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堀 紘一 名言集 『リーダーシップの本質』(48)

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』(48)

『リーダーシップの本質』(初版 2003年6月26日 ダイヤモンド社)は、堀 紘一氏が満を持して上梓した優れたビジネス書です。

 略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ(DI)創業者となり東京証券取引所に上場させました。単なる経営コンサルタントではありません。

 DIは現在電通グループ(電通G)の傘下にあり(電通GがDIの株式を20.95%保有しています。 2022年9月30日現在)、堀氏は代表取締役を退任されています。

 著名な経営者と「経営の本質」を議論しあい得た知見は類稀なものです。
 優れたビジネス書を数多く執筆しています。難しい言葉は極力排除し、エピソードを交え、分かりやすく解説しています。



会社は、二人以上のメンバーが協力して何か事業をやるときに初めてできる。社員のみんながつくっていくのが会社なのである

 ともすれば社員は、会社に仕事をさせられていると考えがちである。「おれは一所懸命やっているのにうまくいかないのは、会社が悪いからだ」と言う人がいる。しかし会社って何だろうか。日曜日の夜十二時に会社に行ってみよう。真っ暗な室内に証明を点けると、机と椅子が並び、電話とパソコンが載っていて、仕事の道具はたしかにある。だが人はいない。今そこは会社ではない。
会社は、二人以上のメンバーが協力して何か事業をやるときに初めてできる。したがって会社そのものに実体はない。社長が会社でもなければ、常務会が会社でもない。社員のみんながつくっていくのが会社なのである。

『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言1<142> 


公の肩書がなくてもみんながオーナーシップを持ち、リーダーシップを発揮できる会社は強い

公の肩書がなくてもみんながオーナーシップを持ち、リーダーシップを発揮できる会社は強い。本田技研やソニーが飛び抜けて強いのは、若い人たちに至るまで、「これがホンダイズムなんだ」「これがソニー流なんだ」と言って、上の人の命令に応えるだけでなく、自分で考え、自分で実行する習慣が根づいているからだ。

    『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言2<143> 



組織の末端の人がいかにオーナーシップを持つか、それをどう与えるか。そこにリーダーシップの重要な本質の一面がある

 組織はリーダーシップを学ぶ最高の場である。リーダーたらんとする者は、意識的にリーダーシップに関わるあらゆる事柄について、組織での行動、組織とのつき合い、周囲の人々などから学び取っていかなければならない。また同時に、組織はリーダーシップを試していく場でもある。
 そして、組織の末端の人がいかにオーナーシップを持つか、それをどう与えるか。そこにリーダーシップの重要な本質の一面がある。

    『リーダーシップの本質』 
堀 紘一の名言3<144> 


✔ 出典元

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』
2003年6月26日 第1刷発行 ダイヤモンド社



✍ 編集後記

🔶  『リーダーシップの本質』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。重要な点は「本質」です。すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。

私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。

勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも予兆はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!

何歳でも、何歳からでも勉強はできます。書籍を手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。

「この本は良書だ」と思ったらその1冊の本を何度も読み返すことが重要です。

一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。


🔷「公の肩書がなくてもみんながオーナーシップを持ち、リーダーシップを発揮できる会社は強い」

ソニーとホンダの話が語られています。ソニーの盛田昭夫氏と井深大氏、ホンダの本田宗一郎氏と藤沢武夫氏は名コンビの経営者であったとよく言われました。相互補完的というのが適切です。一人だけではうまくいかないことが、二人が揃うことでうまくことが運ぶということがあります。

ソニーとホンダは創業者同士が交流し、今日に至るまで続いていたようです。

ソニーとホンダが合弁で「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立し、EVの共同事業を開始したこともその現れです。

ソニーとHonda、モビリティ事業を行う新会社 「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」の設立に関する合弁契約を締結

HONDA2022年06月16日 ニュースリリース

新会社の概要(予定)

社名:ソニー・ホンダモビリティ株式会社(Sony Honda Mobility Inc.)

所在地:東京都

資本金:100億円

出資比率:ソニーグループ株式会社50%、本田技研工業株式会社50%

役員構成:代表取締役 会長 兼 CEO 水野 泰秀
代表取締役 社長 兼 COO 川西 泉
取締役 副社長 山口 周吾
取締役 専務 岡部 宏二郎
取締役(非常勤) 小澤 学(本田技研工業株式会社)
取締役(非常勤) 堀井 直也(ソニーグループ株式会社)


長というのは組織上の役割を示すためのものであって、決してその人物の偉さを表すものではない。

本田宗一郎

社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統を、はっきりさせる記号に過ぎない。

本田宗一郎


今手元に『ソニー魂 ソニーを築いた男たちが考えてきた「夢」「個性」とは何か?』((財)ソニー教育財団編 井深大 ソニーマガジン新書 2008年10月15日 初版1刷発行)があります。

この本は、井深さんが盛田さんをはじめ、西山千さん(ソニー株式会社理事、アポロ宇宙船月着陸中継の同時通訳を務めたことでも有名)、川崎三郎さん(ソニーPCL社長、会長を歴任)、江崎玲於奈さん(トンネルダイオード(エサキダイオードとも)を発見。1973年度ノーベル物理学賞受賞)の4人との対談集です。

完読はしていないのですが、井深さんは聞き上手で、他の方に喋らせることがとても上手だと知りました。井深さんは文字にしたら、ほとんど1行しか話していませんが、他の方はその数倍かそれ以上に話しています。

相手の話していることを理解していなければできないことです。奥が深いといいますか、懐が深い方だと思いました。

例として

井深 そうなんだよね。日本測定器時代、海軍と磁気探知機の研究をやってた時のメンバーとして知ってた。
盛田 浅田先生は海軍の研究をやっておられましたからね。だからその時は、井深さんは井深さんで、浅田先生をよく知っていて、僕は僕で、浅田研究室にいて……。
 戦争はもう旗色が悪くなってきていたから、軍としては新兵器を開発して対抗しなければならなかったわけです。だから、戦時科学技術研究会というのを軍・民間一体で作った。
 その研究会には、当時の日本の最先端の技術者が集められていたと言えるでしょう。(以下略)

『ソニー魂 ソニーを築いた男たちが考えてきた「夢」「個性」とは何か?』pp.29-30

盛田さんが語っている個所は何行あるかと言いますと、実に17行あります。
おわかりになったでしょうか? この抜粋部分だけでなく、ほとんどすべてと言ってよいものです。


それにしても、なぜこんなに高いのでしょうか? 絶版になっていて入手困難なためでしょうか?



✒ 堀 紘一氏の略歴

ドリームインキュベータ代表取締役社長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大学大学院経営学修士(MBA with High Distinction)。読売新聞、三菱商事、ボストンコンサルティンググループ(BCG)社長を経て、2000年にドリームインキュベータ(DI)創業。
BCG時代には、金融、ハイテク、消費財、Eコマース、中期戦略など数多くの戦略策定及び実行を支援。
『知恵は金なり』『強い会社はこうしてつくれ』『成功する頭の使い方』(PHP研究所)、『人と違うことをやれ!』『どんな「壁」でも突破できる』(三笠書房)、『挑戦! 夢があるからビジネスだ』『脱皮できない蛇は死ぬ』(プレジデント社)、『できることから始めよう!』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『21世紀の企業システム』(朝日出版社)など著書多数。
(『リーダーシップの本質』の著者紹介から)


✒ 堀 紘一氏の略歴補足

2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。



⭐出典元: 『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』


⭐回想録


⭐マガジン (2023.04.29現在)



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