【#5】「デジタル接客」って何だろう?無人店舗の「SHIRO SELF」に行ってみた!
こんにちは、たきさんです。素敵なユーザ体験(UX)に寄与しているデジタル活用事例@日本、を自分がいちユーザとして体験し、楽しく解説しています。似た中国事例の参照や比較もしてます。
コスメティックブランドのSHIROから、接客を受けずに買い物ができるデジタルストア「SHIRO SELF」が登場したとのことで行ってみました。
SHIROは、ジンジャーや酒かすなど、自然由来の素材を使ったスキンケアや、メイクアップ、フレグランスアイテムなどを展開するブランド。
ルミネエスト新宿店にあるデジタルストア「SHIRO SELF」は、「人はいないけど、愛がある。」をコンセプトしたお店だそうです。
▼公式サイトはこちら
SHIRO SELFとSHIROの違いって…?
「SHIRO SELF」は、従来のSHIROに併設されています。
事前に公式サイトを読んだ感じだと、「SHIRO SELF」は「接客なしで自分でゆっくり選べる」が従来と違う大きなポイントかな?と思っていたのですが、
▼公式サイトキャプチャ
店頭のお姉さんによると、二つの店舗の違いは、
「あちらの店舗(SHIRO SELF)は、外箱などがないため3%割引になっているので、ご自宅用ならあちらへ」
「あと、限定商品は(従来の)SHIROにしかないので、限定商品を見たければSHIROへ」
とのこと。
あれ、そういう説明なのですね。
確かにSHIRO SELFはパッケージレスなので3%割引ではあるのですが。
▼公式サイトキャプチャ
公式サイトなどで説明されていた「ゆっくり見られるデジタル店舗」というコンセプトは、店頭では違う説明されているということになります。
特に嘘というわけではないですし、むしろこれはこれでわかりやすいのですが。
とりあえず「自宅用です」と答えて、「SHIRO SELF」の方へ。
「デジタル接客」を体験してみよう!
「デジタル接客」ってどんなんでしょう!さー行ってみましょう!
白と茶色基調の、モダンで素敵な店舗ですね・・・!
購入したい商品や気になる商品があったら、アイテムの近くにあるQRコードを読み取ります。
すると・・・!SHIRO SELFのサイトに飛びます。
アプリなどのインストールや登録は不要。普通の自分のスマホカメラから読み取る形で大丈夫です。
音声ガイダンスでも案内してくれるようなので、イヤフォンを装着します。
このチュートリアルが終わった後は、スキャンして読み取った商品が表示され、
詳細がチャットで表示され、(音声ありにしている場合は)それを読み上げて説明してくれます。
説明の読み上げが終わると、そのあとに商品の詳細・使い方と、購入ボタンが出てきます。
試しに「製品詳細」をタップするとこんな感じ。
「使い方」をタップするとこんな感じ。
「使い方」は、動画で使い方を教えてくれるとかかな?、と思ったのですがそういうわけではなかった。
デジタル「接客感」はあまりなく、公式サイトの読み上げを、実物を見たり試しながら聞くという感じ。
音があるのでちょっとわかりやすくなる、という感じかな・・?
という感じでうろうろ見て回っていたら!
あれ!!店員さんが接客しにきてくれた!!!
▼色々説明してくださる店員さん
「公式サイト見た感じこの店舗って接客とかないのかな、と思ったのですが・・?」と聞いてみたのですが、
接客はSHIRO SELFでも普通にしている、とのこと。
私は一人の店員さんにしかお伺いしていないので、公式見解ではないのかもしれないのですが、
店舗内では、私の他にも店員さんに接客されている方がいらっしゃったので、「SHIRO SELFでは店員による接客はしない」というわけではなさそうです。
買ってみよう!
私はリップを買うことにしました〜!
買いたいものの下にあるQRをスキャンしまして。
この商品の場合は、ここから自分が買いたい色を選ばないといけないのですが、これが難関。横にいた店員さんが教えてくれなかったら迷ったかも・・・!
あとでよく見ると、商品の裏の棚に商品番号が買いてありました。
商品の裏にも色の名前が書いてあったので、なんにせよ一人でも選ぶことはできたとは思いますが、ちょっと時間かかっちゃったかもしれません。
内容をチェックしたら・・・!「注文確定」をタップ!
これで、注文が完了です!レジに行って、この番号を見せてお支払いをします。
カウンターの後ろに棚があって、そこから商品を出してくださいます。
受け取れました〜!やったー!!!
実は事前に、
お支払いを済ませたあとは、受け取りを待つ。店内のボードに自分の番号が表示されたら、いつでも商品を受け取ることができる。
という旨の体験記事も読んだのですが。
店内のボード・・・?
ボード、使われていなかったよ・・!運用の中で使われなくなったのかな。私も前後の方も、お支払い時に商品を受け取れていましたし、その方が嬉しいので問題はありませんが!
