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『ザ・プロフェッショナル』(51)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第4章 議論する力

大前氏は、日本で早稲田大学、東工大大学院(工学修士)を卒業し、アメリカではMIT(マサチューセッツ工科大学大学院、工学博士号)を卒業しました。

職歴は、日立製作所で高速増殖炉もんじゅの設計を担当し、ヘッドハンティングでマッキンゼーへ移籍しました。マッキンゼーではマッキンゼー・ジャパン代表、マッキンゼー本社の常務を歴任しました。

その後、都知事選に出馬し、選挙活動を何もしなかった青島幸男氏に破れるという経験をし、政界への道を諦めました。大前氏にとっては初めての挫折だったかもしれません。選挙(政治の世界)はロジックだけでは通用しないことを身にしみて感じたことでしょう。
経緯は『大前研一 敗戦記』に記されています。

その後は、社会人のための教育機関(ビジネス・ブレークスルー)を設立し、東京証券取引所に上場を果たしました。

こうした経歴をお持ちの方ですが、大前氏は常に自分で考え、徹底的に調べ、場合によっては現地に足を運び、丹念に分析し、結論や解決策を導き出すという一連のプロセスを重視してきました。

そうした経験のバックボーンには、ロジカル・シンキングがあったと私は考えています。


世阿弥が遺した「守・破・離」の知のプロセスからも多くを学ぶことができます

世阿弥が遺した「シュ」の知のプロセスからも多くを学ぶことができます。これは、まず攻めの矢からみずからを「守」り、次に相手の論理が手薄なところを「破」って、矢の向かうべき方向の誤りを指摘し、共に当初の議論から「離」れて最善の着地点へと移行する、というものです。かつてのジャパン・バッシングのように、議論のスタートラインから猛然と攻め込まれた場合、まずは断固として相手の主張を退けることが肝要です。ここで少しでも相手の言い分を認めると、相手に追攻のきっかけを与えてしまい、以後の反撃が難しくなります。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈727〉           





自分の仕事ではありませんでしたが、私はまとまった時間をつくり、じっくり分析して「日米の貿易不均衡はない」ということを立証しました

自分の仕事ではありませんでしたが、私はまとまった時間をつくり、じっくり分析して「日米の貿易不均衡はない」ということを立証しました。つまり、日本で生産しているアメリカ企業の製品を加えれば、日本のほうがアメリカ製品をより多く買っているという事実を突きつけ、これはアメリカ企業がアメリカで生産しないというアメリカの国内問題なのだ、と論証したのです。これには多くの賛成意見が寄せられ、当時のマンスフィールド大使に至っては、アメリカ国内でこの「大前説」を説いて回ってくれたほどです。

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈728〉            
            
                      
           


私は「議論する」ことの本質、その真の起源は、やはりギリシャ哲学にあると考えています

私は「議論する」ことの本質、その真の起源は、やはりギリシャ哲学にあると考えています。約ニ五〇〇年前、ギリシャの都市国家アゴラに多くの人が集まり、熱い議論を闘わせました。彼らの議論にこそ、論理学や哲学、弁証法の起源があり、ルネッサンス以降、近代科学が誕生する礎となりました。
アリストテレスは近代科学に通ずる正しい議論や思考形式とその法則を「論理学」として体系化した偉才です。ロジカル・シンキングも、その源流をたどれば、アリストテレスの論理学に行き着きます。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈729〉            




下記のウェブサイトの内容は抜粋ですが、かなり内容が濃いですよ。



⭐注目すべきYouTube番組


地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録




大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       


➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「アリストテレスは近代科学に通ずる正しい議論や思考形式とその法則を「論理学」として体系化した偉才です。ロジカル・シンキングも、その源流をたどれば、アリストテレスの論理学に行き着きます」

いわゆるA=B、B=CならA=Cであるという論理の展開です。

例をあげると、アリストテレス(A)=人間(B)、人間(B)=偉才(C)なら、アリストテレス(A)=偉才(C)である。
適切な例とは言えないかもしれませんが、アリストテレスの三段論法はこのようなものです。

似たような考え方にMECE(ミッシー、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive 漏れなく、ダブりなし)があります。

マイクロソフトのBingに質問してみました。
Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveについて説明してください

MECEについてのマイクロソフトBingの回答


次に、MECEの例を聞いてみました。

MECEの例についてのマイクロソフトBingの回答




大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。




✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対して警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。



世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

大前研一 ニュースの視点Blog  大前研一について               


              



私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、
Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。

まず、やってみるという姿勢が大切です。

大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います

私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、この方に私淑し、グールー(思想的指導者)と仰いでいます



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。



🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。

東証プライム BBT(ビジネス・ブレークスルー 証券コード 2464)

最近になり、大前氏が開発した、エア・キャンパスというプラットフォームにChatGPTが実装されたことが話題になり、株価の動きが活発になってきました。

ブレクスルーはS高、遠隔教育プラットフォームにチャットGPTを実装 MINKABU PRESS  2023年03月15日09時38分

ビジネス・ブレークスルー<2464>がストップ高まで買われている。同社は14日、独自開発の遠隔教育プラットフォーム「AirCampus(エア・キャンパス)」に、米オープンAIが開発する「チャットGPT」の対話プロンプト機能とChatApp機能を実装したと発表しており、これが株価を刺激しているようだ。

これにより、全受講生がエア・キャンパス上で「チャットGPT」の利用が可能になるという。また、チャットGPTから有用な回答を得るためには、質問する技術(プロンプト・エンジニアリング)が必要となるが、同社では学習者が多用する要約や翻訳、フィードバックに関する質問をユースケースごとに定型化したChatAppをエア・キャンパス内に配置することで誰でも簡単にチャットGPTを活用することができるようになるとしている。

MINKABU PRESS  2023年03月15日09時38分             
      



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。


⭐お知らせ⭐

前回の『ザ・プロフェッショナル』(28)までの元記事は7年前(2015.06.23)まではFC2ブログに投稿していました。

ところが、以前の編集後記で書きましたように、2015年6月に妻が体調不良になり同年8月にこの世を去りました。

そのため、深い悲しみが全身を覆い、心身ともに疲弊し、ブログを更新することができなくなりました。

そうした事情で、『ザ・プロフェッショナル』(29)以降の投稿は書き下ろしになります。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐今までにご紹介してきた書籍



⭐回想録



⭐マガジン (2023.03.21現在)


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