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論文紹介 最近の国際政治学で、ヘッジングはどのような戦略として分析されているのか?

中国が急速に経済を成長させていることは、近隣諸国に貿易と投資のチャンスをもたらしています。しかし、中国が国力を増すことは安全保障上の課題になる可能性もあります。従来の勢力均衡理論の考え方に従うならば、中国の台頭に対して近隣の中小国が選択可能な選択肢は二つに分かれます。

一つは中国を軍事的な脅威と見なして対抗するバランシング(balancing)であり、もう一つは中国との提携を進めるバンドワゴニング(bandwagoning)です。しかし、東アジア諸国の中小国の行動を調べると、どちらとも言えないヘッジング(hedging)で中国に対応するケースが多いことが議論されています。この場合のヘッジングとは、軍事的な面でアメリカと協力関係を結びつつ、中国と政治的、経済的な関係を維持する戦略です。

今回の記事では、このヘッジングをめぐる最近の研究成果を取り上げてみたいと思います。ヘッジングが新しい視点で再定義されていることや、日本の戦略がヘッジングであるかどうかについて議論が行われています。

Darren J. Lim & Zack Cooper (2015) Reassessing Hedging: The Logic of Alignment in East Asia, Security Studies, 24:4, 696-727, DOI: 10.1080/09636412.2015.1103130

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