雨の日が嫌いなんて、言いたくない

しばらく雨の日が続いている。
正直、気分があまり浮かない。

そのせいなのか、最近めっきり涼しくなり(肌寒さすら感じる)、秋の気配をその肌から感じるようになった。
新しい季節が近づいているというのに、どんよりとした気持ちになるのはなぜだろう。

それは雨が降っているからだと思う。
雨。小さい頃はそんなに嫌ではなかった…と思う。でも、物心ついたときには、雨は紛れもなく、僕の生活の敵になりつつあった。

自転車で毎日の登下校していた身にとっては、雨は本当に堪えた。カッパを着ていようが、傘をさしていようが頭の上(髪型)から、足の先(靴下の中)までびっしょり濡れることになる。
汗もかくし、癖っ毛だったので、髪の毛はぐしゃぐしゃになるし、本当に最悪だった。

雨が嫌なのは、大人になった今でも変わらない。自転車で移動する機会はほとんどないけど、そもそも手に傘を持っていたり、白いスニーカーを履けなかったり、バッグに折りたたみ傘を忍ばせていることもストレスだ。

だけど昨日くらいかな、「雨を好きになってみたいな」と思うようになった。

夕食を済ませた後、雨が降っていたのだけれど、なんとなく外に出たくなって傘をさして近所を歩いた。

10月下旬頃の気温、だったらしく涼しい…というより、もはや寒いくらいだったのだけれど、久しぶりに感じるひんやりとした空気がとても心地よかった。

雨は静かに、しとしとと降っていた。僕は少し立ち止まり、傘越しに空を仰ぎ雨の音に耳をすませた。

うん、やっぱり悪くない。むしろ、癒やされるかもしれない。でも、きっと明日の朝が雨だったら、たぶんイライラしてしまうと思う。なぜだろう?

雨が、絶妙にしっくりくるシチュエーションというのがある。

それは、紫陽花の咲き誇る長谷寺や、苔のむす西芳寺のような観光名所かもしれないし(もちろん、ロンドンも)、恋人に振られた時かもしれないし、傘を持ってきてくれる愛娘を駅で待っている時かもしれない。

でも、そういうのはちょっとあまりにもドラマチックすぎるなと思う。雨は降ってほしい時に降ってくれるわけではない。

日常の中で、もっと雨を好きになるためには…
そもそも、なんで僕はこんなに雨を毛嫌いするのか。
物心ついた時から今に至るまで、ずっと雨が好きではない理由…

それはたぶん、忙しいから、やるべきことに追われすぎてるからだと思う。

できるだけきれいな身なりで、出勤・通学しなきゃいけない…
朝早く出かけなくてはいけない…
遅れそうだから走らないといけない…
洗濯物が干せない、乾かない…

心に余裕がある時は、雨を自然と受け入れられている気がする。
急ぐこともないし、何かしないといけないこともないし、なんなら濡れたっていい。
昨日の夜のお散歩は、きっとそんな感じだったんだと思う。
できれば、毎日そんな余裕があるといいな。

「今日は雨か…でも、まあいいかな」

それくらいのゆとりを持って、毎日を過ごしていきたい。

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