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【読書感想】田中兆子『甘いお菓子は食べません』

2018/06/29 初めての作家さん、読了。

田中兆子『甘いお菓子は食べません』

40代女性の6つの短篇。
女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞した「べしみ」も収録されている。

この物語の中には今の私が居るなあ。
この物語は通り過ぎてしまった話だなあ。

どの短篇も私自身にぐっと入ってきた。

40代女性の生々しい性と生活。
でも、決して奇抜ではない。

どの話も、オチがない。
サラッと終わる話もあれば、慟哭の最中に終わる話もあった。

それがとてもいい。生活は、ドラマみたいにハッピーなエンドでは終わらない。生活は死ぬまで続く。ハッピーが続く人もいるかもしれないけど、どん底から抜け出せない人もいる。だから、こういう何とも言えない物語の閉め方は主人公の人生がこれからも続く事を示唆しているようで安心した。

5篇目の「熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました」は1番好きな話だけど、1番ゾクっとした話でもある。リストラされた49歳の熊沢が転職しようとしている仕事が、私が若い頃から就きたい職種だったからだ。少しの羨ましさを込めつつも、熊沢がんばれと心から応援している自分が居た。

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