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不正融資の変遷

NHKのクローズアップ現代で住宅ローンを利用した不正融資について取り上げられていました。

そもそも不正融資は今に始まった話ではなく、私が知る限りバブルの頃からですが、あるいはそれよりももっと以前から行われていました。

それは売価アップといってサラ金、カードローンやカーローンといった負債を背負っている人に住宅を購入させ、住宅ローンにその他のローンをまとめてしまうという手法でした。

バブル当時の住宅ローンは5%と今よりも高かったわけですが、それ以上にサラ金やカードローンは10%超だったので、金利が下がりさらに返済期間も長くなり購入者のメリットも大きかったわけです。

販売価格にその他のローンを上乗せしていたため、売価アップと呼ばれていました。

昔から不動産業者の間では細々と行われていたようですが、問題が表面化することはありませんでした。一部の銀行にはバレていたのだと思いますが、表沙汰にはせず内々で解決したのだろうと推測します。

これが不正融資の第一段階です。

第二の不正融資は、日銀のゼロ金利政策以降に沸いた不動産投資ブームの陰で行われます。

ゼロ金利政策により企業に融資をしても儲かりにくい状況で、新しい融資先として不動産に目が向けられました。

不動産を担保にとることができ安定した賃料収入を得られる不動産は銀行にとっても魅力がありましたし、リーマンショック&東日本大震災で落ち込んだ不動産価格は割安(高利回り)で、サラリーマンを中心とした投資家がこぞって日本中の不動産を購入しました。

特に人気が高かったのがスルガ銀行の融資でした。金利4.5%にも関わらずです。

一番の理由は、頭金&諸経費0円(オーバーローン)で収益物件の購入ができたからです。

そもそもスルガ銀行で融資を受ける場合の頭金割合は10%が必須です。にも拘わらず不正融資を用いて、銀行からオーバーローンを引き出していました。

この時よく使われていた手法が、さきほども出てきた売価アップです。厳密にいうと同じ手法ではなく、このケースでは売買契約書を2部作成します。

2部契約書を作成するのは、銀行提出用と売主提出用に分けるためです。

例えば1億円の物件の場合、1億の契約書と諸経費などの費用を加えた1.2億の売買契約書を作ります。

銀行は物件価格1.2億に対して90%融資なので、1.08億円を融資します。
1億円を売主に支払い、残りの800万円は手数料費用などに用います。

酷いところでは、仲介手数料だけでなくコンサルフィーを上乗せして融資を組ませていました。この手法が他にはできないノウハウだからというわけです。

逆にそんなに上手くいくの?と思う方もいると思います。
売主が良識ある人なら、契約書2通に印鑑を押すなんて協力してくれないかもしれません。怪しすぎますから。

そこで利用されたのが中間省略です。ここでの説明は省きますが、登記をしない買取り再販売だと思ってください。買取よりも安く手間が少なく再販売ができ、買取業者がよく利用していました。

売主は元の売主から相場で不動産を買い取り、利益を上乗せして買い手に売却します。買取業者の利益は10~15%が相場と言われていますが、収支さえ合えばそれ以上に利益をのせても買い手はいるので、20、30%の利益をのせて販売することもあったそうです。

しかも銀行、売主、仲介業者もみんなグルです。譲渡益だけでなく仲介手数料にコンサルフィーまで支払っていたため、相場の1.5~2.0倍近い金額で物件を購入させられていたという事例が後を絶ちませんでした。

このように相場よりも高く購入させられていたわけですから、売ろうと思っても簡単には売れません。オーバーローンを選択した人たちも資金に余裕があってオーバーローンを行ったというよりも、本当に資金がなくどうしようもなくオーバーローンを利用したケースがほとんどで、このような状況では利益確定・損切りの選択肢はほとんどありません。

これは不正融資の手法の一例です。他の事例も紹介したいと思いますが文字数が多くなるため次回に持ち越したいと思います。

10スキ以上についたら続きを書こうかなと思います。
みなさん、よろしくお願いします。


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