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負傷するなら戦死した方がまし?:ナポレオン戦争で従軍した兵士の過酷な現実

いつの時代も最前線で敵弾に晒される兵士の関心は、生きるか死ぬか、そこに尽きると思います。ナポレオンが率いる大陸軍にいた兵士たちにとっても、自分の生死は最大の問題でした。

ナポレオン戦争の研究者は、当時の兵士がどのような精神状態、健康状態で戦闘に参加していたのかを当時の史料で調べていますが、そこで興味深いのは、負傷するより戦死する方がはるかにましであるという考え方が、兵士の間でかなり広く受け入れられていたということです。

Muir, Rory. 1998. Tactics and the Experience of Battle in the Age of Napoleon. New Haven: Yale University Press.

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