません

学級崩壊というのは、実は
こうして手のかかる子にばかり先生がかかりきりになりすぎて
本来、一生懸命に真面目に取り組んでいる子を放っておきすぎることにより
そうした子たちから不満が上がり、起こることがとても多いからです


だから、私は、
いつもギュッとYくんを抱きながら
何事も起きていないかのように、授業を継続していました
イライラしたり、大きな声を出したりせず、
むしろ、いつもよりも柔らかい声と言葉を心がけて
落ち着いて授業を続けたのです

別教室に連れて行った際もそうです

Yくんに

「大丈夫大丈夫。少ししたら落ち着くよ。
 今のままだと、お友達を傷つけちゃうから、ちょと間をおこうね。
 気持ちがスーッと楽になったら、いつでも教室に戻っておいでよ。
 待ってるからね。」

こんな風に言い残して、すぐに教室に戻り、
何事もなかったように授業を再開するんです
だから、授業中断もほんの一瞬だけ
これまた、何事もなかったかのように
勤めて落ち着いた雰囲気で授業を進めていきます


そうすると、少ししてから、そっと教室に戻ってくるYくん

授業に夢中になっている周りの子どもたちは
いつ、Yくんが戻ってきたのか
気づかない時すらあります

こうやって、さりげなく関わるというのがとても大切だということです

変に大ごとにしたり、みんなの前でYくんを責めることを繰り返すと
Yくんは「悪い子」のレッテルを貼られてしまい、
家に帰った学級の他の子どもたちは、
必ずと言っていいほど、保護者に「ああだこうだ」と話すものです

だから、こんなふうにYくんに非難の目が向けられないように
さりげなく関わることを続け、
Yくんにも
周りの子どもたちにも
できるだけ、ストレスを与えないようにするわけです

また、教師はこうした関わりをする際、
感情的になりすぎないことも意識することが大切です

「また、〇〇さんが癇癪を起こした」
「昨日もあんなに言い聞かせたのに」
「もう、やらないって言ってたはずなのに!」

こんなふうに、毎日感情的に、力んで関わることを繰り返していては
先生だって気持ちが疲れちゃいます

短期戦に持ち込んだら、
教師側の負けなんです


子どもの成長は、瞬間では捉えられないもの
半歩ずつ、
気づかないくらいのスピードで育っているもの

それくらいの捉えで
それくらいの長期的な目線で
関わっていくってこと


実際に、Yくんだって1日や2日で変わるわけではありませんでした
同じことを、何十回、何百回と繰り返しました

それでも、Yくん自身が自分の心を落ち着かせる場が度々あることで
少しずつ安心して生活できるようになっていきましたし、
周りの友達から責められる機会も少なくなったことで、
「困り」をもたらす情報や刺激から
ちょっとずつ距離を置くことができるようになっていきました

結果、Yくんは着実に、
でも確実に、
落ち着いて生活できる時間というのが
少しずつ増えていったのです


もちろん、タッキー先生は、
ここで話した技術だけで子どもたちを落ち着かせ、
学級を立て直していったわけではありません

でも、
今回、お話ししたことは、
とても重要な技術の一つであることは確かです


もし、みなさんの学級にも
いわゆる「困っている子」がいたなら、
タッキー先生の技術を少し参考にして
一度、関わってみてはどうでしょうか


全てが上手くいくわけではありませんが、
「何に困っているのか」を探ることで
教師としてとても大切な視点を得られるはずです

きっと、その視点が
これから先生方と関わる多くの子を
成長させることにつながるのだと思うのです

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こういった技術は、本を読んだり
先輩先生の教室をちょっとのぞくだけでは
なかなか身につかないものです

かと言って、毎日、抱えている仕事に追われ
放課後に同僚から学んだり、
ベテランの先生方からゆっくり指導を受けたり
そんな時間なんて学校の中にはありません

一方、
たまに参加するオンラインセミナー
自主的に参加する教育委員会主催の研修
年間何度か参加するどこかの学校で行われる研究大会

どれだって、一つ一つは悪いものではないのだろうけれど、
実際には、その時は学んだ気になっても
それだけで本当に力をつけるというのは
とても難しいこと

だからこそ、
教師としての力を一気に上げるためには
継続的に学ぶ場が必要です
そして何より、
困った時に悩みを相談したり、
わからないことを質問したりできる
伴走者がいることは、とても重要になります

それを実現したのがタッキー先生がつくった
「Astt Shool」

教師として本当に成長したいと強く願う方、
ぜひ、同じ志をもった全国の先生方と
一緒に学びませんか?

興味のある方は、まず、
ぜひ、エントリーしてみてくださいね!

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結局、去年の自分と同じ自分
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