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盛田昭夫 『21世紀へ』(003)

盛田昭夫 『21世紀へ』(003)

盛田氏の言葉(21世紀への伝言)を読むと、盛田氏には、未来=21世紀の日本の姿が、鮮明に見えていた、と分かります。

盛田氏は、21世紀の日本と日本人に期待すると同時に、大きな不安を抱いていました。

20世紀末の日本と日本人の状況を見て、このまま21世紀を迎えると大変なことになる、と危機感を強く感じていました。

盛田氏の「遺言」を無にしないように、私たちは気持ちを新たに、日々努力することが、盛田氏の期待に応え、盛田氏の不安を払拭する唯一の方法ではないか、と思います。

『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次
はじめに
第1章 経営の原則
第2章 人材の条件
第3章 マーケットの創造
第4章 国際化への試練
第5章 経済活性化の原理
第6章 日米関係への提言
第7章 変革への勇気
第8章 日本国家への期待
第9章 新世界経済秩序の構築
あとがき


第1章 経営の原則

「企業の本質は営利団体」(1964年)から


生産と適正在庫

つくったから売れるという時代ではなくなった。売れるものを売れるだけ つくる。

売れないものは、早くつくるのをやめる。

マーケットにしたがって生産をいかにコントロールするかが、これからの大きな課題だと思う。

21世紀へ 盛田昭夫 007 p.32



企業を評価するための重要な指標の一つ---EPS

日本の判断では、売上高の大きいのが偉いが、アメリカでは利益の大きいのが尊重される。

いくら仕事の間口を広げ、それによって売上を伸ばしても、利益が増えなければ経営者の評価は上がらない。

アーニング・パー・シェア(一株当たり利益)が最大の注目点だ。

21世紀へ 盛田昭夫 008 p.34



経営の方向を見誤らない

日本の会社のいままでの経営は、会社がどっちの方向に走っているのか、経営者自身がわかっていなかった。

自分が舵をとっているものが、どっちに走っているかわからんようなことで運転していた。

たとえてみれば、霧のなかを全速力で走っているようなものだ。

日本の経済には、いままではたまたま氷山も何もなかったから、それでも衝突もせずに走れた。とにかく大海原だったんで走れば走るほどよかった。

けれども、これからは暗礁のある海のなかを走らなければならない。きちんと目を見開いて経営しないと、どえらいことになる。

21世紀へ 盛田昭夫 009 pp.34-5




盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田氏が、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという気持ちがビンビンと伝わってくる本です。

盛田氏の「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることは多くが当たっています。
盛田氏の慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられるでしょう。


🔴「いくら仕事の間口を広げ、それによって売上を伸ばしても、利益が増えなければ経営者の評価は上がらない」

日本では売上至上主義が長い間支配していた時期がありました。

もちろん、売上を上げなければ利益が得られないことは事実です。
しかし、中には利益を度外視し、売上高(売上の数字)の増加のみを追い求める営業マンを高く評価する企業がありました。

利益が伴わない理由は、はっきりしています。

売上を上げるために単価を下げたり、頻繁に接待交際費を使ったり、多額の販売奨励金を相手先に支払うなどを行なってきたからです。

営業マンが自社商品を自信を持って売ろうとする気持ちが不足していることもあります。自分で使ってみたいと思わない商品を本気で売ろうとはしないでしょう。利益が出ようが出まいが、売ってしまえば良いという考え方が支配していたのです。

現在では、利益額を増大させることと利益率を高めることが重視されています。増収増益だけではなく、減収増益であっても評価される時代になってきました。

減収減益は言うまでもなく、増収減益には重大な問題が隠されています。



盛田氏は、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンです。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
さらに、ここ数十年で業態を変えてきましたね。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するブログを最初に投稿したのは、アメブロで8年前
(2014-06-17 16:03:31)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1


今やソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元




⭐回想録


⭐プロフィール


⭐私のマガジン (2022.12.08現在)



























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