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ぷらっとほーむ

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#山形市

「はじまりの居場所」のためのレクイエム

「はじまりの居場所」のためのレクイエム

■山形市でフリースペースを運営している身として、言及を避けられない大きな出来事があった。県内初の民営通所型フリースクールとして2001年に開設されたフリースペースSORA(2003年度よりフリースクールSORAと改称)が、この6月で活動を停止。団体解散が決定した。個人的には、設立当初からフリースクール開設の運動に関わり、2年間その代表として運営に携わってきたこともあり、他人事とは思えない。幾つか思

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フリースペースと社会性

フリースペースと社会性

■私たちが行っているのは、何らかの生きづらさを抱えた子ども・若者たちが、安心して過ごし成長していくために必要な居場所(フリースペース)づくりだ。だが、その活動に対してしばしば次のような批判を受ける。すなわち、「居場所(フリースペース/フリースクール)では社会性が身につかない。ゆえに(不登校・ひきこもり等の)子ども・若者を、まずは学校に復帰させるべきだ」というもの。逆に問いたい。その「社会性なるもの

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完全居場所マニュアル?

完全居場所マニュアル?

■前回は、居場所づくりのハードウェアとも言うべき、財政運営に関して詳述した。いつでも誰でも気軽に立ち寄れる居場所をつくるためには、そのための空間を物理的に常時確保しておかねばならず、それゆえ諸々のコスト負担が求められるということだった。だが空間の確保だけでは、そこは、子ども・若者たちがいつでも気軽に立ち寄れる敷居の低い居場所にはなりはしない。そこで今回は、私たちがどのようにして敷居が低く居心地のよ

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「居場所づくり」の財政学。

「居場所づくり」の財政学。

■「(不登校・ひきこもり等をも含む)子ども・若者たちの居場所づくり」などと言うと、その柔らかい語感のためか、どうしてもそうした居場所(フリースペース)におけるコミュニケーション特性の方面にばかり関心が集中しがちで、居場所を社会的・物理的に準備するための様々なコスト(具体的に言うなら、「資金」や「労働力」のことだ)の問題について見過ごされがちになる。もちろん居場所づくりには、ハードウェアとソフトウェ

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「脱線」という方法。

「脱線」という方法。

■「子ども・若者たちの居場所づくり」活動を開始して、早くも3ヶ月が過ぎた。それまでの2年間、「不登校の子どもたちの居場所(フリースクール)」開設・運営の経験があったとはいえ、「ぷらっとほーむ」はかつてのそれとは基本コンセプトが全く異なる「居場所」。したがって現在の私たちの活動に既成のモデルは存在せず、活動の目的も方法論も、すべては試行錯誤のなか自分たち自身の手で少しずつ積み上げてくる他なかったし、

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