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❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外11)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年8月18日)

【記事累積:1665本目、連続投稿:698日目】
<探究対象…タイ、議会、比較政治、連立政権、親軍派>

♪サワディー(こんにちは)
5月の下院選挙から3カ月経過しても新たな首相が選出されないという政治的空白が続いているタイですが、心配されていた方向に流れていきそうです。心配されていた方向というのは、具体的にどんなものでしょうか。【課題の設定】

最近の報道では、下院選挙で第2党となったタイ貢献党が、選挙で第1党となった前進党との連立構想を解消し、中立的な立場をとっていた第3党のタイ誇り党との連立を発表していました。しかし、この2党だけでは首相の選出に必要な票数を獲得できていない状態でした。その後、他の政党も含めて新たな連立構想が発表されたのですが、それでも下院の過半数251には届かいない「238」だったのです。【情報の収集】

これまでタイ貢献党が新連立を発表した政党は、選挙前に連立与党であった政党も含まれてはいましたが、明確な親軍派の政党は含まれていませんでした。しかし昨日(8月17日)から、この連立構想に新たな動きが出たことが報道されています。それは現在、選挙後の暫定的な首相を務め続けているプラユット氏が所属する「国家建設タイ合同党(UTN)」が、この新連立に参加することを発表したのです。【情報の収集】

「国家建設タイ合同党(UTN)」は、2014年の軍部によるクーデターの中心人物で、その後、首相となったプラユット氏が所属する政党ですから、明確な親軍派の政党と考えられます。UTNは5月の下院選挙で「36議席」を獲得しているため、これまで新連立に参加することになっている政党の「238」を加えると、「274」になります。【整理・分析】

また首相を指名する選挙では下院の500票と、上院の250票(1名辞職で249票)を合わせた票数の過半数を獲得する必要がありますが、上院議員は親軍派の政権時に選ばれている議員なので、新連立にUTNが参加することで、上院の支持も得やすくなると考えられます。【整理・分析】

これまでは親軍派と距離をとりながらの連立構想でしたが、それでは仮に下院での過半数が得られたとしても、上院の票を多く得ることには繋がらないと見られていました。今回の両党の接近は上院の支持も取り付けたいタイ貢献党の思惑と、野党転落はどうしても避けたいというUTNの思惑がうまく一致した結果と考えることができます。【まとめ・表現】

しかし5月の下院選挙に戻って考えると、タイ国民は親軍派の政党や、その連立政権に参加していた政党のほとんどにNOを突きつけていたはずです。それによって、親軍派に対抗していた前進党の躍進があったわけです。今回のタイ貢献党とUTNの接近は、タイ国民の民意と真逆へ向かうものと考えられ、仮にこの流れで新しい首相が選出されたとしても、タイ国民の多くはそれを受け入れることができないのではないでしょうか。まだまだタイ政治の混迷は続きそうです。【まとめ・表現】

ちなみに、「国民」はタイ語で「ประชา(プラチャー)」といいます。ラオ語では「ຜູ້ຄົນ(プーコン)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

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