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論文紹介 なぜ多くの自民党政治家は神道政治連盟との関係を強めているのか?

2009年の総選挙で民主党に政権を奪われた自民党は、2012年の総選挙で政権を奪回し、12月に第二次安倍内閣を発足させました。これは大きな転換点として注目されましたが、その翌年以降に自民党の政治家の間で宗教法人神社本庁の関係団体である神道政治連盟(神政連)に接近するケースが増加していたことは、あまり注目されませんでした。ノーステキサス大学のHope Dewell Gentry氏は、これは自民党の戦略転換の結果ではないかと指摘しており、自民党と宗教の関係に注意を払うべきだと主張しています。

彼の論文「宗教的民族主義に訴求する政治戦略:日本の自民党政治家が宗教団体に参加する動機の検討」(2021)では、日本全国で宗教心が高まっているわけではないにもかかわらず、自民党の政治家が宗教との関わりを深めているのは、中道的な有権者の浮動票を最大化するのではなく、右派的な有権者の組織票を最大化する方が有利であるという政治的判断があったと説明されています。その背景的要因として、民主党の衰退、分裂も関連しています。

Gentry, H. D. (2021). The Political Strategy of Appealing to Religious Nationalism: Examining Motivations to Join Religious Organizations by Japanese LDP Politicians. Politics and Religion, 14(4), 691-711. https://doi.org/10.1017/S1755048320000619

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