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スローD2Cはとてもスローだ。

人を待っている。代々木上原のNo. (number)で。

それまでの数分の間に、今朝stand.fmで話した内容をリフレインするかのようにnoteに文章を認めたいと思う。

「スローD2Cのススメ」というわりとキャッチーなタイトルで話したんだけど、元となるネタは我らが(?)ニュースレターLobsterrの「vol.78 : The Great Escape」からいただきました(Lobsterrは購読しないと読めない。そして熱く購読をお勧めします)。

Aunaのことを「D2Cブランドです」と言ったことはあまり無いんだけど、実は自ら企画・構想して商品化までして、SNSも発送も自分たちでやってお客さんのヒアリングも僕がしている今のAunaはとってもD2C的だと思う(と、あえて今さら言ってみる)。

しかし、アメリカで注目を集める有名なD2Cブランドのように、資金調達もしていないし、規模感も全然違う。だから僕はAunaをD2C的だと思うけど、『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』に出てくるような海外ブランドを(仮に)D2Cブランドとすると、“なんとかD2C”って別の名前があればいいのにと思っていた。

「vol.78 : The Great Escape」に出てきたトピックはどんな内容かと言うと、スウェーデンのとあるレインウェアブランドの話。雨が多くて曇りの日が続く、あまり日が差さない天候に生きる彼らは、メランコリック(憂鬱)な感覚を内に秘めている(らしい)。創業者のアレクサンダーさんは、この感覚をレインコートで表現したいと思った。

スウェーデンは雨が多い。寒い時期はとくに気が滅入るほどで、日差しもほとんどない。そして、スウェーデンにいること、スウェーデン人であることはメランコリックなエネルギーにつながる。アレクサンダーは、そのメランコリーをある種の心の状態と呼び、それをレインコートで表現したいと考えたのだ。
Lobsterr「vol.78 : The Great Escape」より

そして、彼は品質に妥協しない最高級のレインウェアを数量限定で販売した(そしてそれは世界で売れた)。2016年にはレインウェアから手を引き、彼の2つ目のニットウェアのブランド「John Sterner」に精を出している。

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出典:John Sterner Webサイト

彼が語る哲学がいい。

「この時代に新たなブランドをつくることを正当化するためには、デザインの良し悪しや、売れる・売れないというメンタリティ以外の何かをもっていなければいけません。大量生産や使い捨ての社会に反対できないでしょうか? この業界に挑戦できるブランドの居場所はあるのでしょうか……?」Lobsterr「vol.78 : The Great Escape」より

この点は僕もAunaを続ける上で、何度も考えている。確かに売れる・売れないのメンタリティだけじゃ続けるのはつらい。モノを企画して売るには、世の中にモノが多すぎる。売れないからやめるのであれば、はじめから作らない方がいいとすら思う。

そんな逡巡と絶え間ない試行錯誤を繰り返しながら、今日も小さな一歩。右足と左足を交互に前に出してゆっくりと進んでいる。

スロー。とてもスローだ。

僕のごく個人的な結論としては、大量生産や使い捨てを志向するブランドが実現できないアプローチでモノづくりをすることで、「マーケットシェアを奪う」みたいな話とは別次元の世界が見えてくるはず。それを見たいと思う。たくさん売れるかどうかは脇に置いておいて、それはそれで楽しいものですよ。

ありがとうございます!好きな本を買うか、旅に出ます。