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【日記エッセイ】「木造の寮編② 四畳半神話体系の現実」

大学1年生の時に、僕は木造築56年の自治寮の畳の四畳半に住んでいた。部屋の窓は綺麗に閉まらず、常に隙間が空いてた。

夏のある日である。

僕は寮に帰宅して、自らの部屋の引き戸を横にガラガラと開けた。

開けた途端、視界が一瞬、真っ黒になった。

何事かというと、

窓の隙間から、羽蟻が30匹くらい侵入して四畳半の部屋を飛び回っているのである。

羽蟻のあまりの数に、僕は一瞬外かと思った。

羽蟻があまりにも元気一杯に部屋を飛び回っているものだから、僕は、お邪魔します、みたいな感じで部屋に入った。羽蟻んちに泊まらせてもらうみたいになっていた。

僕は必死で羽蟻を1匹1匹ティッシュで捕まえて、窓から逃しいった。四畳半で妄想に耽ることも、感傷的になる時間もなく、ただただ、羽蟻を移動させていく時間。現実は羽蟻である。

その後、窓と窓の隙間をビニールテープをとめた。そのため、簡単に窓を開けれなくなった。

僕は、閉ざされた窓と電源のつかないエアコンの部屋で夏を過ごすことになった。

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