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❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外10)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年8月8日)

【記事累積:1645本目、連続投稿:688日目】
<探究対象…タイ、議会、比較政治、連立政権、大麻>

♪サワディー(こんにちは)
タイでは、元首相で亡命中のタクシン氏が8月10日頃に戻ってくるという報道がありましたが、直近では2週間ほど延期するようです。タクシン氏は在任期間中の汚職の罪で、タイに戻ってくれば収監される可能性が高いのですが、現在第二党で今後の連立政権の主軸になりつつある「タイ貢献党」は、タクシン派の政党であるため、「タイ貢献党」中心の政権が発足すれば恩赦も期待できます。現在、「タイ貢献党」の広告塔として活躍しているペートンタン氏はタクシン氏の次女でもあります。【情報の収集】

このように元首相の帰国も絡んで、混迷をきわめるタイ議会ですが、今後、新首相の指名はどのようになっていくのでしょうか。【課題の設定】

ここ数日の報道によると、第二党の「タイ貢献党(獲得議席141)」と第三党の「タイ誇り党(獲得議席70)」との連立が発表されたのです。タイ誇り党は下院選挙前のプラユット政権で連立の一翼を担っていましたが、下院選挙に際しては、親軍派であることを示さずに中立的な立場でした。この政党は前回の2019年選挙から20ほど議席を伸ばしています。【情報の収集】

「タイ誇り党」が議席を伸ばした要因として考えられるのは、親軍派との距離をとったこともありますが、もう一つこの政党が掲げた政策が関係していると思います。それは「大麻解禁の推進」です。「タイ誇り党」はプラユット政権で連立与党であったときから、積極的に大麻解禁を主張し、2022年6月に大麻が合法化されていますが、2023年5月の下院選挙ではさらに大麻の海外輸出などを推進する政策を掲げました。心理的な問題も関係すると思いますが、何かの規制を維持する主張に比べ、何かの規制撤廃・自由化などを主張する方が、ポジティブに感じてしまう側面はあります。その結果、積極的に反対というスタンスでない限り、どちらでも構わない人たちはネガティブな感情を持つことはなく、それも議席を伸ばした可能性が考えられます。【整理・分析】

また「タイ誇り党」が親軍派から距離を置いていたにもかかわらず、下院選後に第一党の「前進党」との連立に加わらなかったのには、「前進党」が掲げる急進的な王室改革の政策が関係しています。その点で考えると、親軍派ではなく、また王室改革をそこまで求めていないという主張は、第二党の「タイ貢献党」と重なる部分が多く、今回の新たな連立も頷けるところです。【整理・分析】

タイ議会では、1回目の指名投票で「前進党」党首のピタ氏が過半数をとれなかったこと、さらにはピタ氏の2回目投票が認められなかったことを受けて、現在のような新たな連立構想の動きが出ていますが、第一党の「前進党」の151議席を加えずに、上院下院合わせて750(上院1名辞職なので実質749)の過半数をとることは容易ではありません。「前進党」を含めずに過半数に到達するためには、どうしても親軍派を取り込む必要が出てくることになるので、親軍派を含め、少ない議席の政党を片っ端から迎え入れた大連立もあり得ます。【まとめ・表現】

タイ議会はまだまだ落ち着く兆しが見えませんが、これにタクシン氏のタイ帰国が加わった場合には、さらに問題は複雑になりそうな気がしますね。タイのリサーチは続きます。【まとめ・表現】

ちなみに、「帰国(する)」はタイ語で「ย้ายกลับ(ヤーイ グラップ)」といいます。ラオ語では「ກັບບ້ານ(カッバン)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

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