感想①:「無人」にこだわる必要はあるのでしょうか
公式には「デジタル接客」「ひとりでゆっくり見られる」というようなことが打ち出されている店舗でしたが、店員さんバリバリ接客して下さいました。笑
ですので、公式で打ち出されているものと実際の運用は違うな、と感じました。(それが嫌/困ったという意味ではないです)
ただ実際のところ、店舗でコスメを見る場合に「あんまり話しかけないで欲しいな」と思うことはあるものの、
「絶対に!絶対に!ひとりで見たい!」というほどの強い意思を持つ人はそんなに多くないようにも思います。(もちろん人によるけど)
ちなみに私の場合は、「原則ひとりで見たいけど、ある程度絞り込んで迷ったら最後に店員さんにアドバイスしてもらいたい!」と言う感じです。
ですので、今回店員さんが色々アドバイスをくれて助かりました。
というわけで、「SHIRO SELF」は「デジタル接客で完結させる、無人店舗」というよりも、
「従来の人による接客に加えデジタルも併用することで、体験を豊かにするという試みをしている店舗」、と捉えた方が良いのかしらと思いました。
感想②:もっとこうなっていると嬉しいな!なところ
具体的にもう少しこうなってると嬉しいな!と感じたところを、僭越ながら書いていきたいと思います。
【検討パート】
スマホで色々見られるのは面白いなと思いつつも、先述の通り、商品説明は、下記のようないわゆる一般的な商品の概要のみでした。
「デジタル化によってより豊かな体験を実現する」という意味だと、
使い方の動画での説明、売れ筋ランキングやお客さんの口コミの表示、などがあるとより良いのかなと思いましたし、
またそれらは必ずしも「お客さんのスマホ上で」実現しなくても良いのかなと思いました。(店頭のタッチパネルを使うなど)
【注文・決済パート】
QRをスキャンし注文確定したあとは、レジに並んで、
スマホ上の注文番号を見せてお支払い→後ろの棚から商品を出してもらって商品受け取り、
と言う流れだったのですが、これですと「注文カード(家電屋さんとかによくあるやつ)を持ってレジに並ぶ」という感じに近く、従来のレジ体験と変わらないように感じました。
逆にいうと、従来と比較して悪い体験、では決してないのですが、こちらも「デジタル化によってより豊かな体験を実現する」という意味だと、例えば、
決済をスマホ上で完了でき、レジでは商品を受け取るだけになっている
注文確定した瞬間にレジの店員さんにデータが連携され、すぐ品出しをしてくれるので、「商品を出すのを待つ」という時間がない
※今回は長時間待ったわけではないのですが。できることとしてはありそうだなと。
などとなっているとより嬉しいなあと感じます。
また、自分でリップの色を選択する、という部分は先述の通り少し迷ってしまったので、
せっかくQRコードを使うのであれば、商品ごとにQRコードをつけ、スキャンしたら一発で選択完了!となっていると助かるなあと感じました。
▼再掲。ここの色選択で迷いました。
上海のM・A・Cの店舗は参考になるのかも・・!?
ちょっと似たことをやろうとしてて参考になるかも?という例として、中国のM・A・Cの店舗の事例をば。
M・A・Cはエスティ ローダー傘下のメイクアップブランドですね。
中国にも多くの店舗がありますが、その中でも2019年に上海の淮海中路にオープンした新店舗が、デジタル活用でより豊かな体験づくりを行なっている良い例かも、と思ったのでご紹介します。
【検討パート】
店内に置かれているタッチパネルでは色々なことができます。例えば見本商品を二つ、パネルの上に載せると・・!色々な指標で比較をしてくれたり。
▼この写真は同じ商品を載せちゃってるので比較になってないですが汗
一つだけ載せると、「商品詳細」「口コミ」「使い方」「購入」のメニューが画面上に表示されます。
▼これは「使い方」をタップして動画を見ているところ
「購入」をタップすると、コードが出てくるのでそれを読み取ってお会計します(後述)
パネルを操作して行うカスタマイズサービスもあります。タッチパネルから好きな色のアイシャドウを選んで組み合わせ、オリジナルパレットの作成・購入ができるのです!
また(ちょっとわかりにくいのですが)バーチャルメイクが試せるスマートミラーを導入しているコーナーもあります。
▼画面下の口紅名をタップすると、瞬時に唇に色がのせられる!
そんな感じで店員さんによる接客を補完するデジタル活用が各所に!
【注文・決済パート】
購入したい商品に付けられたQRコード(もしくは先述の通り画面上に表示されたQRコード)をスマホでスキャンします。スマホ上のカートに商品が入り、決済へと進みます。
▼商品ごとにQRコードがついています
支払いが完了すると、QRコードと引き換え番号が発行されます。
商品の準備ができると受け取り口の脇のディスプレイに、この引き換え番号が表示されます。店員さんがQRコードを照合すると、商品が受け取れるという方式です。
このようにすることで、まず、お客様としてはレジに並ぶ必要が無くなるので嬉しいです。手元で決済完了してあとは取りに行くだけですからね。
またお店側としては、レジを設置する必要がないため「レジ業務」というものがなくなり、その分の人員削減が可能になりますし、レジを置かない分空間が広々と使える、ということがあります。
あと、(上記の人員削減の話と被りますが)レジ業務自体がなくなることで、店員さんはお客様の質問に答えたりアドバイスをするなど、より専門性を生かした接客業務に集中できますね。
これはお客様としてもありがたいというわけです。(接客されたい方の場合、ですが)
▼中国のM・A・C店舗について詳しくはこちら(私が書いた記事です!)
SHIRO SELFにこの通りに変わってほしい、というわけではないのですが、SHIROのブランドイメージや、お客様にしていただきたい体験を踏まえた上で、
M・A・Cなどの事例を参考にして、というかぜひいいとこ取りで!より素敵なデジタル活用ができると良いな、私も嬉しいな〜!と感じました。
本日は以上です!
今後も日本のデジタルスポットについて、中国の状況と比較しながら書いていきたいと思います。
▼良かったらマガジンフォローしてくださいっ
中国のデジタル・IT事情についてはYahoo!ニュースなどでも執筆を行なっているので良かったら読んでみてくださいませ〜
---------🐼宣伝🐼---------
私は中国視察ツアーの会社をやっております。
視察ツアーや記事執筆、講演などご要望ありましたら、お問い合わせは弊社サイトよりお願いします〜!
▼弊社サイト
▼執筆やメディア出演などの実績まとめ
もし私の文章がお役にたちましたら、サポートいただけると嬉しいです!アドベンチャー力をアップするためのおやつ代にします!