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【日記エッセイ】「木造の寮編③ 四畳半神話体系の現実」

大学1年生の夏、僕は、開かない窓とエアコンのつかない四畳半で夏を迎えることになった。なぜ窓が開かなくなったかは②を読んで頂きたい。

あるのは扇風機だけである。

7月は乗り切れたが、8月はさすがに暑く、開かない窓とを開けることにした。窓の隙間を埋めるためのビニールテープを剥がして、窓を全開にして扇風機をつけて寝ていた。

窓を開けて扇風機をつけていれば、全然ぐっすり寝れた。

けど、窓を全開にしているため、虫たちも入ってくる。高校生の時は、虫が部屋にいると気になっていたが、部屋が内なのか外なのかわからない状態だと、そんなに気にならなくなる。多分、自分の空間、部屋だと区切り過ぎるから、虫が1匹入っただけで気になっていたのかもしれない。

元々、この世界に自分の部屋なんてあるのだろうかと思った。半分くらい開いておけばいいんじゃないか、ダニや羽蟻がいる四畳半で、僕はそんな風に思った。

あの窓の隙間から思考したとしたら、思考は侵入であるとしたら、隙間は思考の通り道だとしたら、隙間がなくなったらどうなるのか、そんなことを考えながら、隙間から入った夜風で僕はスヤスヤと眠りについた。

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